県がまとめた10月末から1週間の感染症発生動向調査で、定点観測をしている医療機関での感染性胃腸炎の患者数が145人となり、前週の1・7倍に増えたことが分かった。冬はノロウイルスなどが流行し、例年、患者数が急激に増える。県は手洗いや衛生管理を徹底するよう呼びかけている。
感染性胃腸炎は、細菌やウイルスが原因で嘔吐(おうと)や下痢などを引き起こす感染症。同調査の最新データは10月29日から11月4日までの分で、県内45小児医療機関の患者数を集計した。感染性胃腸炎の患者数は145人で、県が定める「流行」の基準(243人)を下回ったものの、一気に増えたことから、「いつ流行に入ってもおかしくない」(県感染・看護室)という。
感染症の中でも、冬に猛威をふるうのがノロウイルスだ。手や食品などを介して経口感染し、カキやアサリなどの二枚貝も感染源となる。県によると、今年2-4月、飲食店や旅館などの料理を食べた客がノロウイルスによる食中毒を起こしている。
健康な人は軽い症状で済むが、子供や高齢者は重症化することもある。保育園や老人ホームなどでは、ふん便や吐しゃ物を通じて感染が広がるケースも確認されている。県は予防策として、〈1〉食品に十分熱を通す。中心を85度以上で1分間加熱するのが目安〈2〉手洗いや身の回りの物の消毒の徹底〈3〉汚物を衛生的に処理する--などを挙げる。
いわき市の「森のこどもクリニック」でも患者が目立つようになった。保育園児や小学生が多く、子供を来院させた母親も同時に感染していたケースもあるという。
鈴木英樹院長は「手洗いや、使用後にトイレを消毒するなど普段から予防を心がけてほしい。感染しても特効薬はないので、水分や栄養を補給することが大事」と話している。