自閉症の人の脳では、そうでない人と比べてある種の免疫細胞の数が増え、その活動も活発になる傾向があることを、浜松医大と中京大などのグループが臨床研究で確かめたと発表した。この細胞の働きを抑えることができれば、自閉症の治療や予防法の開発につながるという。米国の精神医学専門誌(電子版)に27日、論文が掲載される。
研究グループは自閉症の人たちのNPO法人「アスペ・エルデの会」(名古屋市)の協力を得て、18〜30歳の自閉症男性20人の脳の様子を、浜松ホトニクスが開発した特殊なPET(陽電子放射断層撮影)装置で観察し、自閉症でない男性20人と比べた。すると、自閉症の人では脳内の損傷修復を担う免疫細胞の「ミクログリア」が各部位で一様に多く、活発になっていた。
ミクログリアは胎児期に脳に定着すると考えられている。研究グループは、自閉症の人は複数種類の神経で情報伝達がうまくいかないことを確かめており、これにミクログリアの異常が関わっているとみている。浜松医大の森則夫教授(精神神経医学)は「症状との関係が分かれば、働きを抑える治療が可能になると思う」と話す。
自閉症は発達障害の一種。【野田武】