消化促進し腸をきれいに

サツマイモやゴボウ、胚芽米(はいがまい)など食物繊維を多く含んだ食べ物を摂取すると、消化・吸収に様々なプラス効果をもたらす。こららの食物は、かさがはることからバルク(かさ)効果と呼ぶ。

「消化・吸収」(第一出版)の編著者で、消化器病学の専門家・武藤泰敏椙山女学園大学学長によると、効果その1は、唾液腺(だえきせん)を刺激し消化を促進する。ラットを液体食だけで飼育すると唾液腺が小さくなる。食物繊維が多い食事で育てると唾液腺が大きくなる。

効果その2。小腸の運動機能が高まる。腸内の食物の移動を速め、便通をよくする。その3は、腸内で有毒な重金属を吸着し、体外に運び出す効果。カドミウムなどを排出することが確認されている。だからといって、栄養素の吸収が妨げられることもない。

もう1つの効果は、腸内の環境整備。小腸や大腸には食物を分解するのを助けたり、毒素を封じ込めたりする腸内細菌がすんでいる。この増殖をバックアップするのだ。食の洋風化に伴い、日本人の食物繊維の摂取量が減っている。食物繊維の多い食べ物には腸内でガスを発生しやすくするマイナス効果もあるが、プラスのバルク効果を考えて多めに摂取したい。

(2002.3.23日本経済新聞)