HIV感染の新生児完治 ウイルス消滅と米紙報道 世界初か
 

【ニューヨーク共同】母親からエイズウイルス(HIV)に感染した生後30時間の新生児に治療薬を集中投与したところ、HIVが消滅したと米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)が3日報じた。世界初の例という。

 ジョンズ・ホプキンス大のデボラ・パーサード准教授らが明らかにした。国連の調査では2011年に世界で推計33万人の赤ん坊が新たにHIVに感染した。今回の症例が科学的に検証、確認されれば、世界的に推奨されるのは確実だ。

 HIVが消えたとされる新生児は10年秋、米南部ミシシッピ州で出生。名前や性別は明らかにされていない。分娩(ぶんべん)時ではなく妊娠中に子宮内で感染したとみられるという。感染を確認する検査結果を待たず、直ちに通常の予防措置と違う治療薬の大量投与などを行ったところウイルスの量が急減し、1カ月後には検出できなくなった。

 HIVが治療薬の到達できない体内の隠れた部分に蓄えられる前に、集中治療によってウイルスを殺せたのではないかとの仮説が考えられている。専門家は、大人のエイズ患者に対してはおそらく効果がないだろうとしている。

2013年3月4日 提供:共同通信社