市場の鳥から感染か 「人から人は証拠なし」 中国、死者7人に
【北京共同】鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の感染者が相次いでいる事態を受け、中国国家衛生計画出産委員会と世界保健機関(WHO)は北京で8日、合同記者会見を開いた。WHO担当者は、上海の食材市場で売られていたハトから同型ウイルスが検出されたことを踏まえ、食用の生きた鳥から人に感染した可能性があるとの見方を示した。
また「人から人への感染を示す証拠はない」と述べた。一方、上海市で1人、江蘇省で2人の感染が新たに確認された。上海の1人は既に死亡した。中国全体の死者は計7人となり感染者は死者も含め計24人となった。
3月31日に同委員会がH7N9型感染を公表して以降、同委員会やWHOが北京で記者会見を行ったのは初めて。中国東部を中心に住民の間で動揺が広がっており、情報公開に努めている姿勢をアピールした。
WHO担当者は、上海市を流れる黄浦江の上流で3月に見つかった1万匹を超える豚の死骸からH7N9型のウイルスなどは検出されていないとし、死骸と感染との関係は不明だと述べた。
同委員会の担当者は、治療にはタミフルなどの抗ウイルス薬が「有効だ」と指摘。中国が進めているH7N9型のワクチン開発は「基礎的な研究」の段階で、「開発には最短でも6〜8カ月の期間が必要」と述べ、容易ではないと強調した。
新たに死亡が確認されたのは上海市の64歳の男性。男性と接触した4人を調べたが、鳥インフルエンザの症状は確認されていない。江蘇省で感染した2人は南京市の85歳の男性と鎮江市の25歳の女性。いずれも重体だという。
南京で鳥の市場閉鎖 感染拡大阻止で
【上海共同】鳥インフルエンザウイルス(H7N9型)の感染者が相次いでいる事態を受け、中国江蘇省南京市は8日から、生きた鳥を扱う全ての市場を当面閉鎖する措置を始めた。生きた鳥を扱う市場を全面的に閉鎖するのは上海市に続いて2カ所目。
中国では上海市など東部で死者6人を含む21人の感染が確認された。このうち南京市の確認例は3人。同市は生きた鳥の市内への持ち込みも禁止し、感染拡大阻止に向けた対策を本格化させる。
国家衛生計画出産委員会の担当者は8日の記者会見で、中国が進めているH7N9型のワクチン開発は「基礎的な研究」の段階だと説明。「病原体からワクチンを開発するには最短でも6〜8カ月の期間が必要」と述べ、開発が容易ではないと強調した。