睡眠不足、遺伝子にも影響 小グループで英研究
 

 寝不足が1週間程度続いただけで、数百もの遺伝子の働きに影響が出る可能性があるとの研究を英サリー大のチームがまとめ、米科学アカデミー紀要に報告した。

 睡眠不足が肥満や心臓病、認知機能の低下などにつながることは数多くの疫学研究で示されてきたが、分子レベルの仕組みはよく分かっていなかった。そこでチームは、たっぷり寝た後と睡眠が短いときで遺伝子の働きに違いがあるかどうか、少人数のグループで調べることにした。

 被験者は健康な26人(男性14人、女性12人)。平均年齢は27・5歳で、普段の睡眠時間は平均8・2時間だった。

 大学の研究施設で十分な睡眠(平均8・5時間)を取る生活を7日間続けてもらった後にチームが採血、遺伝子が活動する際にできるRNAという物質が血液中にどれだけあるかを分析し、遺伝子の働きぶりの目安とした。同じ被験者で、睡眠6時間未満の生活を7日間継続する実験も行い、同様に採血してRNAレベルを比較した。

 その結果、睡眠を減らした生活の後では、計711種類の遺伝子の働きが変化していた。この数は人間の遺伝子全体の3%程度に当たる。うち444の遺伝子(62%)は働きが抑制され、残り267遺伝子(38%)は働きが活発化していた。影響を受けた遺伝子は、炎症や免疫応答、ストレス対応などに関わるものだという。

 チームは今回、こうした遺伝子の働きの変化が健康にどんな影響を与えるかまでは分析していないが、短期間の睡眠不足でこれほど変化が出たことに注目。さらに検討を続けたいとしている。

2013年5月7日 提供:共同通信社