亜鉛運ぶタンパク質が免疫に関与
 

 亜鉛運ぶタンパク質が免疫に関与 岡山大大学院教授、院生ら発見
 
岡山大大学院医歯薬学総合研究科の榎本秀一教授(核薬学、生体機能分析学)と大学院生谷口将済さん(同分析学)らは、健康を維持するための必須元素・亜鉛を運ぶタンパク質「ZIP9」(亜鉛トランスポーター)が、抗体をつくって免疫機能をつかさどるB細胞の働きに関与していることを突き止めた。免疫不全や味覚障害といった疾患の新しい治療法の開発につながる成果という。

 亜鉛はヒトの小腸などから吸収されて血液で循環し、複数のタンパク質と結び付き、健康を維持している。ただ、単独では細胞膜を通過しないため、2種類のトランスポーター「ZIP」「ZnT」で細胞膜内外への輸送が行われている。これらが免疫機能に重要な役割を果たすことは分かっていたが、抗体をつくるB細胞との関係は不明だった。

 グループは細胞内にあり、ホルモンなどの分泌に関わっている器官「ゴルジ体」に存在するが、役割が分からなかったタンパク質「ZIP9」に着目。ニワトリ由来のB細胞株の遺伝子を組み換えてZIP9遺伝子をなくした細胞株を作り、通常の同株と比較した。

 両株の培養中に亜鉛を加えるなどしたところ、通常株は生理的なリン酸化反応が増大したが、ZIP9遺伝子がない株(ノックアウト株)はほとんど反応がなかった。さらに、ノックアウト株にヒトの同遺伝子を導入すると通常株と同じ反応が起こることを確認した。

2013年5月7日 提供:山陽新聞社