渋柿で血液サラサラ 悪玉コレステロール低減
 

  石川県立大生物資源環境学部の松本健司准教授は2日までに、未成熟な渋柿から作った粉末に含まれる成分に、LDL(悪玉)コレステロールを低減する作用があることを実証した。粉末は栽培の際に間引いた青柿や放置果樹園の果実を利用することで低コストで生産可能。粉末にすれば渋みはなく、加熱しても成分が損なわれないため、幅広い食品に加工できるという。

 悪玉コレステロールの低減効果があるのは柿の渋み成分である重合タンニン。研究では40代の被験者40人が3グループに分かれ、毎食前に青柿の粉末を入れていないクッキー、粉末3グラム、5グラムを配合したクッキーをそれぞれ摂取した。5グラム入りを食べ続けた被験者は12週間後、悪玉コレステロールが約2割減少した。

 松本准教授によると、重合タンニンは、コレステロールから合成される胆汁酸を腸内で吸着し、体外への排出を促進する。胆汁酸の排出が進むと、血液中のコレステロールが肝臓に取り込まれて胆汁酸が再生成され、その結果、悪玉コレステロールが低下する。

 胆汁酸の吸着と合成に伴い、代謝が高まって血糖値が低下することも確認されており、糖尿病の治療でも効果が期待できるという。
 粉末は商品価値のない未成熟な渋柿を利用して製造できる。食物繊維を豊富に含み、100度の熱を加えても成分が損なわれないため、菓子やパンなどに配合しやすい。

 県内では「紋平柿」のかほく市や「ころ柿」の志賀町が主な柿の産地で、昨年の収穫量は県全体で1270トン。JA志賀ころ柿部会の新明侃二部会長によると、栽培の過程で青柿の数%が間引かれ、商品価値がないために捨てられている。

 松本准教授は、柿の生産農家は全国的に高齢化や後継者不足に悩まされているとし、「渋柿の機能性を生かした商品開発が進めば、生産地の活性化につながる」と語った。

2013年6月4日 提供:北国新聞