口臭の原因菌 ジンジバリス菌を退治する
乳酸菌LS1ってナニ!?

満員電車や人ごみで感じる強い口臭。ニオイするほうをそっと見ると、そこにはおじさんの姿が。う〜ん、なぜおじさんの口って臭いんだろう?これって偏見かな。いえいえ、じつはちゃんと理由があるのです。いま、35歳以上の7割が歯周病にかかっているといわれています。つまり、おじさんたちはほとんど歯周病ってこと。じつは、この歯周病の原因菌こそ口臭のもとなのです。なかでもジンジバリス菌と呼ばれる歯周病菌は、独特の悪臭を放つことで知られています。ところが最近になって、この歯周病菌を退治するすごい菌が注目され始めました。それが乳酸菌LS1です。さてどんな菌なのか、LS1生みの親である古賀教授に教えていただきました。


LS1生みの親、古賀教授のお話
6月に東京で開催された歯周病予防の講演会より、古賀泰裕教授の講演をまとめてみました。一般向けのお話なので、とってもわかりやすいですよ。

乳酸菌LS1でフローラコントロールを

ひとことでいえば、歯周病は細菌感染症といってもいいと思います。もちろんほかのファクターもありますけれど、感染症というファクターが一番大きいわけですね。

われわれの体のには免疫力といいますか生体防御力があります。これが十分にあれば細菌もそんなにふえません。ところが、糖尿病などになると免疫力が落ちてきます。また、歯磨きをまじめにしないと、細菌や歯周病などが当然ふえますから、歯周病がすすんできます。

さらに、歯周病がすすんでいる人は口臭もひどいですね。これはジンジバリス菌などの歯周病菌がおもな原因だといわれています。

それでは、歯周病菌を減らすためにはどうすればいいか。ひとつはプラークコントロール、物理的に細菌をとりのぞく方法です。それから生活習慣の改善、たばこをやめるとかです。

でもこれだけでは、なかなか歯周病や口臭をふせげません。そこで私は第3の方法として、プロバイオティクスを用いたフローラコントロールを提案したいと思います。これは善玉菌で歯周病菌を追い出して、歯周病の進行をとめるという方法になります。

24時間でジンジバリス菌(歯周病菌)を殺菌

プロバイオティクスという言葉を初めて聞かれる方もおられると思います。これはおもに腸などの消化管内で作用して、フローラ(細菌叢)のバランスを整えて健康を維持する善玉菌のことです。

本来われわれの体にはビフィズス菌や乳酸菌など、もともと善玉菌が棲んでいます。ところが歳をとったり、ストレスとか、食物繊維が不足した食生活などにより、善玉菌の力が弱ってきます。そこで、外からプロバイオティクスを、つまり善玉菌を加えて、フローラのバランスを整えようというわけです。

これを口のなかでも応用しようといろいろ調べた結果、乳酸菌LS1に注目しました。

LS1の第1の特徴は、ジンジバリス菌などの歯周病菌への殺菌効果です。歯周病菌を試験管のなかに100万くらい入れます。それを24時間培養すると1000倍くらいふえます。ところが、最初にLS1を加えておくと、24時間後にはほとんど全部死んでしまいます。ひじょうに強力な殺菌効果があるということです。

つぎにLS1の第2の特徴です。乳酸菌というのは読んで字のごとく、乳酸をだします。腸のなかではいいのですが、口のなかでは乳酸を出しすぎると、その乳酸でまわりが酸性になって虫歯を助長しないかという心配があります。

ところが、LS1は、ある程度乳酸をつくると自分がつくった乳酸で死んでしまいます。ですから、むやみに乳酸をつくりすぎることがないので、口のなかを酸性化させないということです。

2/3の人から口臭が消えた
こういった基礎的な研究でいけそいうだということで、実際にボランティアの人を使って臨床試験をしました。これはどうやったかというと、乳酸菌LS1を含む錠菓を1回5粒、1日5回、毎日食べてもらいました。そして、服用前、4週間後、8週間後にだ液をとって、なかの歯周病菌の検査、それから口臭を調べました。

その結果、服用前は57人の人たちには平均すると歯周病菌が数百万個いましたが、LS1を4週間食べつづけてもらったところ、歯周病菌の数が平均で1/20くらいに減少しました。これはただの乳酸菌ではないなと思いましたね。

それから口臭ですけれど、57人中の20人の人が「口臭あり」と測定装置で出ました。LS1を食べつづけて4週間後にはこの値が下がって8週間後にはさらに下がって2/3の人から口臭がなくなりました。これはおそらく口のなかの歯周病菌が減って、口臭が予防できたと考えられます。依然として「口臭あり」と判定された人についても、明らかに口臭の減少が認められました。

先ほど、LS1は自分でつくった乳酸で死滅するので、口のなかを酸性化しないとお話しました。実際、酸性化しないのか口のなかのpHを測定してみました。口のなかでpHは人によって差があるのですが、4週間後にはほとんどが7.3という中性域に近づいてきました。口のなかの環境が、ひじょうに健全になっているということです。
乳酸菌LS1の服用により、細菌の集まりである口腔内フローラを全体として改善するので、歯周病菌を減らし歯周病や口臭の予防に役立つと思われます。これまでのプラークコントロールに加えて、LS1を用いたフローラコントロールを、お口の健康のために提案できないかと思っています。

乳酸菌LS1の悪玉菌退治ものがたり

そっか!だから口臭が消えちゃうんだ

お口のフローラ王国では、チョーくさい臭いを出すジンジバリス菌たちがはびこり、やりたい放題、臭いの出し放し状態だった。ちなみに、ジンジバリス菌は歯周病菌の1つで、もっとも悪玉といわれるワル中のワルである。

そこへ登場したのがスーパー乳酸菌のLS1。フローラ王国の平和を取り戻すため、LS1はあっという間にジンジバリス菌を退治していった。じつは彼らLS1こそ、プロバイオティクスと呼ばれる微生物界のヒーロー(善玉菌)であったのだ。

LS1の活躍で、ジンジバリス菌の数は1/20くらいに減ってしまい、もう悪さをする元気もなくなっていた。フローラ王国からは口臭もすっかり消えてしまい、平和が戻ったのであった。めでたし、めでたし。

まとめてみよう!
お口のなかには善玉・悪玉もふくめ無数の細菌がすんでいる。その様子はお花畑にたとえられ、口腔内フローラと呼ばれている。LS1は、歯周病菌などの悪玉菌を減らし、口腔内フローラのバランスを改善する働きをもっている(フローラコントロール)。口腔内が健常化されることで、口臭や歯周病を予防してくれるというわけだ。
2003.7.20 タフトくらぶ