現代人はミネラル不足とよく言われる。水分やたんぱく質、炭水化物、脂質などは水素、炭素、窒素という4大元素から作られるが、これ以外の元素がミネラル。無機質ともいう。マグネシウム、リン、カリウム、カルシウムなど様々な働きをしているが、ミネラル同士のバランスが崩れることで、過剰症を引き起こすこともある。
その代表がリン。穀物、豆、小魚などに含まれ、普通に食事をしていれば十分取れるので不足の心配はまずない。むしろ取りすぎの方が問題だ。ハム・ソーセージやかまぼこなどの食品添加物によく使われるリン酸塩などの化合物は、過剰に取り入れることでカルシウムと結びつき、吸収のじゃまをする。加工食品頼みの食生活で過剰摂取を引き起こすことは避けたい。
ちなみにカルシウムの栄養所要量をみると成人で1日あたり600ミリグラム。これに対し、実際の摂取量は20代から40代で460ミリグラムから480ミリグラム程度にどとまっている。
貧血だからといって鉄剤を飲んでも効かない裏に銅不足が作用していたり、逆にセレンが足りないことで鉄の過剰症が重くなったりすることも。ある1つのミネラルの過不足が、他のミネラルの過不足に結びついていることが多い。
サプリメントで一部のミネラルを補うつもりが、取りすぎで別の悪影響をもたらすという皮肉な結果になりかねない。「サプリメントで栄養素はとっているから」という安心感は禁物。やはりいろんなものを食べ、そこに含まれるさまざまなミネラルを摂取することが大切だ。

ミネラルの過剰症
カルシウム (腎臓、尿路など)結石、他のミネラルの吸収障害
リン 腎臓機能低下、副甲状腺ホルモン分泌低下(いずれも長期の過剰摂取による)
ナトリウム 高血圧症、胃がんリスクを高める
マグネシウム 下痢、非経口投与でおう吐・筋力低下・血圧低下

ビタミン・ミネラルのアンバランス(池上幸江著)より


2004.9.18 日本経済新聞