営業などの仕事で日々、立ちっぱなしの人もいる。足のむくみなど、翌日に疲れを残さないケア方法を探った。 |
百貨店のプランタン銀座(東京・中央)の山内美佳さん(24)は、接客などで1日に6−8時間は立ちっぱなしのことが多い。4年前に入社した直後は「仕事が終わると足も腰も痛くて、慣れるのに数ヵ月はかかった」ほど。帰宅時、足がむくんでブーツが履けなくなる同僚もいたという。
そんな山内さんだけに、帰宅後の足のケアはぬかりがない。
そのひとつが、ふくらはぎや足裏に湿布のような「足すっきりシート」を張ること。また、家庭内では「メディキュット」という特殊なソックスを頻繁にはいている。これはひざから下を覆う靴下だが、甲から指先にかけてあいている。
靴下で血流抑制
英国の医療用ソックスを参考に作られたもので、締め付ける圧力を部位によって工夫しているのが特徴。足首は強く締め付ける一方、ふくらはぎのあたりは圧力を弱めている。重力に従い足先へと流れやすい血流を抑え、足をむくみにくくする効果がある。
さらに、毎日欠かせないのが足のマッサージ。入浴のたび、塩のクリームなどをふくらはぎに塗り込むようにして10−15分かけてもみ込む。この3つのケアを組み合わせることで、足の疲れはかなりとれるようになったそうだ。メディキュットなどはドラッグストアで購入できる。
そもそも足のむくみはどうして生じるのか。足の静脈内の血液は重力に逆らって心臓に帰らなければならない。通常は足の筋肉の収縮がポンプ作用となって血液を心臓方向に押し上げるが、「長時間、立ったままだと足の筋肉があまり働かず、うっ血状態となって、疲れやむくみが起きる」(メディキュットを製造・販売するエスエスエル ヘルスケア ジャパン)。
腎臓の調子整える
指圧で解消する方法もある。「足のむくみには腎臓の反射区を押すのが良い」と話すのは、日本リフレクソロジスト養成学院(東京・中野)の塩瀬静江チーフインストラクター。反射区とは臓器とつながる足裏の部位のことだ。
足裏健康法には英国式、台湾式などがあるが、反射区を刺激することで臓器の調子を整えるという考え方はほぼ同じ。腎臓の反射区は方式によって微妙に異なるが、足裏の中央部付近にあるとされる。
特定非営利活動法人(NPO法人)日本成人病予防協会で、台湾式足裏健康法の普及活動をする小野志郎さんは「腎臓の反射区を押すと、むくんだ水分の代謝を活発にする効果がある」と指摘する。
一方、ハイキングなど運動後の疲れをとるには、立ち仕事とは違う対処法がある。
コナミスポーツの花川智行ウェルネス事業部治療グループ統括マネージャーによると、「むくみ対策はふくらはぎなど下から上にもんで血行を良くするのに対し、運動による疲れは普段酷使していない筋肉のコリをどう解消するかがポイント」。
ハイキングなどで筋肉の軽い反射運動が続く時は足裏、ふくらはぎ、すねの前側にコリができがち。疲れを残さないため、花川さんは部位別に対処法をあげる。
足裏は土踏まずの少しつま先寄りのところにある「湧泉」から、かかとへ向かって親指でもんでいく。
ふくらはぎは、くるぶしとアキレスけんの間のやわらかい部分から、側面の中央あたりを上に向かって押す=図2参照。
すねは山登りなど、つま先を上げる動きでコリが生じやすい。押すとよいのが「足の三里」。ひざの皿の下5センチ前後の出っ張った骨と、真横にある外側の出っ張った骨との中間よりやや下のやわらかい部分。ここから、つま先に向けて上から下へ親指でもんでいくと、コリがほぐれる。
水分補給忘れずに
足をもむと血行と代謝が良くなるので、「あとで500ミリリットルほどの白湯など水分をとることと、胃に血液の集まる食後1時間、生理中はしないように」(小野さん)といった留意点もある。
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