電動ハブラシ

選ぶポイント
?高振動だと洗浄力は高いが、歯肉炎にはソフト振動を選べる機種
?軽くて握り心地がよく、口の中で操作しやすい形・大きさのものを
?替えブラシが買い求めやすいかも、事前にチェック

歯周病や口臭、歯槽膿漏(しそうのうろう)の予防のため、短時間で効果的に歯垢(しこう)を落とせる電動歯ブラシの利用者が増えてきた。オーラル(口腔=こうくう)ケア市場の拡大を受け、メーカー各社は超音波を利用し洗浄力を高めたり、歯茎のマッサージ機能をつけたりした新製品を相次ぎ発売している。

ジレットジャパンインク(横浜市)が9月に発売した「ブラウン オーラルB ソニックコンプリート」は、角度を持たせながら1列ごとに反対方向に植毛したブラシを搭載。だ円状に左右にブラシが動くことで、歯の磨きにくい部分を少なくした。1分間に3万1千回振動し丁寧に磨く「クリーン」、同2万9千回の振動で歯や歯茎をやさしく磨く「ソフト」、歯茎を刺激し血行を良くする「マッサージ」の3種類の振動速度が選べる。

ロイヤル フィリップスエレクトロニクスが製造し三井物産が販売する「ソニッケアー エリート」は、1分間に約3万1千回の高速振動と左右に約5ミリの幅広い振動を組み合わせ、歯磨き液を口中にかくはん、水流で歯のすき間まできれいに磨くのが売り物。

松下電工の「ドルツ音波振動EW1022」は、円すい形状の先を細くしたブラシを取り付け歯並びが悪い部分も磨けるようにした。
ブラシが付いた先端部分から1600000ヘルツの超音波を発振するのは東レアイリーブ(東京・新宿)の「ウルティマフレッシュ」。超音波で歯垢を取り除き、歯垢の一成分である「不溶性グルカン」を破壊する。臨床実験では、1日2回の使用で「思考の除去率は97%」という結果が出たという。

P&G(神戸市)が9月中旬に発売した「クレスト スピンブラシ プロホワイト」は、上下・左右に別々に動く2種類のブラシと特殊ゴムを組み合わせ、「たばこやコーヒー、カレーなどの色素に起因する歯の黄ばみの除去に効果を発揮する」。

使い勝手の良さを売り物にした製品も増えている。オムロンヘルスケア(京都市)が9月21日に発売した「シュシュ マイクロビブラート」は「手が疲れにくいように、充電式製品としては日本で最も軽く、最もスリムにした」のが特徴。手で握る部分の直径を従来製品に比べ1.3センチ細い約2.2センチ、重量を約100グラム軽い63グラムにした。ブラシが1分間に2万5千5百回のだ円運動をし、歯に当てるだけで歯垢を浮かして落とす仕組みだ。

「シュシュ」が充電式なのに対し、乾電池式で持ち運びを重視したコンパクトな製品も人気を集めている。三洋電機の「ハピッシュNTB−S1DX」は、単4形アルカリ乾電池1本を入れた状態で、重さはわずか29グラム。色も青、ピンク、緑、黄、オレンジの5色そろえ、デザイン性も重視した。

手磨きよりも簡単に早く確実に歯垢を除去できる電動歯ブラシのニーズは高い。2004年度で前年比7%増の800万台の販売が見込まれている。中でも、人気は音波や超音波を利用した1万円以上の高価格帯商品。

一方で、2千円以下の製品もスーパーなどの店頭に並ぶケースも増え、市場拡大を後押ししている。最近は家電メーカーに加え、家庭用雑貨メーカーも電動歯ブラシ市場に参入。品ぞろえが一段と充実してきた。

目利きのひと言
歯科医の検査受け 口の中の状態知る
財団法人ライオン歯科衛生研究所 口腔保健部チーフ・歯科衛生士 黒川亜紀子氏
口の中の状態はひとそれぞれ。まずは歯科医のチェックを受けるなど自分の口の中の状態を知ることが大事。歯ブラシは隅々まで磨けるよう、手ごろな大きさのものを選びたい。ブラシを歯に当てたまま歯垢を落とす製品が多いが、中には多少動かした方が効率的に磨けるものもある。買う前に説明書を読んだり、売り場の担当者に聞いたりするといい。
重さも大切な要素 店頭で持ち比べを

ヨドバシカメラ・マルチメディア 梅田インテリアチームの林秀樹氏
電動歯ブラシは一般に高級機種ほど振動数が多く、歯垢を落としやすい。ただ歯茎が弱い人は振動数が少ないものの方が使いやすいことがある。毎日使うものなので、自分に合った機種を選ぶことが大事。ブラシの硬さも使用感に影響するのでじっくりと選びたい。重さも重要。機種によって差があるので、実際に店頭で持ち比べてみた方がいいだろう。

買い方のツボ
売り場担当者の助言参考に
大型家電量販店には10数種類の製品が並ぶが、実際に試せる売り場はほとんどない。だから、店頭表示やパンフレット、売り場担当者のアドバイスなどをもとに、自分に合った機種を選ぶしかない。

購入する際は、歯垢の除去能力と使い勝手の良さが最も気になる点だろう。20000ヘルツ以上の超音波を利用した製品は、ブラシを振動させなくても超音波の威力で歯垢の菌を破壊し、洗浄力が高い。ただし、値段は1万円以上の高価格帯。会社や学校の昼休みに歯を磨くような場合には、持ち運びが便利な乾電池式がお勧めで、値段も2千円以下とお手ごろ価格だ。

ブラシは長方形と丸型の2種類あるが、「磨く能力に大差ない」(大手家電量販店)。自分がよく使う歯ブラシに合わせて選ぶのがいい。歯茎が弱い人は毛先の柔らかい商品がいい。定期的にブラシを取り換える必要があるので、替えブラシを購入しやすい機種を選ぶ方がいい。

スイッチを入れて2−3分後に自動的に停止したり、30秒ごとにブザーが鳴ったり、効果的な歯磨き時間を知らせてくれる機能が付いた機種や、歯茎のマッサージ機能を売り物にした機種もある。選ぶ際には、何を優先するか決めておこう。

主な電動歯ブラシ
メーカー名
商品名
店頭価格
特徴
松下電工 ドルツ音波振動
EW1022
10,000円前後 ・ブラシを細かく振動させ歯垢を取る性能を高めた
・歯茎の弱い人のために振動数を3割抑える「ソフトモード」機能も搭載
オムロンヘルスケア シュシュ
マイクロビブラート
HT−B402
7,000円前後 ・従来品より104g軽くし使いやすくした
・歯と歯茎の間は長細い毛が、歯の表面は太く短い毛がそれぞれ歯垢を取り除く
ジレットジャパンインク ブラウン オーラルB ソニックコンプリート 15,000円前後 ・振動の早さが3種類選べるので、強い振動で奥歯を磨き、弱い振動で歯茎をマッサージするといった使い方ができる。タイマーも搭載
東レアイリーブ ウルティマフレッシュ
UT−270
17,000円前後 ・ブラシのヘッド部分から 160万ヘルツの超音波を発振
・歯垢を取り除き、口の中の雑菌を破壊する効果があるという
三洋電機 ハピッシュ
NTB−S1DX 
1,500円前後 ・単4乾電池を1本使うモデルで持ち運びに便利
・毎分1万回の振動が歯垢を落とす。携帯用ケース付属。5種類の色から選べる
ロイヤル フィリップス エレクトロニクス
/三井物産
ソニッケアー
エリート7500
19,000円前後 ・歯の形に合わせたギザギザしたブラシが特徴
・前歯や奥歯を磨く「高速」と歯茎など敏感な部分を磨く「低速」とが使い分けられる
P&G  クレスト スピンブラシ プロホワイト 1,000円前後 ・歯の黄ばみの原因になるステインを除去するゴムを搭載
・丸型と長方形の2種類のブラシを組み合わせ、効率的に歯垢を取り除く
(注)価格は日本経済新聞社が家電量販店の店頭価格などを調査
2004.10.16 日本経済新聞