その名を知られている割には誤解されていることも多いのがコレステロール。コレステロールは、細胞膜やホルモン、胆汁を作る、からだに不可欠の脂質である。かつて日本人に多かった脳いっ血は、栄養不良によるコレステロール不足が一因といわれる。逆に、最近は必要以上にふえすぎて動脈硬化を起こすことが指摘されている。 善玉と悪玉があるというが、これも誤解を与えやすい表現だ。肝臓でつくられたコレステロールは、血液中を流れて全身の細胞に運ばれ、再吸収されて肝臓に戻る代謝を行う。何らかの異常で、運ばれる量が増えすぎて血管壁に入り込むと、結果的に悪玉にされてしまう。十分に回収する機能さえあれば、悪玉ではなく善玉となる。 つまり、この代謝のバランスを崩すものが、ストレスや運動不足、偏った食事、喫煙…というわけ。(2000.5.20日本経済新聞)
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