何となく耳が聞こえにくく、時々うみなどの液(耳だれ)が漏れ出る――。そんな症状に思い当たるなら、風をひいた時などにかかった中耳炎がひそかに慢性化している疑いがある。

このタイプは「慢性化膿(かのう)性中耳炎」と呼ばれ、鼓膜の奥の中耳に鼻から細菌が入り込み、うみがたまって鼓膜に穴が開く。

強い痛みを伴うことはまれでつい治療がおっくうになる。しかし、炎症が耳の奥まで広がると、めまいや重度の難聴、ひどい場合は顔の神経がひきつる。髄膜炎など頭の中で合併症が起きると命を落とす危険すら出てくる。

まずは耳をよく洗浄し、抗生物質を飲むか点耳薬で治療する。耳の聞こえにくさを改善するには、鼓膜の穴をふさぐなどの手術が必要だ。

鼓膜の奥にはれ物ができる「慢性真珠腫(しゅ)性中耳炎」は耳の周囲の骨を溶かすため、耳だれが強い悪臭を放つ。合併症も進行しやすい。早く手術してはれ物を切除しなければならない。「耳だれを放置せず、すぐに耳鼻科専門医を受診してほしい」と昭和大学の洲崎春海教授は勧める。


慢性中耳炎の危険信号

○何となく耳が聞こえにくい
○耳からうみなどの液体(耳だれ)が出る
○めまいがする
○耳がよく聞こえない
○顔がひきつる
下の項目ほど症状が進行している疑い。耳だれが強い悪臭を放つ場合は悪化の早い「真珠腫性」の可能性

2005.3.27 日本経済新聞