オフィスの仕事や暮らしの繁閑にかかわらず、働き盛りの世代の女性には月経(生理)が定期的にやって来る。それに伴う腹痛や眠気、いらいらなどはやはり憂うつ。しかしここ数年急速に増えた女性専用外来を活用したり、体操をするなどの対策で、ブルーな症状は改善できるという。
関東労災病院(川崎市)働く女性外来の星野寛美医師は、生理痛や生理前のいらいら、気分の落ち込みなどの症状が重くても仕事を休まず、症状が進んでから来院する女性が増えたと話す。
星野さんがまず勧めるのは、体調日記をつけること。仕事、睡眠、食事などのスタイル、痛みやいらいらなど症状を記入していく。半年記録すれば、どんな時に症状が悪化するか理解できる。原因や症状に個人差が大きいため、自分のパターンを理解することが対策のスタートだ。ユニ・チャームのホームページ(http://www.unicharm.co.jp)では日記の用紙をダウンロードできる。
症状の直接的な原因は体の冷えや血行不良、疲労、ストレス、不規則な生活などだ。仕事をしながらでは難しいかもしれないが、生活を規則的に整えることが対策の基本だ。睡眠をしっかりとり、食事をきちんと食べる。メニューは体が温まるものを選ぶ。
冷えや血行不良が原因と思われる人は服装を見直そう。頭寒足熱を基本におなかや足元を温める。冬以外でも下着の上にオーバーパンツを重ねたり、靴下を重ね履きするのもいい。ゆったりした服装を心がけること。痛みが特につらい人は真夏でも2日くらい前からおなかと腰にカイロを使うといい。余裕があらば半身浴や足湯を。疲労回復といらいら解消の効果もある。
適度な運動も効く。社団法人日本家族計画協会の松本清一会長と、体操の専門家の湯沢きよみさんが考案した「マンスリービクス」は、様々な症状に効果のある動きをまとめたものだ(イラスト参照)。腰の緊張をほぐし、骨盤内のうっ血をゆるめる動きが中心だ。イスに座ったままできる動きもあるから、仕事の合間でも可能。運動の時はゆっくりと腹式呼吸をしたい。痛みを和らげ、いらいらや気分の落ち込み、眠気に効く。
体質改善には、漢方や鍼灸(しんきゅう)が効果的。一人ひとりの体質や症状に合わせて治療方針や薬の配合が決まる。北里研究所東洋医学総合研究所の医師の尚吾診療部門長は「症状を具体的に医師に伝えてほしい」と話す。ツボを刺激する時は、専門家にツボを探してもらってからにしよう。同研究所の関口敦子医師は、生理痛の場合、漢方治療を始めて3カ月以内に効果が表れることが多いと話す。
どうしてもつらい場合は上手に薬を使おう。鎮痛剤は痛みがひどくなる前に飲むのがコツ。気分の落ち込みやいらいらには抗うつ剤が効くことがある。動けないほどつらい場合は「手のひらをこすり合わせて温め腰やおなかをさするだけでも楽になる」(湯沢さん)ものだという。
厄介なのが仕事対策。労働基準法は正社員、パートの区別なく、女性は生理休暇を請求できると定めているが、実際には申請しづらいと感じる人が多いのが実情だ。共著に「“ほっ”とする生理痛の本」(築地所館)があるフリーライターの清水直子さん(32)は、業界専門誌記者時代、休暇を取りたいと言ったところ、上司に「給料払ってるんだから出て来い」と言われた。休みを取ると痛みが少しずつ軽くなったという。
清水さんは「休める環境づくりの努力を」と話す。先輩に相談したり、つらい症状に悩む仲間を見つけて一緒に上司に話すのも手。周囲に症状を説明しておけばつらい時に理解を得やすい。職場に女性が増えたことで男性社員にも一定の理解は広がりつつある。来月を少し楽にするために、今日から準備を始めたい。
(ライター 藤原 仁美)
何かにつかまって立つ。
手と足は腰幅に開き足は平行に
腰を前に押し出し、戻してゆるめる |
尾てい骨を下にひっぱるようにしながらひざを曲げ、上体を前の曲げる。
へそを見るように |
両膝を伸ばしたまま、腰を左右に動かす |
腰を右→左→後ろの順で回す。反対方向にも回す |
いすに浅く座り足を腰幅に開く。
息を吸いながら上体をのばし、息を吐きながら腹をへこませる。
背骨から腰にかけて」の字を描くように |
片足を反対の足のひざにのせ息を吐きながら背骨から腰にかけて」の字を描くようにする
左右変えて同様に |
(日本家族計画協会の資料から作成)
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