物忘れがひどくなっただけで病院に行く人は少ないが、アルツハイマー病になると日付や曜日がわからず、食事をしたことすら覚えていない。決め手となる治療法がない難しい病気だが、初期から中期段階で使うと進行を抑えることが可能な薬もあり。早く専門医に診てもらうことが大事だ。

国内の認知症患者はおよそ200万人。アルツハイマー病と脳の血管が詰まって起きる認知症の2種類あり、アルツハイマー病が欧米では9割、日本では5割を占める。健康な人なら分解されるはずのアミノロイドベータというたんぱく質がたまり、神経細胞が死んでしまうのが原因とされる。

現在、唯一の治療薬が「アリセプト」。神経伝達物質の1つであるアセチルコリンを増やす。病気の進行を遅らせ、初期だと症状を改善する効果もあるという。

ただ、神経細胞の減少は防げず根本的な治療にはならない。アミロイドベータの蓄積を防ぐワクチンなど、さまざまな治療法の研究が進む。

滋賀医科大学の遠山育夫教授は「おかしいと思ったら、早く神経内科か物忘れ外来を受診してほしい」と助言する。


・日時がわからなくなる
・家族など身近な人の名前が出てこない
・食事したことなどをいったん忘れると、指摘されても思い出せない
・少しずつ悪くなる


単なる物忘れとアルツハイマー病を見分けるポイント

■日時がわからなくなる
■家族など身近な人の名前が出てこない
■食事したことなどをいったん忘れると、指摘されても思い出せない
■少しずつ悪くなる



2006.12.17 日本経済新聞