効果的なダイエット?筋トレとは?

第1回 知っておきたい運動生理の基本

1.食べ物がエネルギーになるまで
ヒトは生きていく為にエネルギーを必要とする。そのエネルギーをどこから作り出しているかというと、そのおおもとは「食べ物」である。

食べ物、食材の栄養成分は1)エネルギーの元になるもの…糖質(炭水化物)、脂質(脂肪)、タンパク質、2)血や肉、骨の元になるもの…タンパク質、ミネラルなど、3)からだの調子を整えるもの…ビタミン、ミネラル、食物繊維などに分けられる。

ではどのようなプロセスでエネルギーをとりだすのか??体内で糖や脂肪が完全に利用されると、二酸化炭素と水になり、その課程でエネルギーを放出する。多くの化学反応の段階を経て、少しずつ糖や脂肪が変化して二酸化炭素と水になり、そしてエネルギーを放出している。このエネルギーはATP(アデノシン三リン酸)という化学物質に形を変えて蓄えられる。このATPがADP(アデノシン二リン酸)とPi(リン酸)に分解されるときにエネルギーが放出される。

2.グルコースは解糖系、酸化系でエネルギーとなる
摂取した糖質は体内で消化されてグルコース(ブドウ糖)になり、そしてピルビン酸に変化する。その後は1)乳酸になるか(解糖系)2)ミトコンドリアという細胞内の器官で完全に酸化されて水と二酸化炭素になる(酸化系)。両方の経路においてエネルギーの産生が可能。ただし酸化系の方がはるかに多くのエネルギーを作り出す。

また脂肪は糖に比べると利用するのに手間がかかり、酸化系でしか利用できない。

3.エネルギーの産生にはいくつもの酵素が働く
エネルギーを産生経路のいくつもの段階では酵素が関わっている。運動するとエネルギーが多く必要になるので糖、脂肪からエネルギーを取り出す反応に関係するこれらの酵素が活発にはたらくようになる。そのために持久的トレーニングをするとこれらの酵素の量が増える。そういった点からもサッカーにおいても持久的トレーニングは大切になってくる

第二回 乳酸を考える3つのキーワード〜「糖」「酸」「酸化」

今回から数回にわたって「乳酸」について考えていきたいと思います。運動をするにあたって忘れてはならない乳酸。単なる「疲労物質」という観点からさらに一歩すすんで考えてみます。

 まずは乳酸を考えるキーワードである「糖」「酸」「酸化」について・・・
1)運動のエネルギーとして脂肪ではなく「糖」が使われている
2)「酸」ができていることでもある
3)「酸化」してエネルギー源として利用できるものができている
ということです。

(1)、糖が使われている
運動をする=エネルギーを使っているということはわかると思います。普通、糖または脂肪の分解によってエネルギーが生み出されるのですが糖だけまたは脂肪だけですべてのエネルギーが作られているというのではなく、糖と脂肪が共に使われています。そして糖からエネルギーが得られる課程で乳酸ができるのです。乳酸が多くできるということは、糖が多く分解されているということであり脂肪の分解が少なくなっているということです。

(2)、酸ができる
乳酸は強度の高い運動をした時に多く作られます。乳酸は文字通り「酸」です。乳酸がたまると乳酸の作られた筋肉を中心に体内は酸性になります。酸性になる影響とは??実際酸性になるといってもpH6.5くらいになる程度なのですが、これでもエネルギーを作る反応は進みにくくなります。また運動は、神経からの信号が来て筋肉が動いて可能になるわけですが、酸性になると神経からの信号が伝わり方が悪くなるようです

(3)、酸化のエネルギー源となる
「乳酸が多く作られると筋の内部が酸性になる」ということから乳酸は疲労物質であるといわれることがあります。乳酸は確かに酸で溜まると体内を酸性化させます。一方体には乳酸の酸を中和する働きが多くあり、多くの乳酸はすぐ中和されて塩(えん)に変化します。酸としての乳酸には疲労の元凶と見れるが塩となった乳酸はミトコンドリアで酸化されてエネルギー源としてもう一度利用されることができるのです

つまり乳酸は糖が利用される課程で出来て、脂肪などと同じように酸化されることによってエネルギー源として利用できます。しかも脂肪を酸化するよりもずっと手間もかかりません。「糖からできた乳酸は、その経路を一部戻ることによって酸化経路に入り、エネルギー源として使える」といった理解が必要になってきます。

■競技力を高めるために乳酸をどうとらえるか??
サッカーにおいては実際にボールにふれていたり近くでダッシュしたりする時と、遠くでゆっくり走りポジションを整え戦況を分析している時の繰り返しでしめられています。

乳酸の視点で考えると運動強度の高い動き、例えばダッシュするときは乳酸ができ、強度の低い動きであるジョグしているときにはエネルギー源として乳酸が使われています。

前半においては乳酸がダッシュなどで作られる量の方がジョグで使われるよりも多く、血中乳酸濃度が上がります。サッカーはマラソンよりもかなり高い濃度になります。後半にはダッシュしようとしてもダッシュできなくなります。後半の疲労には乳酸ができること、またそれによって糖がなくなるということ、相手とのあたりで筋力や柔軟性が低下するといった事などが影響します。ダッシュできなくなると血中乳酸濃度は前半よりも低くなります。

まとめると前半では乳酸がつくられてそれによる苦しさや疲労感がでます。後半においては乳酸はあまり出ませんが、糖がなくなってくることで疲労感がでます。こうしたことからダッシュ後には体内の状況をいち早く回復させる必要があります。

正直なところ理屈をいくらいったろころで試合に勝てるわけではありません。ギリギリの勝敗を決めるのは練習で培われてきた自分自身に対する自信や意識、戦術ですがこうした理論を知らないでいいというわけではありません。トップの選手はみな理にかなったことをしています。理にかなっていないことを多くしている選手にはやはり成功はないのです。そう思って読んで見て下さい

第3回 効果的な筋トレって一体・・・?

今回はサッカーにおいても重要な割合をしめるフィジカルトレーニングについて紹介していきます。”効果的な筋トレ”を考えてみましょう。
闇雲にトレーニングするよりとにかく効果を重視してみます。

1、筋収縮の様式
まず筋トレについて考える前に重要な筋収縮の様式をみていきたいと思います。筋生理学の分野における筋収縮の名称は
1)等尺性収縮
2)等張力性収縮
に分けられます。この違いをみていきます。

生理学的言葉を使って表現しますと、等尺性収縮とは「関節の角度の変わらない収縮」である。簡単にいうと”固定されているものに対して必死に力をいれる”という感じです。数式で表すと外から加えられる力をF、自分が発揮する力をRとすると『F=R』となります。次に等張力性収縮をみます。

等張力性収縮には二つあり、一つは短縮性収縮ともうひとつは伸張性収縮とにわけられます。前者は「筋の収縮力が対抗する外力より大きく、筋が短縮する収縮」であり、後者は「筋の収縮力が対抗する外力より小さく筋が伸張される収縮」です。簡単にいうと前者はバーベルを持ち上げる収縮で後者は持ち上げたバーベルを引き下ろす収縮です。(ここでは肘を曲げて持ち上げると考える)。

少し表現が難しいところですのでもう少しかみくだくと、短縮性収縮とは自分の力の意志と同じ方向に動きます。ベンチプレスをしていると考えて下さい。まず胸の近くまで下げ、そこから持ち上げますよね?この持ち上げる時の筋収縮が短縮性収縮です。ここですでにもう一つの収縮をしていることに気がついたでしょうか?それは「胸の近くまで下げる」という動作です。実際バーベルを下げていますが自分の力の向きは持ち上げる方向に働いていることがわかるでしょうか?決して下げる方向に力を加えているわけではありません。この時の収縮が伸張性収縮といいます。強制的に動かされると考えて見て下さい。短縮性では『F<R』、伸張性では『F>R』というわけです。

また最大筋力の大きさは
伸張性収縮>等尺性収縮>短縮性収縮
となります。トレーニング効果を得るには伸張性収縮を鍛えるとよいということになります。しかし反動が強いという事実があります。いわゆる筋肉痛が強いということです。ハイリスク・ハイリターンであることを理解して休養とのバランスが大事になってきます。

伸張性収縮を鍛える方法は普段あまり意識していないであろう、さげる方の時の意識を高めることです。その効果をあげるには関節の角度を30°/秒でおろします。

2.抵抗負荷運動
次に本題である効果的な筋トレについて考えていきます。先ほどまでは筋収縮の方法で筋力アップを考えてきましたがここからは通常のウエイトの方法、いわゆる重さでどのような効果が得られるかを考えていきます。ウエイトトレーニングにおいては3つの目的があります。それは「筋持久力アップ」、「パワーアップ」、「筋力アップ」である。パワーと筋力の違いが分からないかもしれませんので説明しておくとパワーは「筋力×速度」で表現されます。よってパワーとはスピードが関わってくるわけです。

ではどのようにこの3つを鍛えていけばよいのでしょうか??まず自分の筋力のMAX測定を行って下さい。関係を表したグラフというものが存在しますがここでは載せません。見たい方は個人的に聞いて下さい。具体的に何キロの重さとわかる方がいいです。

まず筋持久力についてですが、自分の筋力のMAXの20〜40%の重さで30〜50回繰り返します(低負荷・高回数) 次にパワーアップですがこれは40〜70%の重さで15〜20回繰り返します。ここで重要なのがスピードをあげて行うということです。より重いものを持ち上げられるようになるのが目的ではなくその重さをより速く持ち上げられるようになるかということが目的であります。つぎに筋力アップですがこれは70〜100%の重さで5回以内の繰り返しを行います。またここで大事なのが、「根性」です。笑い事ではなく本当のことです。というのは普通最後の一回というのは諦めてしまいがちです。ある程度の力がついてくるとそこから先はなかなか筋力アップしなくなります。そこでウエイトをしてる際もうダメだと思った所からあと一回することが大事になってくるのです。しかしこれは危険を伴うので絶対一人では行わないで下さい。補助がある上で安全に行いましょう。

3、初動付加理論
詳しいことは著作権の関係上おそらく載せることはできないので聞いてきて下さい。まだ自分自身勉強中で分かってないことが多いので今は答えれませんが後々答えることができるように頑張ります。簡単に紹介しますと最初に最も重い負荷をかけ、あとは一連の動作を繰り返すという「初動負荷理論」といいます。ウエイトをする際に最初の少しを持ち上げることが出来たら案外すっと持ち上げれるという経験をしたことがないでしょうか??実はそれを利用するのが初動付加理論です。このような表現は間違っていると思いますが、あまりしんどい思いをせずにより高い効果を得るというものです。この方法はイチロー選手もとりいれているというものです。一度やってみてはいかがでしょうか??

筋トレ一つにおいても意識一つで効果は違ってきます。どの部位を鍛えているのかそこに集中しながらやることも大切です。簡単なことですがひたすらに多くトレーニングをするならばより効果を求めてやってみてはどうでしょうか

2008.3.16 記事提供 書き込み掲示板