寂しい人は寒さを感じやすい?
社会的隔離は人に寒気を感じさせ、温もりを求めさせる
Daniel J. DeNoon
WebMD Medical News
寒気がする?もしかしたらあなたは寂しいのかもしれない。
社会的隔離は人に寒気を感じさせることをトロント大学の心理学者Chen-Bo Zhong, PhDとGeoffrey J. Leonardelli, PhDが発見した。
また、人に疎外感を感じさせると、室温程度のぬるい飲食物より、熱いスープやコーヒーを選ぶことも発見した。
「社会的に排除されたとき人が熱いコーヒーやスープを好むということは特筆すべき」とLeonardelli博士はニュース発表で言う。「温かいチキンスープが文字どおり社会的隔離の対処メカニズムである可能性を我々の研究は示唆している」。
Zhong博士とLeonardelli博士は大学生に2つの実験を実施した。
まず、学生65名を2つのグループに分けた。1番目のグループには、仲間外れにされたときのことを思い出させた。2番目のグループには、仲間に加わっているときのことを思い出させた。その途中で、わざとメンテナンスの担当者に室温が何度くらいか質問させた。
室温は常に同じであった。しかし、学生の推測は11.6℃から40℃まで幅があった。また、寂しい感情を思い出した人は、社会的に支えられている感覚を思いだした人より、推測した室温が低かった。
2つ目の実験では、52名の学生にコンピュータのボール投げゲームをさせた。学生は他の人とオンラインでプレイしているものと思っていたが、ゲームには仕掛けがあった。
半分の学生には、数回ボールが回るようにした。次に、他の人には30回以上ボールが回っていると思わせながら、学生を仲間外れの状態にした。もう半分の学生には、その他の「プレーヤー」と同じくらいの回数でボールが来た。
その後、学生たちの気をそらすため意味のないマーケティング調査を行い、ホットコーヒー、ホットスープ、りんご、クラッカー、よく冷えたコーラがどのくらい欲しいか質問した。
もうおわかりだろう。ゲームで疎外された学生は仲間とプレイした学生より、スープやコーヒーを欲した。
Zhong博士とLeonardelli博士は、私たちが心で感じること、体で感じること、頭で考えることがすべてつながっているということがポイントである、と述べる。つまり、寒いという感覚は人の社会的排除の経験の一部と考えられる。
社会的排除は寒気や不快感を起こさせるだけではない。寂しさは不安やうつを誘発すると知られ、身体的疼痛経験に関係する脳領域を活性化させる。
隠喩(メタファー)とは「成功は孤独と非情である」というように話法の一形態で、文字の上では違っていても一方でもう一方のことを述べることである。「隠喩は単なるコミュニケーションのための言葉ではない」とZhong博士とLeonardelli博士は示唆する。「隠喩は、人々が周囲の世界を理解し、経験するために欠かせない入れ物である」。
書籍『Chicken Soup for the Soul』シリーズを挙げ、博士らは「温かいスープを食べることは、文字どおり社会的排除に対する対処メカニズムなのではないか」と示唆する。
Zhong/Leonardelli博士らの研究は、『Psychological Science』9月号に発表される。
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