クラゲに含むたんぱく質「クニウムチン」注射、「変形性関節症」治療に効果
◇東海大准教授ら動物実験
エチゼンクラゲなどに含まれるたんぱく質「クニウムチン」が、関節の軟骨がすり減る「変形性関節症」の治療に効果があることを、東海大の佐藤正人准教授(整形外科学)らが動物実験で突き止めた。3月に東京都内で開かれる日本再生医療学会で発表する。
変形性関節症は加齢やけがが原因で歩行困難になる病気で、国内に約700万人の患者がいるとされる。ヒアルロン酸を関節に注射して進行を遅らせることができるが、根本的な治療法はない。
クニウムチンは理化学研究所などが07年、エチゼンクラゲから見つけた。人間の胃液の主成分「ムチン」に似た構造を持つ。
佐藤准教授らは、関節の軟骨の表面にもムチンがあり、変形性関節症の人はその量が少ないことに着目。変形性関節症のウサギで実験したところ、ヒアルロン酸だけを注射したウサギより、ヒアルロン酸とミズクラゲやエチゼンクラゲから採取したクニウムチンを注射した方が、軟骨の厚さの回復がよく、損傷の度合いや範囲も大きく改善した。
佐藤准教授は「ヒアルロン酸がクニウムチンを包み、相乗効果によって軟骨に長くとどまるからではないか。大型の動物で安全性などを確認し、人の治療に役立てたい」と話す。【斎藤広子】
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