ストレス?人によって、違う。
小児ぜんそくの発生メカニズムって、それだけではないけど・・・

ストレスが子供の喘息を引き起こす可能性

環境的誘因が併存する場合にリスクがあることが研究で明らかに

Salynn Boyles

【7月21日】ストレスが多い家庭の子供は、交通による大気汚染、受動喫煙等の環境的誘因に関連した喘息のリスクが高い可能性があることが新しい研究で明らかになっている。

排気ガス汚染に日常的に曝露されている子供のうち、ストレスが最高度の家庭の子はストレスが低度の家庭の子に比べて喘息発症率が50%高かった。

環境的誘因が存在しない場合、ストレスは喘息リスクに大きな影響を及ぼさなかったと研究者であるサザンカリフォルニア大学(USC) Keck医学部のRob S. McConnell, MDは述べる。

「汚染が肺の炎症作用を引き起こすことは有名であり、また炎症は喘息の基本的な特徴である」とMcConnell博士はWebMDに語る。「ストレスにも炎症誘発作用があるため、ストレスと大気汚染の影響が重なると、いずれか一方よりも悪化することはもっともらしく思われる」

汚染、ストレス、喘息

この試験は、大気汚染が呼吸器の健康に及ぼす影響を検討する大規模試験に参加した約2,500例の年齢5-9歳の小児を対象とした。

参加時に喘息または喘鳴の証拠があった小児はなく、3年間にわたり全例が経過観察された。

小児のストレスのマーカーを直接計測することは容易ではないが、ストレスのマーカーとして親が子供のストレスレベルを調査する質問表への記入を行った。研究者らは、これ以外に受動喫煙、家庭の特徴、親の教育レベル(社会経済的地位の指標となる)等の情報も収集した。

3年間の試験期間中に120例が喘息を発症した。

ストレスのみでは喘息リスクの上昇は認められなかったが、ストレスの多い家庭と交通による汚染が高度な居住地の組み合わせが、居住地が交通渋滞地域のみの場合よりも大きい喘息のリスクファクターであることをMcConnel博士らUSCとSt. Michael’s Hospital(トロント)のグループは見出した。

母親が妊娠中に喫煙していた子供も、家庭環境にストレスが多い場合、喘息発症率が高かった。

「本研究から、ほぼ確実に複数の原因があるこの複雑な疾患に寄与する因子について、いくつかの新しい手がかりが得られる」McConnell博士は述べる。

喘息発症率は増加傾向

CDCによれば、喘息の有病率は1980年から1994年の間に75%増加し、年齢5歳未満の小児における喘息有病率はこの数年間で160%以上増加したという。

全世界では3億人が喘息であると推定されており、この数字が2025年まで4億人に増加すると世界保健機関は予測している。

喘息研究者であるノースカロライナ大学のDavid B. Penden, MDは、排気ガス、たばこ煙等の環境汚染物質への曝露が喘息患者の喘息症状を誘発することが次第に明らかになっているとWebMDに語る。

また、これらの汚染物質への曝露が喘息発症に何らかの役割を果たしているというエビデンスも増加しつつある。

McConnell博士らの研究は、喘息発症におけるストレスの役割を指摘する最近のいくつかの試験の1つである。

「免疫機能に関連した多くの異なる疾患におけるストレスの役割について多くのことがわかり始めている」とPenden博士は述べる。

ハーバード大学のBeth Israel Deaconess Medical Centerの研究者らによる一連の試験で、ストレスと幼児の喘鳴および他の喘息リスクファクターの増加との関連が認められたことをPenden博士は例に挙げた。

「ストレスが疾患に及ぼす影響についてはまだ解明されていないことが多いが、それでもこのデータは説得力のあるものになりつつあると思う」とPenden博士は述べる。

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2009.7.27 記事提供 WebMD