寒い季節は暖かいふろが恋しくなるが、冬の入浴は注意が必要だ。入浴中の突然死は例年、12月から2月にほぼ集中しているのだ。特に65歳以上の高齢者は、1999年に浴槽内で死亡した人の8割強(厚生労働省)を占めている。

主因は温度差だ。寒い脱衣所で衣服を脱ぐと、血圧が上昇し、脳出血を起こしやすく、その後、熱い湯につかると今度は血圧が急低下し、心筋こうそくや脳こうそくの危険性が高まる。よく暖まろうと熱い湯に長くつかってのぼせ、意識を失い、おぼれることも。体温調節機能も落ちているので要注意だ。

事故を防ぐには、まず、脱衣所や浴室をあらかじめ暖めておくこと。一番ぶろより、湯気で暖まってから入る二番ぶろが良い。入浴は40度ぐらいのぬるめの湯に、短めに入る。高齢者の入浴は家族が頻繁に声をかけるようにしたい。

(2001.2.10 日本経済新聞)