尿路結石を防ぐには


 尿路結石は腎臓結石ともいわれるが、結石は腎臓ばかりではなく、尿の流れる道全体にできる。すなわち、尿を作る腎臓から、それに続く尿管、膀胱(ぼうこう)、尿道にかけてである。結石は腎臓にあるときは痛みはないが、いったん尿管にでると、耐え切れないほどの激しい痛みが腹部や背中に起こる。
 結石の主な成分はカルシウム系のもので、尿中のシュウ酸とカルシウムが結合してでき、これは尿路結石の約80%をしめるという。他に痛風の原因になる尿酸でできる結石もある。尿路結石を起こす人は、数十年前に比べて、約2倍に増え、その原因は食生活の欧米化によると考えられている。
 その予防だが、ほうれんそうにはシュウ酸が多いので、とりすぎると結石ができやすいといわれていたが、大食しないかぎりその心配はなく、それよりも、日ごろカルシウムをしっかりとった方がよい。その理由はカルシウムをとると腸内でシュウ酸と結合し、便として排せつしてしまうために結石になりにくいからである。
 しかし、脂肪のとりすぎはよくない。腸内に脂肪酸が増え、これがカルシウムと結合してしまう。そのためシュウ酸が腎臓でカルシウムと結び付き、シュウ酸カルシウムができやすくなるからだ。
 肉や魚を多くとると尿が酸性になり尿酸結石ができやすくなるので、野菜や海藻、果物などのアルカリ性食品を十分にとる。尿が濃縮されると結石ができやすくなるので、日ごろ水分をしっかりとるのも大切。
(新宿医院院長  新居 裕久)

2007.9.29 記事提供 日経新聞