寒天の原料のテングサやノリなどの海藻(紅藻類)は人間の消化酵素で分解できないため、ダイエット食品としても使われているが、日本人の一部は腸内細菌の力を借りて、紅藻類を分解して栄養分にしていることが仏パリ大学の研究で分かった。北米では、こうした腸内細菌を持っている人は見つからず、食習慣の違いが影響しているらしい。8日付の英科学誌ネイチャーに発表する。
研究チームは、紅藻類を分解する酵素を海洋の微生物から発見。公開されている遺伝子のデータベースを調べたところ、この酵素の遺伝子を持つ陸上の微生物はいなかったが、日本人の腸内細菌から見つかった。
日本人では13人中5人がこうした腸内細菌を持っていたが、北米の18人で持っている人はいなかった。日本人は古くからノリなどをよく食べており、腸内細菌は、ノリなどと一緒に口に入った微生物から紅藻類を分解する遺伝子を取り込んだらしい。
東京大学の服部正平教授(情報生命科学)は「腸内細菌は健康や病気に影響を与えている。解析が進めばコンニャクを分解する腸内細菌なども見つかり、食品の機能評価も変わるかもしれない」と話している。