ウエストよりもBMI、メタボ構成要素と連動
一般健診受診者を対象とした検討結果を大阪医科大学・石坂信和氏が報告
メタボリックシンドロームの重要な構成要素に肥満があり、現在ウエスト周囲径(WC)がその基準として取り上げられている。一方、肥満の指標としてはBMIも汎用されている。大阪医科大学第三内科の石坂信和氏は、2年連続で受診した一般健診受診者を対象にWCおよびBMIの変化とメタボリックシンドローム構成要素(脂質、血圧、血糖)の変化の関連を比較・検討し、7月15日のシンポジウムで発表。WCよりもBMIがより強く連動する傾向が見られたと解説した。
BMI・WC変化率の四分位を用いて、メタボ構成要素との関連を検討
対象は2年(2回)続けて一般健診を受診した男性1971人、女性1140人。平均年齢は男性、女性ともに53歳程度だった。変化率(%)は「(2回目の値−1回目の値)/1回目の値×100」の式で求めた。この変化率で分けたBMI、WCの四分位は以下のとおり。
○BMIの変化率(%)
Q1 −21.8-−1.8
Q2 −1.8-−0.2
Q3 −0.2-+1.4
Q4 +1.4-+15.6
○WCの変化率(%)
Q1 −21.2-−3.4
Q2 −3.4-−0.1
Q3 0.0-+3.2
Q4 +3.2-+33.3
まず、BMI、WCの変化率と脂質プロフィール変化率との関連を見ると、男女ともにBMI四分位が上昇するにつれ、中性脂肪(TG)、LDLコレステロール、HDLコレステロールが有意に悪化し、多変量線形回帰分析によりBMIは独立した関連因子であることが示された。一方、WC四分位の上昇とともにTG、LDLコレステロールは有意に悪化したが、HDLコレステロールは男性のみ有意な関連が見られ、多変量線形回帰分析の結果、脂質プロフィールとの関連においてBMIと独立していないことが示された。
同様に収縮期血圧変化率との関連を検討したところ、男女ともにBMI四分位上昇に従い収縮期血圧は有意に増加し、独立した関連因子であることが示されたが、WC四分位の上昇は男性においてのみ血圧の変化率と関連が認められたが、この関係はBMIの変化率と独立したものではなかった。
さらに血糖変化率との関連に関して、空腹時血糖、HbA1c、HOMAを用いて解析。その結果、おおよそ脂質、血圧と同様の傾向が見られ、男性でBMIは空腹時血糖、HbA1c、HOMAの独立した関連因子であり、WCは有意な関連は認めるものの独立した因子とは認められなかった。女性ではBMIがHOMAの独立した因子として示されたのみで、その他に有意な関連は検出されなかった。
この結果を踏まえて石坂氏は「WCの変化に比べBMI、すなわち体重の変化の方がよりメタボリックシンドロームの構成要素の変化に連動していることが示された」と解説し、「ウエスト周囲径よりも体重に着目した戦略が必要かもしれない」と今後の検討課題を提示し演題を終えた。
2010.7.21 記事提供:m3.com |