摂り方しだいで効果2倍、3倍!
「あの悩み」を解消する

よくいわれる「食べ合わせ」ですが、薬ではないので、すぐには効きません。少しずつでも食べ続けることが大事です。そうすれば、体質も確実に変わってきます。

肌荒れ解消
ビタミンB2の働きを補ってニキビや吹き出物を抑える

<抹茶+落花生>
皮膚の新陳代謝が悪くなると起きてくる肌荒れ。特にビタミンB2が不足するとニキビや吹き出物の原因に。抹茶はビタミンB2が豊富に含まれており、しかも煎茶類と違って粉末なのでお茶に含まれる有効成分を少量でもムダなく体に取り込むことができる。落花生にはビタミンB6も皮膚のトラブル解消に効果があるもの。ビタミンB2はビタミンB6の働きを助ける作用があるので一緒に食べることでさらに効果がアップする。

また、落花生の茶色の薄皮には不溶性食物繊維のリグニンといった悪玉コレステロールを除去し、がんを予防する成分も含まれているので皮ごと食べるのがおすすめ。ただし落花生は食べ過ぎるとカロリーオーバーになるので1日10粒ぐらいが目安。

抹茶は最近では缶茶などで抹茶の中に配合されたものが市販されているがこれを利用してもOK。

<レバー+大豆も>
レバーもビタミンB2が豊富。肌の潤いに欠かせない良質の動物性蛋白質も含んでいるので肌荒れには効果的。

「畑の肉」といわれる大豆は良質なたんぱく質と脂質、ビタミンB群が多く、特に大豆のビタミンB6はレバーのビタミンB2の働きを助けるもの。レバーと豆腐などの炒めものにして食べると効率的。

冷え性に効く!
血行促進にダブルで効く!

<納豆+玉ねぎ>
血液の循環が悪いことから起こる冷え性は血行を促進するのが一番。玉ねぎに含まれているケルセチンはポリフェノールの一種で血行をよくする働きがあり、納豆にはナットウキナーゼという酵素が血栓を溶かす作用があるので血行促進に。冷え性の人は体が冷え切っているのでダブル効果で体も温まる。

普通、納豆にはねぎを刻んで入れるが、ねぎよりも玉ねぎはケルセチンが豊富。
納豆の栄養価を最大限に生かすには、加熱すると納豆菌の働きが悪くなったり、酢を使うとたんぱく質の吸収を妨げるのでそのまま食べるのがベスト。

貧血予防
ビタミンB12は「赤いビタミン」
<いちご+チーズ>
顔色が悪い、疲れやすい、立ちくらみ、動悸、息切れがするといった貧血の症状は女性に多く、慢性的な貧血で悩む女性は5人に1人ともいわれている。

チーズに含まれているビタミンB12は赤いビタミンといわれるほど造血作用があるもの。これが不足すると悪性貧血になるほど大切な栄養素。日ごろから積極的に摂るのがベスト。

このビタミンB12の働きをよくするのがビタミンC。いちごはビタミンCの宝庫といわれるくらいビタミンCの必要量が摂取できる。サラダやおやつとしていちごにカッテージチーズなどをかけて食べるだけで貧血予防に。

生理痛をやわらげる

血の滞りをなくして痛みをとる!
<ローリエ+バター><うど+ごま>
ローリエに含まれる精油成分は痛みをとるといわれる薬効成分。精油成分は油に溶けるので植物油ばかりか動物性脂肪のバターを使ったシチュー料理に利用してもさらに効果が倍増。

うどに含まれれうオストールという成分も痛みをとる作用がある。ごまは昔から生理痛を和らげる民間薬として知られ、血液循環をよくする。ごまの主成分は脂質。オストールは油に溶ける成分なので一緒に摂ることでオストールの効果が倍増し生理痛の痛みも解消。うどはきんぴらなどにしてごまをかけて食べる。

更年期障害を緩和する
たんぱく質の吸収をよくし、女性ホルモン減少を助ける
<やまいも+たら><マシュマロ+キウイフルーツ>
更年期障害は女性ホルモンの減少によって肌のくすみや発汗、頭痛といったさまざまなトラブルが起きるもの。これを解消するには良質のたんぱく質が必要。体のたんぱく質の約3分の1はコラーゲンといわれるように不足すると体も活性化しない。マシュマロにはコラーゲンが豊富に含まれているのでこれを摂ることでコラーゲン代謝が活発になり、体の不調も解消される。

ビタミンCも体の免疫力をアップさせるのに欠かせない成分。ビタミンCはコラーゲンの生成を高めてくれるのでビタミンCの豊富なキウイフルーツと組み合わせるとコラーゲンの効果がより高まる。
特にストレスを感じやすい人、タバコを吸う人などは1日1個のキウイフルーツを食べることをおすすめ。この組み合わせは美白作用もあり。

やまいもに含まれるDHEAはホルモンの元になる成分。たらのたんぱく質とのダブル効果で更年期障害のホルモン減少を助けてくれる。ただし、やまいもの栄養素を十分に摂取するにはすりおろしたり、千切りで生で食べること。加熱したり、酢を加えると酵素の働きが失われる。

肩コリに効く!
筋肉にたまった疲労物質を取り除く作用を助ける
<もろみ酢+ゆず><レモン+オリーブ油>
もろみ酢はエネルギー代謝には欠かせないクエン酸をはじめ、アミノ酸やビタミン、ミネラルなどが豊富に含まれている酢。特にクエン酸は血行をよくして筋肉にたまった疲労物質(乳酸)を取り除く作用があり、肩コリなどの筋肉痛に効果的。クエン酸がビタミンCの働きをよくする。

ビタミンCも血行をよくするが、ゆずはビタミンCが豊富でビタミンCの含有量は果実で100gあたり40mg、皮には果肉の約4倍ものビタミンCが含まれている。ゆずを絞って、皮を千切りにし、もろみ酢と合わせて丸ごと酢の物で。

また、レモンもビタミンCが豊富で、レモンに含まれる酸味成分はクエン酸(レモン1個に4g)だが、疲労回復の効果があり、エネルギー代謝を活発にする。

植物油のなかでも消化吸収のよいオリーブオイルには体の酸化を防ぐビタミンEが豊富。ビタミンCとビタミンEは働きを助け合う相乗効果があるので効果もアップ。サラダのドレッシングなどに。

老化防止
ビタミンCとEがコラーゲン代謝を活発に
<菜の花+アーモンド>
菜の花はビタミンCが豊富なばかりか、カルシウム、鉄分、食物繊維やたんぱく質と女性の体には欠かせない栄養成分がたっぷり。特にビタミンCは体の若さを保つコラーゲン代謝を活発にするので筋肉や骨を若返らせてくれる。

アーモンドはビタミンEの宝庫。コラーゲンは紫外線によって発生した活性酸素によって変質するが、ビタミンEがそれを防いでくれる。相乗効果で体はさらに活性化!

抜け毛予防
ビタミンB2の作用を助ける
<牛乳+かぼちゃ>
髪の毛は含流アミノ酸という硫黄を多く含んだたんぱく質や亜鉛が主成分。この成分を積極的に摂ることで良質な毛髪となり、抜け毛、薄毛を防ぐことができる。また、ビタミンB2が欠乏すると毛根の細胞の働きが悪くなる。これらのたんぱく質やビタミンB2が豊富なのは牛乳。かぼちゃにはがんや老化を防ぐカロテンが豊富に含まれているが、カロテンはビタミンB2の働きを助ける作用があるので効果も倍増。

頭痛をやわらげる
ハーブの薬効をより効果的に!
<オレガノ+豚肉>
オレガノのハーブの精油成分には頭痛を解消する薬効がある。精油成分は油に溶けるので良質の油を含んだ豚肉と食べ合わせることで効果もさらにアップ。

豚肉の脂肪分は不飽和脂肪酸が多く、脳を活性化させるビタミンB1は牛肉よりも豊富。血液の酸化を防ぎ、毛細血管の血行をよくするので頭痛解消に。脂肪分の多い部位を使って豚肉の角煮などにして摂るのが効率のよい食べ方。

不眠解消
鎮静成分がダブルで効く!
<ほうれん草+レタス>
不眠はイライラや精神の緊張が続いて起きることが多く、ほとんどがストレスや神経性のもの。ほうれん草に含まれるマンガンという成分は鎮静効果がある。また、レタスに含まれるラクッコピコリンという成分も古くから鎮静・安眠効果があることで知られているが、イライラ解消にも。

この2つを組み合わせるとダブル効果で気持ちが落ち着いて不眠解消に。ただし、夜は生で食べると体を冷やすことになるので、ほうれん草とレタスをちぎって入れた温かいスープにするのが簡単で効率のよい食べ方。しかし、食材は睡眠薬のような即効性はないので毎日少量でも摂り続けることが大切。

カルシウムの吸収を助ける!
<ヨーグルト+豆乳>
カルシウムにもイライラや情緒不安定、不眠症の改善など精神を落ち着かせる鎮静効果がある。ヨーグルトはカルシウムが豊富だが、このカルシウムの吸収をよくするのが豆乳に含まれているマグネシウム。

豆乳は大豆の栄養素が手軽に摂れる健康飲料。牛乳を飲むとお腹がゴロゴロするといった牛乳が苦手な乳糖不耐症の人でも豆乳なら安心。大豆の香りが濃くてダメなら調整豆乳を。

ヨーグルトは熱いスープやコーヒーなどと一緒に摂ることも1つの方法だが、ヨーグルトに豆乳をかけて食べれば不眠解消ばかりか美肌づくりや骨粗鬆症の予防にもなって一石二鳥。

ダイエット効果
水溶性食物繊維が長時間の空腹を防ぐ

<スーパースプラウト+酢>
ダイエットに食べすぎは禁物。昆布のヨウ素は新陳代謝を活発にし、水溶性食物繊維が腸に長時間とどまり糖質、脂肪の吸収を遅らせるので空腹を防いでくれる。また、唐辛子のカプサイシンは脂肪細胞から脂肪を引き出して燃焼しやすくする効果があるのでダイエットには強力な組み合わせ。

スーパースプラウトに含まれるスルファラファンは新陳代謝を活発にし、ダイエット効果がある。消化の遅い水溶性食物繊維が食べすぎを防いでくれる成分。

酢はクエン酸がコレステロールと中性脂肪を分解する作用がある。また、エネルギー代謝を活発にし、スーパースプラウトとのダブル効果でダイエットに効果的。酢を合わせ入れたドレッシングでたっぷり食べても安心。クエン酸は疲労回復の効果もある。

骨粗鬆症
カルシウム+ビタミンで吸収よく

<ひじき+かつおの塩辛>
ひじきはカルシウムが昆布の2倍、牛乳の約14倍と豊富。食材に含まれる栄養成分のなかでもカルシウムとマグネシウムの割合は2:1ぐらいのときが体内でいちばん効率のよい働きをするといわれているが、ひじきはカルシウムが1400mg、マグネシウムが620mgと理想的なバランス。またかつおの塩辛の豊富なビタミンDがカルシウムの吸収を高め、骨粗鬆症には強力な組み合わせ。ひじきを食べるときはかつおの塩辛も一緒に。

口臭
しょうがの香り成分には消臭効果も
<ヨーグルト+しょうが>
口臭の原因は胃腸の働きが悪く、胃腸に食物が長時間留まっていることも原因の1つ。ヨーグルトに含まれる乳酸菌は腸を活発にするので消化吸収がよくなる。

しょうがに含まれるショーガオールやジンゲロンの辛み成分には強い殺菌効果と消化吸収を助ける作用、しょうがの香り成分には解毒作用ばかりか消臭効果もあり、ダブル効果で口臭予防に。食後のデザートなどにヨーグルトにすりおろしたしょうがをかけて。

花粉症の症状緩和
免疫力をたけめる成分を簡単に!
<りんご+トマト>
免疫力の低下などからおきてくる花粉症。りんごに含まれているリンゴポリフェノールは免疫力を高める作用がある。

また、トマトのナリンギニンカルコンは花粉症予防効果があるといわれ、免疫力を低下させる活性酸素を除去してくれる。2つのダブル効果で花粉症には効果的。

しかし、トマトもりんごも皮の部分にこそ食物繊維や栄養価や薬効が多いので皮付きのまま食べるのがベスト。効率よく摂るには新鮮なりんごとトマトをジュースにするのが一番。

腰痛緩和
角質層の代謝をよくして痛みを和らげる
<手羽先+なめこ><牛すじ肉+やまいも>
手羽先に含まれているコラーゲンはコラーゲン代謝といって皮膚の新陳代謝を活発にするもの。コラーゲンは真皮の角質層に含まれているが腰痛(筋肉痛)などはこの角質層の代謝が悪くなると起きてくる。コラーゲン代謝を活発にすることで腰の痛み、肩コリが解消できるばかりか、手羽先は楊貴妃が毎日食べていたといわれるくらい美肌効果も。

ぬるぬる成分の代表がムチンという糖たんぱく。なめこに含まれているムチンはコラーゲンの吸収を高める作用が。手羽先の唐揚げなどを食べるときはなめこ料理もプラス。

また、牛すじ肉にもコラーゲンがたっぷり。やまいもは「若返りの食品」といわれるが、やまいものムチンがコラーゲンの吸収をよくする。やまいもは火を通さず生が一番。

組み合わせによって効果が2倍以上になることも
病気の治療に効果をあげるために何種類かの薬を併用して使うことがあります。それと同じで食材には薬と同じような効き目をもつ栄養成分が含まれていますが、その組み合わせを上手にすることで薬と同じように効き目が2倍にも3倍にもなるのですね。

最近は病気の90%以上が活性酸素が原因といわれていますが、活性酸素の毒素を除去するのがポリフェノールやビタミンC、Eなどの抗酸化物。たとえばビタミンEには抗酸化力はありますが、ビタミンEを単独で使うよりもビタミンCを加えると相乗効果でお互いの働きがよくなって効き目がグンとアップする。また、カルシウムの吸収をよくするのはマグネシウムといったようにどちらか片方の成分の働きをよくする組み合わせや栄養成分は違っても同じ効果が期待できるものもあります。

料理は薬と違って治療だけでなく、予防にも大きな効果を発揮するので少量でも効率のよい食べ方を続けるのが一番。しかし、素材によっては火を通したり、酢を入れると栄養成分を損なうものもあるので損な食べ方はしないこと。
白鳥早奈英先生
栄養学博士。日本で初めて栄養学的な面から「食べ合わせ」を提唱。テレビの健康番組でコメンテーターをつとめるほか、新聞、雑誌で活躍中。「食べ合わせ」に関する著書多数。

生活習慣の改善を含めて、食品を摂ることで、体質を改善することを期待する
食べ合わせの効果には、いっしょに食べると吸収がよくなるもの、逆に吸収を抑制したり排出してくれるもの、効果が高まるものなどがあります。左の表にまとめてありますので参考にしてください。ただ、これらはあくまでも食品だということも忘れないようにしてほしいですね。

たとえば冷え性の場合、ひどい人では足先が紫色になり壊死してしまうほどの症状になることもあります。こういう人に黒豆きな粉入りのココアをすすめるのは的外れ。すぐに医師の診察を受け、血管拡張剤などの治療が必要になります。そこまで症状が悪くなくても、いつも冷えて辛い、という場合はサプリメントで対応することもあります。食品では症状をとるものではなく冷え性体質を改善することで期待する感じでしょうか。

はっきりとした不快な症状があるなら、医師の診察を受け、そこまでのことがなければサプリメントを利用し、食品を選ぶ場合は、生活習慣の改善を含めて、食品の健康効果を利用していくのがいいと思います。健康を維持するのが食品で、病気を治すのが薬、サプリメントはその習慣です。
姫野友美先生
女性のための生涯医療センターViVi、テーオーシービル診療所心療内科担当医。温泉療法医でもある。女性の心と体を癒す「おもいッきりテレビ」などでもおなじみの医学博士。

食べ合わせ早見表

特徴
成分
内容
いっしょに食べると吸収がよくなる ビタミンDとカルシウム  植物性の鉄と有機酸  アリシンとビタミンB1 天日干ししいたけに含まれるビタミンDはカルシウムの吸収をよくします。植物性の鉄は吸収が悪いので酢をいっしょに摂るといいでしょう。アリシンはにんにくなどに含まれる成分。ほかトマトのリコピンとオリーブ油も○。
いっしょにたべるとよくない部分が排出または吸収を抑制 脂肪と食物繊維
カリウムとナトリウム
食物繊維(玄米やオートミール豆、海藻など)を摂ると余分な脂肪や発がん物質などの吸収を妨げ排出を促します。カリウム(緑黄色野菜など)を摂ると塩分のナトリウムが排出され、むくみを防ぐことができます。
いっしょに食べると効果が高まる ビタミンK2とカルシウム イソフラボンとカルシウム イソフラボンとカプサイシンDHAとビタミンA、C、E ビタミンK2は納豆に多いビタミンでカルシウムの吸収を助け、骨が脆くなるのを防ぎます。大豆に多いイソフラボンと唐辛子のカプサイシンは血行をよくし、薄毛予防になります。青魚のDHAはビタミンA、C、Eとセットで。