葉酸の効果?

葉酸によって先天性心疾患は予防できるのか
「赤ちゃんが生まれる前に」

カナダにおける葉酸摂取量を増やすための公衆衛生対策の結果、出生時における重度の先天性心疾患の罹患率が低下し、葉酸にはこの転帰に対する予防効果があるという仮説が裏付けられていると研究者らは述べる
Laurie Barclay

webMDの専門ニュースサービスHeartwireより-

【フロリダ州オーランド 11月16日】妊娠前および妊娠中の葉酸が重度の先天性心疾患の予防に役立つことが新しい研究から示唆されている。Dr Raluca Ionescu-Ittu(McGill Adult Unit for Congenital Heart Disease、カナダケベック州モントリオール)は、先週の米国心臓協会(AHA)2007 Scientific Sessionsにおいて人口調査の知見を報告した。

Ionescu-Ittu博士は、これまでに1998年の1件の臨床試験で同様の関連が示されているが、この試験では先天性心疾患は二次的転帰にすぎなかったとheartwireに語った。それ以降、「数件の症例対照研究および動物試験が行われたが、AHAでさえ、今年の科学的声明において地域住民ベースでの何らかのエビデンスが本当に必要であると宣言した。そして、本データはこれに該当する最初のデータである」とIonescu-Ittu博士は指摘した。

1998年にカナダにおいて精白小麦粉に葉酸を添加することが義務付けられた後、葉酸強化前の期間と比較して重度先天性心疾患を有する新生児が7%減少したことが明らかになった。

前途有望なスタート

葉酸強化前(1990-1998年)と葉酸強化後(1999-2004年)の期間のケベック州の行政データを用いて、研究者らは生産児および死産児の重度先天性心疾患ファロー四徴症、心内膜床欠損症、単心室、総動脈幹症、transposition
complexes)に注目した。

葉酸強化前では、重度先天性心疾患が1年に1%増加していた(p=0.34)が、葉酸強化後では、6%と有意に減少した(p=0.006)。

「重度先天性心疾患患者は多くの外科的介入を必要とし、出生時罹患率の7%の減少であっても非常に重要である」とIonescu-Ittu博士は述べた。

この関連は神経管欠損症について認められた関連に比べると小さいが、先天性心疾患のさらなる罹患率減少のためには、さらに高用量の葉酸が必要であると考えているとIonescu-Ittu博士は述べた。「先天性心疾患に対する真の効果はわれわれが認めた効果よりも大きいと考えている」

「先天性心疾患を一次転帰とし、さらに高用量の葉酸を用いる試験によって、この知見を確認することが適切であろう」とIonescu-Ittu博士は述べ、同博士が知る限り、そのような試験は計画されていないことを指摘した。

「先天性心疾患についてはスタートしたばかりであるが、非常に前途有望なスタートである」とIonescu-Ittu博士は結論した。

Ionescu-Ittu博士らは本研究に対してT Duckett Jones Memorial Lecture and Outstanding Research Award in Pediatric Cardiologyを受賞した。

Heartwire(WebMDの専門ニュースサービス)の全文は、www.theheart.org(心血管領域の医療専門家向けウェブサイト)で閲覧できる。



2007.11.16 記事提供 Medscape