日本人のもっとも不足している食品は、野菜。厚生労働省では、一人一日野菜を350グラム以上、内緑黄色野菜を120グラム以上とることを目標にしている。しかし、最近の国民健康・栄養調査の結果によると、70グラム前後不足しているようだ。
これでは、メタボリックシンドロームになりかねない。野菜は低エネルギーで、生活習慣病の予防になるビタミン、ミネラル、食物繊維、ポリフェノールなどのファイトケミカルをたくさん含んでいるからだ。そこでおすすめしたいのは、とん汁(ぶた汁ともいう)。
とん汁とは、豚肉に野菜などを加えて味噌(みそ)汁仕立てにした汁物をいう。普通の味噌汁に比べて具の多いのが特徴で、食べる味噌汁ともいわれる。
これでごはんを食べれば栄養のバランスをとることも可能である。よく使われる材料は、豚肉、油揚げ、そして人参、ごぼう、大根、さといも、こんにゃく、ねぎなど7.8種類。これらを好みの形に切って、サラダ油でいため、だし汁を加え、少し煮て味噌で味をつける。
この料理法が好ましいのは、野菜類に多く含まれるビタミンB群、Cといった水溶性ビタミンが汁に溶け出してくれること。ビタミンA(カロテン)、Eなどの脂溶性ビタミンの吸収率が高まることなどである。
また、血圧上昇を防ぐカリウム、カルシウム、マグネシウムなどがとりやすく、さらに具をたくさん入れた分汁の量が減り、その分減塩ができる。牛乳とよく合い、食べる時に加えるとうまみとコミがでてより減塩しやすい。
(新宿医院院長 新居 裕久)
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