シメジに乳がん細胞増殖抑制効果が

シメジ、乳がん細胞増殖抑止効果か 静岡・沼津工業技術支援センター

◇「さらに検証必要」

 県工業技術研究所沼津工業技術支援センター(沼津市)は16日、ホルモン依存性の乳がん細胞の増殖を抑える物質がシメジに含まれている可能性があると発表した。センターのバイオスタッフ主任研究員、岩原健二さん(農学博士)は「まだ基礎研究の入り口段階で、有効かどうかはさらに検証と研究が必要だ。今後1、2年で大学との共同研究にもっていけるかどうか、目星をつけたい」と話している。

 岩原さんの研究発表によると、野菜、果物やキノコ類の42種からエタノールで含有成分を抽出。1リットル当たり1000分の1グラム程度の低濃度の溶液を乳がん細胞に添加し、5日間培養して効果を比べた。その結果、シメジから抽出した9種の成分のうち1種に、細胞の増殖を50%以上抑える働きが見られたという。

 研究では実験用に凍結保存されている乳がん細胞(T47D)を使った。閉経後の乳がん細胞は、ホルモンが酵素の作用で別のホルモンに変わり、活性化したホルモンがエストロゲン受容体(たんぱく質)と結びついて増殖する。この酵素の働きを阻害すれば増殖の連鎖を断てることに着目し、シメジなどの含有成分の効果をみたという。【安味伸一】

2009.4.17 提供:毎日新聞社