コーヒーの効果、慢性C肝の進行が低減

毎日コーヒーを飲んでいると、慢性C型肝炎の進行リスクが低減する

日常的なコーヒー摂取とC型肝炎関連の肝疾患進行率の低さとの間に関連があることが、大規模前向き試験で示された

Laurie Barclay

【11月2日】『Hepatology』10月20日号オンライン版に発表された大規模前向き研究の結果によると、コーヒーを1日に3杯以上飲むことで慢性C型肝炎進行のリスクが低減する。

「この研究は、C型肝炎に関連する肝疾患の進行とコーヒー摂取量との関係を扱ったものとして初めてである」と筆頭著者である米国国立がん研究所(メリーランド州ロックヴィル)のNeal Freedman, PhD, MPHが記者会見で語った。「HCV(C型肝炎ウイルス)の感染者は多数いるので、肝疾患の進行に関連する修正可能なリスク因子を特定することは重要である。コーヒー飲用に伴うその他の因子が関与している可能性は捨てきれないが、今回の研究の結果から、コーヒー摂取量が多い患者は疾患進行のリスクが小さいことが示された。」

この研究のサンプルは、「C型肝炎の肝硬変に対する抗ウイルス長期治療(HALT-C)」研究の被験者で、C型肝炎による線維性架橋形成か肝硬変が肝生検で確認され、ペグインターフェロンとリバビリンの併用治療でも持続的ウイルス学的反応が達成できなかった766名である。

3.8年間の追跡の中で3か月ごとに評価された臨床転帰は、腹水、慢性肝疾患の進行、肝関連死亡、肝性脳症、肝細胞がん、特発性細菌性腹膜炎、胃・食道静脈瘤出血、肝線維化の進行である。肝硬変をもたない被験者ではその他の転帰として、1.5年と3.5年の時点で実施した生検によるIshak線維化スコアの2点間増加幅があった。

ベースライン時において、コーヒー摂取量が多いほど、生検所見での重度の脂肪変性が少なく、アルブミンレベルが高く、血清中アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ/アラニンアミノトランスフェラーゼ比(AST/ALT比)、アルファフェトプロテイン(AFP)、インスリン値、ホメオスタシスモデル評価(HOMA)スコアが低かった(すべての比較でP < .05)。

これらの転帰は230名の患者で見られ、コーヒー摂取量が多いと発生率は小さくなり、100患者年あたりの発生率は、摂取なしの場合が11.1、1日に1杯未満の場合が12.1、1日に1杯から3杯未満の場合が8.2、1日に3杯以上の場合が6.3であった(傾向のP値 = .0011)。コーヒー摂取なしの場合に比較したそれぞれの相対リスク(RR)は、1日に1杯未満の場合が1.11(95%信頼区間[CI]は0.76 - 1.61)、1日に1杯から3杯未満の場合が0.70(95%CIは0.48 - 1.02)、1日に3杯以上の場合が0.47(95%CIは0.27 - 0.85)であった(傾向のP値 = .0003)。

ベースライン時での治療割り付けと肝硬変の有無は、リスク推測値に影響せず、緑茶または紅茶の摂取量も転帰に関連していなかった。

この研究の限界としては、デザインが観察的研究であること、健康な集団への一般化ができないこと、自己申告データに基づいていること、カフェイン抜きコーヒー・ソフトドリンク類・コーヒーを淹れる方法に関する情報が欠けていることが挙げられる。

「C型肝炎関連の進行肝疾患を有する被験者を対象にした大規模前向き研究において、日常的なコーヒー摂取と疾患進行率の低さとの間に関連があることが示された」と著者らは記している。「本研究で観察されたコーヒーと肝疾患進行との関連性は、アルコール摂取と喫煙とは独立していた。」

この研究は、米国国立糖尿病消化器腎疾患研究所、国立アレルギー感染症研究所、国立がん研究所、国立少数民族健康・健康較差センター、国立研究リソースセンター、国立衛生研究所の支援を受けている。またこの研究は、米国国立衛生研究所との共同研究開発契約に基づいて、Hoffmann-La Roche社からの資金援助を受けて実施された。著者のうち7名が、Hoffmann-La Roche社との間にさまざまな金銭的利害関係を持つことを開示している。

Hepatology. 2009;50:1360-1369.

Medscape Medical News 2009. (C) 2009 Medscape

 

 

2009.11.16記事提供:Medscape