第39回 日本皮膚アレルギー・接触皮膚炎学会総会学術大会 (11月6日〜8日)
一般演題
ヨーグルト・乳酸菌飲料の摂取がアレルギー疾患の有病率に関連
ヨーグルト・乳酸菌飲料の摂取がアレルギー疾患の有病率に関連
乳幼児を対象とした調査結果を和歌山県立医大・古川福実氏が報告
11月6日の一般演題で和歌山県立医科大学皮膚科の古川福実氏が乳幼児を対象に各種アレルギー疾患の有病率と背景因子を調査した研究の中間報告を行った。その結果、ヨーグルト・乳酸菌飲料を摂取していない乳幼児では、摂取している乳幼児に比べアレルギー疾患の有病率が有意に高いことが分かり、古川氏はさらなる研究の必要性を強調した。本調査は和歌山県の助成でNPO日本健康増進支援機構(理事長 榎本雅夫氏)が行った。
乳幼児2648人を対象にアレルギー疾患と背景因子を調査
対象は和歌山県御坊市と日高郡の乳幼児2648人。4カ月児、10カ月児、1歳6カ月児、3歳児に問診・健診およびアンケート調査を行い、各種アレルギー疾患の有病率と背景因子を検討した。問診・健診は保健師、小児科医が担当した。
時期別の問診・健診の結果を見ると、「乳児湿疹・アトピー性皮膚炎」は10カ月児で14.3%と最も高く、それ以降は3歳児で9.3%と月齢の増加にしたがって有病率が低下した。反対に、「乳児・小児喘息」、「アレルギー性鼻炎」、「アレルギー性結膜炎」は月齢の増加に伴い、有病率の上昇を認めた。
同様に時期別のアンケート調査の結果からは、「湿疹・アトピー性皮膚炎」の有病率は月齢による差を認めなかったものの、「喘息」、「鼻炎」、「結膜炎」は月齢が上がるごとに上昇していた。
次にヨーグルト・乳酸菌飲料の摂取状況とその影響について調査したところ、母親81%、妊娠中93%、乳幼児84%が摂取しており、母親の摂取(妊娠中を含め)の有無による乳幼児のアレルギー疾患有病率には有意な差が見られなかった。
一方、乳幼児のヨーグルト・乳酸菌飲料の摂取はアレルギー性疾患の有病率と関連性が示された。ヨーグルト・乳酸菌飲料を摂取していない乳幼児では、問診・健診から「乳児湿疹・アトピー性皮膚炎」、アンケート調査から「食物アレルギー」、「湿疹・アトピー性皮膚炎」の有病率が有意に高いことが明らかとなった。
古川氏はこれらの結果を踏まえ、「乳幼児における乳酸菌の摂取がアレルギー性疾患の発症を抑制する可能性が示唆される」と述べ、さらなる検討の必要性を強調した。
本調査では、引き続き妊婦と新生児を対象にビフィズス菌を投与し、アレルギー疾患の予防効果を見る早期介入試験が進行中。妊婦は出産予定日4週前から分娩まで、新生児は生後1−2週間から6カ月後まで毎日ビフィズス菌を服用し、4カ月時、10カ月時、1歳6カ月時、3歳時のアレルギー疾患の有病率を評価する。本試験はランダム化群間並行比較試験。来年の本学会で続報が発表される予定だ。伊藤 淳(m3.com編集部)