みかんといえば、温州みかんをさす。これは柑橘類のなかでも皮が薄くてむきやすく、原産地は九州。江戸時代初期に中国から伝わった柑橘類から偶然に生まれた品種だという。
みかんは栄養的にみると、炭水化物とカロテン、ヘスペリジン(ビタミンP)、ビタミンC、食物繊維が多く含まれている。甘味は蔗糖、果糖、ブドウ糖。酸味は主としてクエン酸によるもので、ともに疲労回復に役立つ。カロテンは体内でビタミンAにかわり、皮膚、粘膜を丈夫にし、風邪などの感染症を予防する。
またカロテンの一種であるベータークリプトサンチンが多く含まれ、これは、抗酸化作用が強くがん、特に肺がんを防ぐという。またヘスペリジンは、毛細血管を丈夫にし、脳出血を防ぐ。これは血管の結合組織、コラーゲンを作るのに必要なビタミンCの働きを補強するからだ。
ビタミンCは100グラム中に35ミリグラム含まれるので、3個位食べれば、1日の所要量を満たすことができる。ビタミンCはヘスペリジン同様、抗酸化力が強く、活性酸素を消去して、各種生活習慣病を防ぐ。また寒さなどのストレスに対抗する副腎皮質ホルモンを作るのになくてはならないビタミンである。
食物繊維は不溶性と水溶性の食物繊維(ペクチン)が半々に含まれている前者は便秘の予防・治療になり、後者は血中総コレステロール値の上昇を抑える。ところで、みかんの有効成分は果肉よりも筋や袋の部分に数倍も多く含まれているので、よく噛んで食べたほうが健康的だ。
(新宿医院院長 新居 裕久)