主食偏重の食習慣を持つ日本人にとっては、減塩は大変困難なことだ。国は1日10グラム未満の目標値を掲げているが、現在日本人は1人1日12グラム前後の食塩をとっている。ところで、近年たんに食塩摂取量を落とす方法よりも、血圧上昇を抑える食品を組み合わせた方がより効果的であることが米国の研究で分かった。
これをDASH食(高血圧予防のための食事)と呼んでいる。その方法は、今まで高血圧予防であまり注目されていなかった食品を組み合わせること、すなわち低脂肪乳製品(飽和脂肪酸とコレステロールが少なくカルシウムが多い)、他にカリウム、カルシウム、マグネシウム、食物繊維を多くとる。
これらは、野菜、果物、海藻、きのこ、芋、豆、種実、雑穀類などに多く含まれる。この種の食事をとると、多少食塩の摂取量が増えても血圧が低下したという。
これらの栄養素は、動物や人を対象にした研究から、血圧の上昇を抑えたり、下げたりする働きのあることが実証されているものばかり、そこで、これらの食品を組み合わせてとると相乗効果が期待できる。
現在日本人がとっている食事とDASH食を比べてみると、脂肪摂取が全体的に少なく、炭水化物の多い点は似ているが、コレステロールと食塩の量が多く、一方カリウム、食物繊維の量が一般に少ないという。
これを念頭において、DASH食を試みては。具体的には、野菜などの植物性食品を十分にとることで解決できそうだ。
(新宿医院院長 新居 裕久)