すっきりしない天気が続いている。湿気の多い梅雨のこの時期は、特に食べ物の鮮度に注意を払わなければならない。O111、O157などによる集団食中毒のニュースも記憶に新しい。そこで古来、食べ物を傷みにくくさせ、悪玉菌の働きを抑える作用があるという酢に改めて着目したい。(川村達哉)
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記事本文の続き 酢の主な原料は、コメ、小麦などの穀物やリンゴなどの果実(果汁)。それぞれ米酢、穀物酢、リンゴ酢などに加工される。酢がすっぱいと感じるのは、酢酸など有機酸が含まれているからだ。定番調味料のソース、ケチャップ、マヨネーズ、ドレッシングにも酢は入っている。
「お酢は、塩、砂糖…と並ぶ基礎調味料です。食べ物の鮮度をできるだけ保つには、まず、まな板や器を熱湯消毒し、お酢の作用を有効にする。酢酸と塩分効果がポイントです。お酢の最大の特徴は優れた調味料でありつつ、とても健康にいいということです」と、ミツカンMD企画部の前田哲也さんは言う。
酢の効能は、表にあるように多用だ。
内臓の周りにつく内臓脂肪はたまると高血糖、高血圧などを引き起こす。毎日、酢を大さじ1杯(約15ミリリットル)取ると内臓脂肪が減ることを平成21年、ミツカングループ本社中央研究所が証明。体重や肥満度数値BMIを改善することも分かった。
また、同じく酢・大さじ1杯を毎日取ることで高めの血圧や、動脈硬化の原因となる高脂血症と深くかかわる高めの血中脂質(血中総コレステロールと血中中性脂肪)を下げることが実証されている。
それ以前に、O111、O157など腸管出血性大腸菌やサルモネラ、ぶどう球菌、腸炎ビブリオといった8種の食中毒菌に対する酢の抗菌効果が、同研究所などの共同研究で確認された。
では、手軽な酢のレシピを見ていこう。
「酢が苦手な方々には、火を通すことでツンとくるにおいを軽減できたり、チャーハンやカレーのご飯に酢飯を使ったり…といった工夫で食べやすくなります」と前田さんは話す。
例えば「タマネギのサワー漬け」(5人前)。調味液を作る。穀物酢、砂糖各大さじ5、塩大さじ2分の1を混ぜ合わせる。そしてタマネギ150グラムをスライス。密閉できる容器に、スライスを入れ、調味液をかけ、冷蔵庫で半日ほど漬けると食べ頃に。
管理栄養士の本多京子さんは「ハムや、缶詰のサンマかば焼きなどと合わせるだけで簡単におつまみができます。豚肉と一緒にいためたら(漬け汁も)、酸っぱさが飛びますし、油もさっぱりとします」と言う。
そのメニュー、「タマネギのサワー漬けでさっぱり焼き」は、タマネギがしんなりしているので調理時間も短縮できる。焼く前にタマネギのサワー漬けと漬け汁、しょうゆを混ぜ合わせておくと味がなじむ。
また、リンゴ酢とオレンジ、氷砂糖、紅茶のティーバッグで作る「オレンジ&紅茶のサワードリンク」など飲料にしてもいい。
「ドリンクなら、リンゴやパイン、柑橘(かんきつ)系が合います。子供のころから酢に慣れる食習慣が望ましいですね。酢酸と糖分とでグリコーゲン(蓄えられる滋養源)ができる。お酢を使わない手はないんです」と本多さんは話している。