トマトジュース、バカ売れ…脂肪燃焼効果と論文


 トマトの成分に脂肪燃焼効果があるとの論文が今月10日に発表・報道された後、各地のスーパーでトマトジュースが爆発的に売れ、品薄状態に陥っている。

 消費者がダイエットや健康に良いとされる食品に殺到する「フードファディズム」と呼ばれる現象だ。今回はテレビ番組が発端だった過去の多くのケースと様相が異なるが、スーパーやメーカーの担当者からは「またも繰り返されたか」との声が上がっている。

 14日、大阪市中心部のスーパー。「トマトジュースありますか」と口々に尋ねる客に、店員が何度も頭を下げていた。「一気に売り切れ、入荷もまだで……」

 同店では、以前は1日に数本程度だった900グラム入りジュースが先週末から3倍のペースで売れ、たちまち品切れに。まとめ買いをする中年男性が目立つという。来店した会社員(43)は「メタボ対策になると聞いたので、これだ、と。ほかの店を探します」と残念そうに話し、店員は「売れるのはありがたいけど、ブームに振り回されている気分」と苦笑いを浮かべた。

 発端は、トマトに含まれる物質が血中の中性脂肪の値を下げることがマウスの実験で確認されたとする、京都大や食品メーカーなどの共同研究論文。研究チームは「ダイエット効果を確認するには、さらなる実験が必要」としたが、「人間に置き換えればジュース200ミリ・リットルを1日3回飲むのに相当する」とも説明、手軽さも合わさって消費者の期待感をくすぐったらしい。

 近畿圏と首都圏に計224店を構える「ライフコーポレーション」では、青果の売れ行きが5割増なのに対してジュースは4倍で、全商品が消えた店も。「コープこうべ」でも品切れの店舗が出始め、「欠品は避けたい」(広報担当者)と商品確保に追われている。


2012年2月16日 提供:読売新聞