ビタミンEを取り過ぎると骨粗しょう症を起こす危険があることを、竹田秀・慶応大特任准教授の研究チームが突き止めた。ビタミンEは、老化防止に有効とされる抗酸化作用があり、最も人気のあるサプリメント(栄養機能食品)の一つ。4日付の米科学誌ネイチャーメディシン(電子版)に発表した。
健康な骨は、骨を作る細胞と壊す細胞「破骨細胞」がバランス良く働いて維持される。ビタミンは骨の強度に関わり、特にビタミンDは骨粗しょう症の治療に活用されている。しかし、ビタミンEの働きは謎だった。
チームがビタミンEを取り込めないマウスを作って調べたところ、破骨細胞の働きが弱く全身の骨量が多いことに気づいた。そこで、破骨細胞を培養し、ビタミンEを加えると、破骨細胞が巨大化することを発見。解析すると、ビタミンEが破骨細胞の巨大化に必要なたんぱく質の合成を促していることを突き止めた。
さらに、正常なラットに毎日10ミリグラムのビタミンEを含んだ餌を8週間与えると、骨を壊す細胞の活動が高まり、骨粗しょう症になった。10ミリグラムは、人が1000ミリグラム摂取するのに相当し、主に海外で同量程度を含んだサプリメントが流通しているという。
厚生労働省が定めるビタミンEの摂取上限は年代、性別で異なるが、最大は30〜49歳の男性で1日当たり900ミリグラム。食品では魚卵や植物油、ナッツ類に豊富だが、例えばアーモンドでも100グラム当たり約30ミリグラムで日常の食生活では問題ない。
竹田さんは「サプリメントの量ならば、骨がもろくなる可能性はある」と話す。【久野華代】