トマトジュースのブームが息長く続いている。主要メーカーは今年、東日本大震災前の水準比で2倍程度の売り上げが続いており、業績にも好影響を与えている。健康への効果を意識する、かつてトマトジュースを飲んだ中高年が戻ってきている面もあるようだ。
トマトジュースの国内シェアが約6割で最大手のカゴメの担当者は「これだけ特定の食品のブームが続くのは珍しい」と語る。
きっかけは、今年2月に京都大などの研究グループが「トマトに中性脂肪を減らす働きがある成分を発見した」と発表したこと。これがメディアで取り上げられ、カゴメの2月の同ジュース売り上げは、東日本大震災前の10年同月比で3倍増。3〜8月は2倍増程度で推移し、9、10月も1・5倍増。これにより13年3月期の最終(当期)利益は過去最高の65億円と見込む。
「デルモンテ」ブランドでトマトジュースを販売するシェア2割のキッコーマンも、2〜9月まで2倍ペースで売れた。
トマトジュースの売り上げのピークは1970年代後半にあったが、その後トマト以外の野菜を使ったジュースが台頭し、徐々に需要が減少。「今回の研究結果が発表されたことで、肥満に関心が高く、かつてトマトジュースを飲んでいた中高年層が戻った」(カゴメ)と見られている。ただ、その他の野菜ジュースの需要も減ってはいないという。
最近では健康志向から、トマトジュースを使う料理のレシピの普及も進んでいる。こうしたことから、従来の購買層は主に男性だったが女性もトマトジュースを手に取りやすくなったと見られる。【岡田悟】