【ジュネーブ共同】世界保健機関(WHO)は1月31日、塩の摂取量を成人は1日5グラム未満にするべきだとする新たな指針を公表した。日本は塩の取りすぎが以前から指摘され、厚生労働省によると、2011年の1日の平均摂取量は成人男性が11・4グラム、成人女性が9・6グラムと新指針を大きく上回っている。
WHOの指針は高血圧や心臓病など慢性疾患を予防するためで、子供に関してはこれよりも確実に少なくするよう求めた。逆に、豆類やバナナに含まれるカリウムは摂取することで血圧の抑制や心臓病の危険軽減につながるとして、成人は最低でも1日3・51グラム取るよう推奨した。
厚生労働省は、塩摂取量の15年までの現実的目標として、男性9グラム未満、女性7・5グラム未満を掲げ、さらに下げることが望ましいとしている。カリウムの摂取量は性別や年齢により2・7〜3・0グラムを目標にしているが、11年の平均摂取量は成人男性が約2・3グラム、成人女性が約2・2グラムと不足している。
慢性疾患による世界の死者は08年、死者全体の6割以上に当たる3610万人。25歳以上の大人のうち、高血圧と診断される人の割合は4人に1人とされる。WHOは対策として、適切な食事管理を挙げており、塩分摂取の指針も対策の一環。
塩分の過剰摂取は心臓発作で死に至る危険があり、WHOでの実験で5グラム未満の場合、血圧の抑制が認められた。
塩5グラム未満という摂取量は、多くの食品や飲料に含まれるナトリウムに換算すると約2グラム未満にあたる。WHOによると、ナトリウムは牛乳100グラム当たり約0・05グラム、卵には同0・08グラム、それぞれ含まれている。加工食品になると含有量は多くなり、ポップコーンなどスナック菓子には同1・5グラム含まれている。