精製したホウレンソウ成分 膵臓がん治療に効果



精製したホウレンソウ成分 膵臓がん治療に効果

いわゆる灰汁というものも含んでいるのだろうか?しかもこれも糖鎖だ。

 ホウレンソウに含まれる特定の糖脂質「MGDG(エムジーディージー)」が膵臓(すいぞう)がんの増殖を抑え、抗がん剤や放射線治療の効果を高めることを、神戸学院大と神戸大のグループが解明した。ホウレンソウをそのまま食べても効果はないが、精製すれば膵臓がん治療の補助食品として利用が期待できるという。(金井恒幸)

 膵臓がんは特徴的な症状に乏しく、発見が遅れて完治が難しいケースが多いとされる。さらに、抗がん剤や放射線治療は正常な細胞まで死滅させることがあり、臓器障害など副作用の懸念がある。

 グループは、マウスの体内にヒト由来の膵臓がん細胞を移植。MGDGと抗がん剤を併用した場合、抗がん剤を単独で使った時に比べ、がん細胞の増殖を抑える効果が約5倍になった。MGDGと放射線治療を併用した場合でも、放射線単独の時に比べてがん細胞の増殖抑制効果が約3倍になった。MGDGががん細胞の複製を抑えているとみられる。

 MGDGは葉緑体の膜の部分にあり、安全性の高い食品成分。MGDGの摂取によって抗がん剤や放射線の量を減らし、治療全体の副作用を軽減できる可能性がある。また、膵臓がん以外のがん細胞の増殖を抑える効果も期待できるという。

 グループのうち、神戸大医学部付属病院放射線腫瘍科の佐々木良平特命教授(46)は「食品成分に既存のがん治療との相乗効果があるとは驚きだ」とし、神戸学院大栄養学部の水品善之准教授(42)は「MGDGを利用して、毎日摂取できるがん治療補助食品を5年以内に実用化したい」と話している。研究成果は、神戸市内でこのほど開かれた日本分子生物学会年会で発表した。

2014年3月18日(火) 提供:神戸新聞