種類に合わせ湯温調整


ペットボトルなどで、ふだんから日本茶を飲んでいる人は多いが、茶の種類やいれ方の違いは意外に漠然としか覚えていないものだ。日本茶についての基礎知識をおさらいしてみよう。

日本茶の中でも最も一般的な煎茶(せんちゃ)は、茶葉を蒸してからもみ、乾燥したものを指す。立春から数えて88日目(5月初め)を「八十八夜」といい、産地によって時期に多少違いはあるものの、この時期に摘んだ若い葉で作った茶が一番茶、その後の収穫時期に合わせて、二番茶、三番茶といわれ、早く摘まれたのもほど上質とされている。だいたい6月ころまでに出回るものが「新茶」と呼ばれる。

玉露は栽培方法が違い、太陽光を遮るように茶の木に覆いをして栽培する。そうして手間をかけて育てた茶の木から摘んだ葉で丁寧に作られたもので、日本茶の中でも最も上等な部類だ。

茎茶は茶を作る過程で出た、茎や茶軸の部分を集めたもので、特に玉露の茎茶は「雁音(かりがね)」とも呼ばれている。番茶は煎茶を作る過程で取り除かれる大きな葉や茎、また夏や秋に摘まれた硬い葉などを原料とした緑茶だ。さらにこの番茶や煎茶を強火でいって香ばしい香りをつけたものがほうじ茶となる。

一般的な煎茶のいれ方としては、まず急須と湯のみ茶わんに沸騰した湯を入れて両方を温める。次に急須の湯を捨て、茶葉を人数分計って入れる。茶葉は1人分を茶さじ1杯(2−3グラム)、湯量は1人100ミリリットル程度が目安となるだろう。沸騰した湯の湯気が収まり、70度ぐらいの温度になったら急須に湯を注いで1−2分おく。温めておいた茶わんの湯を捨て、急須から少量ずつ茶を注ぎ、最後の一滴まで茶を注ぎ切るようにする。

玉露の場合は、茶葉を少し増やし、湯の温度は50−60度、2分半−3分と少し長めに蒸らしていれると、うまみを堪能できる。一方、番茶やほうじ茶は沸騰した熱い湯を一気に注ぎ、30秒ほど蒸らしていれると香ばしい香りを楽しめる。

いれ方の知識だけでも、日本茶を楽しむ幅がぐんと広がる。休日にゆっくり、自分のためにおいしいお茶をいれてみるのもよいだろう。

(ライター  山崎 優佳子)
2006.3.18 日本経済新聞