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大豆は空豆やいんげん豆に比べるとずっと小さいのに大豆といわれるのはなぜだろう。一説によると大豆は他の豆より大きな機能を持つからだという。

大豆は栄養面からみるとたんぱく質と脂肪をたくさん含み、鉄やカリウム、カルシウム、ビタミンB1、E、食物繊維なども多く含まれる。炭水化物は他の豆類に比べると少ないが、その主成分はオリゴ糖である。オリゴ糖は吸収されにくいので体脂肪になりにくく、また腸内のビフィズス菌などの善玉菌の餌になってこれを増やし、整腸効果や免疫力を高める。

ところで大豆たんぱく質だが、たんぱく質の良否を決めるアミノ酸スコアが最高の100なので、無駄なく血や肉になりやすい。「畑の肉」といわれるゆえんである。また大豆たんぱく質は血中総コレステロール値を低下させる働きがある。それもコレステロール値が高い人ほど効果が著しい。大豆たんぱく質は、腸内で胆汁酸やコレステロールと結合し、体外に排出する効果があるからだ。さらに血管に弾力性を与えて丈夫にし、脳卒中も防ぐ効果も発揮する。

大豆脂肪にはオレイン酸、リノール酸、アルファ−リノレン酸が多く含まれ、これらはともに血中総コレステロール値を下げる。

他に血中総コレステロール値を下げたり、認知症を予防したりするレシチン、更年期症状の緩和や骨粗しょう症の予防などが期待できるイソフラボンがたくさん含まれている。大豆は栄養価が高く、生活習慣病予防にもなる素晴らしい食品。これを常食している日本人が長寿だということが納得できる。
(新宿医院院長  新居 裕久)

2006.3.18 日本経済新聞