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医療事故もそうだが、保守的な表面だけの判断で物事が決められたら、患者も機会の損失、医学の進歩も損失され、日本はますます国際レベルから遅れる。 宇和島徳洲会病院(愛媛県宇和島市)の万波誠(まんなみ・まこと)医師(67)が行った病気腎移植11件について検討してきた院内の調査委員会は12日、松山市のホテルで記者会見し、大半を「容認できる」「適切」とする最終報告書を公表。記者会見した貞島博通(さだしま・ひろみち)院長は「世界では病気腎移植を行っている国もある。ぜひ残してほしい」と強調した。 病気腎移植の妥当性を否定した関係学会や、原則禁止とした厚生労働省の見解と食い違う内容。調査委は「患者の個別事情など医療現場の状況を加味した結論」と説明している。 また厚労省が病気腎移植を理由に診療報酬の返還を求める方針を固めたことに関し、病院側は「(問題になる前)県や厚労省に病気腎だと伝えたが、通常の移植として請求すればよいと言われた」と反論した。 報告書は、同病院で摘出された6件について、ネフローゼ2件は問題ありとなしの「両論併記」とし、腎動脈瘤(りゅう)1件を「容認できる」、尿管狭窄(きょうさく)3件を「適切」と評価。移植11件は、ネフローゼ2件が「問題あるが全否定できない」、腎がん2件を「容認できる」、腎動脈瘤など7件を「適切」とし、病気腎移植を肯定した。 日本移植学会が派遣した雨宮浩(あめみや・ひろし)委員は「摘出に大きな疑問が残り、医の職業理念も欠けている」との意見書を添付し、記者会見には同席しなかった。万波医師も出席しなかった。 同病院は11日に報告書を愛媛県に提出。厚労省にも送付される。 万波医師が25件の病気腎移植を行った前任の市立宇和島病院の調査委は、尿管狭窄を除き認められないとしている。
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スクラップ&ビルドがスムースで良くなっていくならならいいのだが・・・
本紙が選ぶ医療界重大ニュース 地域医療崩壊に揺れた07年 行き過ぎた改革のダメージ色濃く 2007年は、病院勤務医を中心とした医師の偏在・不足に、史上最大の下げ幅となった06年度診療報酬マイナス改定のダメージが加わり、各地で地域医療崩壊が叫ばれる年となった。政府・与党も、08年度政府予算編成、診療報酬改定論議を通じて医師不足対策を最優先するなど“行き過ぎた改革”による危機回避に舵を切った格好だ。次期診療報酬改定では本体部分が0.38%のプラスとなったが、改定財源は限られ、医療再生につながるのか楽観視はできない。 今年1月の中央社会保険医療協議会総会は、06年度診療報酬改定から1年もたたずに「7対1入院基本料に対する建議」を柳澤伯夫厚生労働相(当時)に提出した。一部の大病院が新卒看護師を大量に確保するなど、「地域医療に深刻な影響を与えることが懸念」されたのが理由だ。医師、看護師の不足も絡み、経営環境の悪化は医療機関の倒産という形でも現れた。1-6月の上半期だけで31件と、前年実績を半年で上回るペースで伸び(帝国データバンク)、政府・与党も、状況を看過できないと地域医療の確保に向けた施策を打ち出した。
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「"医療事故調"の自民党案と厚労省案は別」 「責任追及が"医療事故調"の目的ではない」。前回のインタビューでこう答えた自民党の「医療紛争処理のあり方検討会」副座長を務める参議院議員の西島英利氏。同検討会が報告書案を出したのは2007年11月30日だが、この12月21日には早々に最終報告をまとめた。改めて"医療事故調"の狙いや検討の経緯を聞いた。(2007年12月26日にインタビュー) ――前回(12月11日)、インタビューをさせていただいたときには、「議員立法を目指す」「これからいろいろな方々に改めてヒアリングする」とお聞きしましたが、自民党はもう最終報告書をまとめました。 今回は「基本法」などとは異なり、「医療安全調査委員会」(“医療事故調”)という、国の一つの大きな組織を作ることになるので、閣法(内閣提出法案)で出します。ただ、法案はあくまで国会でわれわれが審議するのですから、誰が提出しても相違はありません。 現在、医師は萎縮診療に陥り、安心して医療ができない状況になっています。この不安を解消しなければならないという観点から、自民党は検討会を設けて議論してきたわけです。したがって、医師が不安を抱くような法律には絶対しません。医療安全調査委員会は、責任追及ではなく、あくまで死因究明と再発防止が目的です。 ――自民党の検討会が報告書の案をまとめたのが、2007年11月30日です。それ以降、検討会は開かれていませんが、どのように議論を重ねたのでしょうか。 報告書案を私のホームページに掲載したところ、いろいろな意見が寄せられました。 その中で、一番問題視されたのは、医療事故と刑事処分との関連です。この点については、前にもお話した通り、法務省や警察庁と話し合いを続け、「故意や重大な過失」に限定しました。それも医療安全調査委員会から、「告発」ではなく、「通知」する形です。法務省や警察庁、さらに検察庁も含めて、了解を得ています。したがって、かなり限定した中で通知が行われることになります。 さらに医療機関ではなく、遺族が警察に届け出たとしても、警察はこのシステム(医療安全調査委員会)を使うと言っています。 ――数は限定されても、福島県立大野病院事件では、この1件だけで萎縮医療が起きたとされています。そもそもこの事件が刑事事件として扱われることをどう思われますか。 故意や重大な過失ではないので、刑事事件にすべきものではなかったと思います。 ――では、医療安全調査委員会を活用すれば、本来対象ではない事例を刑事事件として扱うことを防げると。 その通りです。警察は、届け出があれば、捜査せざるを得ません。一方、医療安全調査委員会では、専門家が調査して報告書をまとめますので、こうした問題を解決できます。皆さんは、自分たちが医療安全調査委員会で話した内容がすべて警察に通知されると誤解しています。警察に通知するのは、あくまで調査報告書のみです。そもそも、この調査報告書は個人情報を特定できない形で公表されるものです。 ――改めて医療安全調査委員会の制度の中身を聞きます。「制度化」とありますが、これは「義務化」ですか。またその核となる、届け出の範囲はどうなるのでしょうか。 義務化です。ただ、どういう事例を届け出るかは定義しなければなりません。それはこれからの作業です。 ――「明らかなミスが起きたが、家族に説明し納得が得られた」といった場合も、届け出の対象になるのでしょうか。 その点も含めて、届け出の範囲を定義する必要があります。医療機関にとっては、「これは、届け出るべき事例だ」と思うのは、遺族の同意を得て、届け出た方がいいでしょう。紛争解決で重要なのは死因究明ですが、将来、何かあったときに、医療安全調査委員会の調査報告書を使えるからです。 ――死因究明については、医療者だけで行うべきという意見もありますが。 あくまで解剖を行うのは専門家です。そして一つの報告書を作ります。その報告書に基づいて、それを検討するのが調査委員会です。調査委員会では、透明性を保つために、患者・遺族の立場を代表する人、法律関係者が入る形になります。
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12/28号 露呈した厚労省の認識不足-医療現場を知っているのでしょうか。 - それは、m3.comの「医療維新」で再三取り上げている、厚労省の“医療事故調”の検討会でのことです。 「医療機関においては、患者が死亡した場合、委員会による調査の仕組みについて遺族に必ず説明することとしてはどうか」 厚労省のこの日の資料にこう書かれていたのです。“医療事故調”では、医療機関のほか、遺族などからの届け出も、死因究明の対象とする予定です。検討会の委員から補足説明を求められると、厚労省の担当者は「遺族がこの制度を知らないと、(死因に疑念を持った際に)利用できないので全例に説明」との趣旨の返答をしました。 傍聴していた私の頭の中は、「?」でいっぱいに。医療において患者さんの死は避けられないものです。その中には、予期できた死で、死因も分かり、家族が十分に納得して看取る場合も少なくありません。そんな場面で、「死因究明のための組織があります…」と医師から言われたら、どうなるでしょうか。家族は混乱し、納得が一転して不信感に変わりかねません。さすがに、委員から疑義を呈せられていましたが…。 もちろん、厚生官僚の中には、優秀な方が多数おられます。でもこの発言には、さすがに驚きました。 ◆“医療事故調”は閣法で進める - 届け出は義務化、その範囲は政省令で規定 「“医療事故調”の自民党案と厚労省案は別」。前回のインタビューでこう答えた自民党の「医療紛争処理のあり方検討会」副座長を務める参議院議員の西島英利氏。同検討会が報告書案を出したのは2007年11月30日だが、この12月21日には早々に最終報告をまとめた。改めて“医療事故調”の狙いや検討の経緯を聞いた。(2007年12月26日にインタビュー)
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混合診療問題を考える◆Vol.5 |
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2007年12月14日、経済財政諮問会議で混合診療に関する議論が行われた。議事録(1)を見ると、いかにも厚生官僚が作ったと思われる資料(2)を舛添要一・厚生労働大臣が説明し、八代尚宏議員からも資料(3)説明が行われた。しかし、その後に、短いながらもポイントを突いた討論が行われている。経済財政諮問会議では、「混合診療を原則自由にした上で一定のルールを作るべきだ」という意見が圧倒的に多いようだが、データがないため、感覚的な議論しかできない状況のようである。国民の理解を深め、関係者が充実した議論ができるように、厚生労働省はもっと情報公開すべきだと感じる。 当日の議論を詳細に見直すと、マスメディアの報道内容との違いに驚かれるだろう。ぜひ舛添大臣の発言をお読みいただきたい。混合診療を全面解禁できない理由を列挙するだけでなく、担当大臣として何とか問題を解決しようとする姿勢に、一国民として敬意を払う。 以下、14日の議事録から引用しながら、当日の議論を解説しよう。まずは伊藤忠商事取締役会長で経済財政諮問会議の民間議員である丹羽宇一郎氏のコメントから。 (丹羽議員)草刈議長が言われたように、混合診療は原則禁止・例外容認ではなく、原則自由にして、どういう条件であればこれを実行できるかを考えるべきであり、情報公開と事後チェック体制を整備する方向にすべきである。 「基本的合意」とは、vol.3「厚労省の姿勢に対する3つの疑問」にも書いた通り、小泉政権時代の2004年12月15日、尾辻秀久・厚生労働大臣と村上誠一郎・内閣府特命担当大臣の合意によって発表された『いわゆる「混合診療」問題に係る基本的合意(4)』のことである。なんと厚労省は、大臣の合意を、課長通知によって実質実行できないようにしているというのだ。わが国の行政における裁量権の大きさ、およびそれをチェックする体制・人材がいないことを痛感する。この意味で、政権与党、メディア、われわれ専門家の罪は重い。 (八代議員)混合診療として認められた先進医療が当初予想より少ないとの指摘もあることから、厚生労働省は、混合診療の取り扱い全般について件数と金額を含め至急点検を行い、その結果を国民に明らかにすべきである。 (大田議員)何らかの条件整備が必要である、皆保険は守る、というところは皆共通していて、その上で原則をどちらに置くかは、今後の議論だろうと思う。少なくとも、2004年の「基本的合意」を実効性ある形で実現するという点では、意見の一致が見られた。 舛添臨時議員におかれては、早急に課長通達の見直しから、全般的な検証をお願いしたい。 主な焦点は、安全性と混合診療の解禁でむしろ負担が増えるという懸念の2点のようだ。安全性については、vol.1「混合診療禁止では患者への不利益も多々」、vol.3「厚労省の姿勢に対する3つの疑問」でも述べた通りである。負担が増えるか否かという点は、何のデータも公開されていないため、感覚的な水掛け論となってしまう。厚労省は、早急に国民に情報公開し、建設的な議論の土壌を作る必要があるのではないか。次回、この負担に関して議論してみたい。 【参考文献】
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混合診療問題を考える◆Vol.7 混合診療裁判における厚労省の主張 健康保険法の拡大解釈に無理あり 上 昌広(東京大学医科学研究所探索医療ヒューマンネットワークシステム部門准教授) |
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厚労省は昨年12月28日、政府の規制改革会議がまとめた第2次答申に対する見解を発表した。Japan Medicineは、「答申が混合診療の禁止を違法とした東京地裁判決を引用し、混合診療の原則禁止には現行法で根拠がないと主張していることに対し、厚労省は健康保険法で禁止されていると反論した。厚労省は混合診療が法的に禁止されている理由として、健康保険法上の療養に関する費用のうち、患者が支払うことができるのは、(1)一部負担金、(2)入院時食事療養費用、(3)入院時生活療養費用、(4)評価療養か選定療養に要する費用に限定されていることなどを挙げている」と報道している。 厚労省の健保法の拡大解釈には無理あり 最近はインターネットが発達し、「法庫」というサイトに行けば、すべての法律が閲覧可能である。知人の法律関係者より紹介されてから、しばしば利用しているが便利である。ぜひ皆さんにもお勧めしたい。もちろん、このサイトには東京地裁判決で取り上げられている「健康保険法」が紹介されている。医師にとっては、かなり難解な文章ではあるが、ぜひお読みいただきたい。以下、「保険外併用療法費」の条文を例に挙げ、厚労省の理屈を考えてみよう。 第86条 被保険者が、厚生労働省令で定めるところにより、第63条第3項各号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局(以下「保険医療機関等」と総称する。)のうち自己の選定するものから、評価療養又は選定療養を受けたときは、その療養に要した費用について、保険外併用療養費を支給する。 読めば誰でも理解できるが、この条文は条件を満たせば、保険外併用療法の費用を保険者が支払うことを明記している。私は一通り、健康保険法に目を通したが、この法律には第86条のような保険者が支払うための条件は記載されているが、「支払ってはいけない」場合は定義されていない。つまり、特定の条件を満たせば、被保険者が保険外併用療法を受ける権利を保証しているだけで、それ以外の場合は運用に委ねている。これは国民の権利を守るという法律の趣旨から考えると当たり前で、厚労省の解釈には随分と無理がある。 本来、混合診療が対象とするような評価が定まらない治療に対する費用の支払いは、現場の運用に委ねられるべきである。つまり、保険者が被保険者の意向や医療者の主張を忖度(そんたく)し、状況に応じて判断すべきものである。欧米で先行承認されたものの日本では未承認の抗癌剤の使用と、いわゆる「トンデモ治療」は、個別に対応すべき問題である。このような運用を通じ、試行錯誤が繰り返され、医療費の支払いに関するノウハウが現場に蓄積されていくのである。医療に関する知識の少ない官僚が画一的に判断すれば、不合理が生じ、現場にしわ寄せが来るのが当然である。今回の混合診療裁判はその一例である。 混合診療は「立法者意思」に反するとあるが… また、東京地裁判決には、厚労省の別の主張も記載されている。 「昭和59年及び平成18年の法改正によって、混合診療を一般的には認めないという法の立法者意思が明確にされたにもかかわらず、なお法の解釈として混合診療が許容されている旨解するのであれば、この解釈は上記立法者意思に反する旨主張する」 「立法者意思に反する」という表現から、ふと思い浮かぶ事例がある。医師法第21条の解釈の問題である。21条には、次のように書かれている。 「医師は、死体又は妊娠4月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署に届け出なければならない」 現在の医師法のルーツは、明治7年(1874年)に発布された医制(明治7年文部省達)にあるが、戦後の混乱が続く1948年、GHQの指示の下に、新たな医師法が公布された。医師法第21条は、このときから変わっていない。 当時の衛生状態を想像してほしい。疫病・飢饉・殺人などによる死体を、道端で見かけることも珍しくなかったであろう。そこで、死亡診断書を書く医師に、つまり人間の「死」を最終的に診断する医師に対して、疫病・飢饉・殺人などを示唆する「異状」がある死体を見つけた場合、警察へ届け出る義務を課したのは、ある意味で当然の社会的ニーズだったと言える。明らかに、医師法第21条の「立法者意思」は、医療における死亡を対象としていないし、長年そのように運用されてきた。医師法公布の翌年である49年、当時の厚生省は、医療は医師法第21条の届出対象ではないという認識を示している。局長通知で「死亡診断書は、診療中の患者が死亡した場合に交付されるもの」「死体検案書は、診療中の患者以外の者が死亡した場合に、死後その死体を検案して交付されるもの」(医発385 医務局長通知)と周知している。 ところが、日本法医学会ガイドライン(1)が出された後の2000年、当時の厚生省はこの認識を覆す指示を出す。国立病院部政策医療課の「リスクマネージメントマニュアル作成指針(2)」において、「医療過誤によって死亡又は傷害が発生した場合又はその疑いがある場合には、施設長は、速やかに所轄警察署に届出を行う」としている。医師法第21条の「立法者意思」に反して、疫病・飢饉・殺人などを示唆する「異状」がある死体だけでなく、医療における死亡をも、警察へ届けるように指導したのである。 その上、厚生労働省は、死亡診断書記入マニュアル(3)に、「「異状」とは、「病理学的異状」でなく、「法医学的異状」を指します。「法医学的異状」については、日本法医学会が定めている「異状死ガイドライン」等も参考にして下さい」と記載し、一学会のガイドラインにすぎなかったはずの法医学会ガイドライン を、厚労省の医師法解釈としてしまったので 「立法者意思」に反するか否かという説も、その場限りのつじつま合わせに奔走する厚労省の姿を浮き彫りにしているかのように見える。われわれ国民は、お役所任せにせず、自分たちで考え、行動する必要があろう。 【参考文献】 |
医療関連死、厚労省第2次試案の撤回要請決める 山形大蔵王協 山形大医学部と関係の深い医療機関などによる山形大蔵王協議会(会長・嘉山孝正医学部長)は、10月に厚生労働省がまとめた「診療行為に関連した死亡の死因究明等の在り方に関する第2次試案」に反対し、撤回を求めることを決めた。 試案は、診療行為に関連した予期しない死亡である診療関連死が起きたときに、死因を調査する組織や制度、調査の在り方などについてまとめたもの。 協議会は、試案で、委員会構成に「遺族の立場を代表する者」を加えている点を、「感情が入るので科学的な判断ができない」と批判している。さらに「調査報告書は刑事手続きで使用されることもありうる」としたことも、医療行為を崩壊させるとして問題視する。 こうしたことから、会員の医師に対して、国会議員に反対意見を表明するメールを送ることを呼び掛けた。【佐藤薫】
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2008年度厚生労働省予算案 診療報酬本体0.38%引き上げ 初・再診料を含む今後の配分論議に注目 少なくとも0.35%以上を 予算編成で焦点となった次期診療報酬改定は、自民党や日本医師会の強い意向を受け、最終的に診療報酬本体を0.38%引き上げることで決着した。 最終的に2504億円を確保 争点となった社会保障費の自然増圧縮財源の内訳は、政管健保の国庫負担軽減分として健保組合が750億円、共済組合が250億円、国保組合が38億円をそれぞれ肩代わりすることで決着。そのほか薬価・材料で960億円(薬価870億円、材料90億円)、後発品の使用促進で220億円、生活保護の母子加算見直しで50億円、退職者医療制度で237億円をねん出した。これらの合計額2504億円のうち304億円を診療報酬本体の引き上げに充てる。
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08年度診療報酬改定 「率は不満も勤務医対策に期待」 プラス改定を獲得した背景として、診療報酬の引き上げを目指して署名活動などを展開した自民党議員の尽力に加え、地域医師会の後押しも日医の大きな原動力になったとし、それぞれに感謝の言葉を述べた。 また、今回の改定では「社会保障費の自然増2200億円の削減が非常に大きな障壁だった」と指摘。「骨太方針07」では、機械的に5年間均等に削減するわけではないことが明示されたにもかかわらず、2200億円削減は少しも緩められなかったとして、「医療崩壊の危機を認識していただいていないのではないかと落胆する思い」と嘆いた。 財源付け替えでは地域医療は疲弊 中医協で診療側と支払い側で意見が割れている診療所の初再診料の対応については、「これから一層、活動しなくてはいけない先生方に対し、削減する方向が正しいかどうか」と引き下げの考えに疑問を投げ掛けた上で、診療所から病院に財源を付け替えるだけではさらに地域医療を疲弊させると批判した。
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「体が全然違う」と退院 大阪大の心臓再生医療で こうした治療の成功例は世界で初めて。重国さんは記者会見で「人工心臓の装着時とは(体の状態が)全然違う。びっくりするぐらい良い」。退院後は「おふくろに会いに行きたい」と笑い、妻も「退院できるとは思わなかった。夢みたいです」と喜んだ。 重国さんは、心臓を収縮させる力が弱まる拡張型心筋症で昨年2月入院。補助人工心臓を付けて脳死移植の待機患者となったが、ことし9月には人工心臓を外し移植不要になるまで回復した。 治療は、左大腿(だいたい)部から組織修復の働きを持つ筋芽細胞を採取して培養し、シート状にして左心室外側を覆うように張った。心臓血管外科の沢芳樹(さわ・よしき)教授は「機能回復ぶりは想像以上だった」と話した。
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世界の死者数は209人に 鳥インフルエンザでWHOが発表 この男性はジャワ島西バンテン州タンゲラングの住民で、13日に入院先の病院で死亡した。インドネシアでは10日、やはりタンゲラング在住の28歳の女性が鳥インフルエンザに感染して死亡している。 この結果、2003年以来の世界全体での死者は209人、感染者数(死者を含む)は340人となった。 各国別の累計は以下の通り。
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http://jp.youtube.com/user/eijio2001
2008年度の診療報酬改定をめぐり、与党の厚生労働族議員や医師会を中心に「今度こそはプラス改定を」と引き上げ要求の流れが加速している。最近3回は連続マイナス。政府の改定率決定を今月中旬に控え「地域医療の崩壊を防げ」を合言葉に気勢を上げるが、厚労族議員の言葉の端々には早くも次期衆院選への思惑がにじむ。 ▽選挙に直結 例に挙がったのは今年2月の京都府の舞鶴市長選。市民病院が医師の集団退職を機に経営が悪化。市長選で再建が争点となり、自民が推す前市長の後継候補は落選した。 医師不足から産科や小児科の診療を閉鎖する病院は各地で相次ぐ。「地域医療は崩壊の瀬戸際。今回もマイナス改定ならば2年後は確実に崩壊だ」と別の議員。 ほぼ2年ごとに見直される診療報酬のうち、薬価部分は長年マイナス続きだ。政府の医療費抑制路線で、医師の技術料である「本体部分」も02年度、初のマイナス改定。04年度は据え置かれたが、前回の06年度に再び引き下げられた。 さらに医師研修の仕組み変更が加わり、当直や外来に追われる勤務医が病院を去る現象が顕在化。「医療界の士気が低下しないよう報酬引き上げは不可欠」。それが、地元選挙区での医療崩壊を避けたい厚労族議員の共通認識となった。 ▽シーリング 議事録に残らない会場外での非公式協議では、日本医師会(日医)の委員が「地域医療を守る」との表現を盛り込むようこだわり、負担抑制を求める健康保険組合など支払い側委員は「引き上げは開業医もおしなべてという意味ではないですね」と念を押した。 文言は挿入されたが、支払い側委員の1人は「開業医の利益代表である日医が、病院勤務医の苦境を理由に報酬アップを言い募るのには違和感があった」と振り返る。 日医は5日、都内で「医療崩壊阻止!」を掲げ、改定率アップの決起大会を開く予定だ。 しかし、社会保障費約2200億円抑制の枠をはめた来年度予算の概算要求基準(シーリング)が持つ意味は重い。財務省は「約束事を守るのが大前提。診療報酬の改定率はその後の話」と引き上げ要求を突き放す。厚労省は抑制分を政府管掌健康保険への国庫負担削減や薬価引き下げなどで工面する方針だが「目途はまだ立たない」(幹部)。 診療報酬の1%アップは約800億円の歳出増。シーリングを達成してもなおプラス改定の財源探しは難しいが、族議員の間に「シーリングと診療報酬改定は別の問題」との"強行突破論"も台頭し、攻防は激化する一方だ。
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2004年に小泉元首相が、「年内に混合診療を解禁する」と発言したことを、覚えておられる方も多いだろう。他にも、「骨太の方針2003」や「骨太の方針2004」の閣議決定、総合規制改革会議、経済財政諮問会議といった政府の様々な場で、混合診療解禁が決定された。しかし、厚生労働省は「原則解禁」を認めず、特定療養費制度の見直しで対応すると主張し、2004年12月15日、尾辻秀久・厚生労働大臣と村上誠一郎・内閣府特命担当大臣の『いわゆる「混合診療」問題に係る基本的合意 』(1)が発表され、厚労省の主張に沿った形(2)での決着となった。 厚労省が混合診療を禁止する理由は、『いわゆる「混合診療」問題について』(3)に記載されている範囲では、次の3点のようだ。 しかし、この3点について、次のような疑問が残る。 (1)医療技術の有効性および安全性の確保 未承認薬の個人輸入に対して、厚労省は「薬監証明」(4)を発行しているが、これは業としての輸入に当たらないことを確認するだけの手続きであり、未承認薬の有効性・安全性のチェックをしているわけではない。(財)医療科学研究所の研究員の辻香織氏が、厚労省に情報公開を求め、「薬監証明」に関するデータを初めて公にしたところによると、厚労省が把握しているだけで、2005年には1万2196件(5)の個人輸入があった。厚労省は、有効性・安全性のチェックどころか、海外における有効性・安全性情報の提供すら行っていない(「混合診療禁止では患者への不利益も多々」)にもかかわらず、使用を認めていることになる。 薬害肝炎訴訟をはじめ、国家賠償訴訟で国の敗訴が続いており、厚労省の役人も人間である以上、健康被害が起きた場合の責任を問われないようにしたいと思う気持ちも否定できないだろう。しかし、責任追及という問題以前に、国民の健康を守るという、もっと大きな視点から制度設計できないものだろうか。私たち国民も、責任追及したところで、何も改善されず、健康被害は必ず繰り返されることを理解して、建設的な制度設計の議論をしていく必要があるのではないか。 (2)保険医療費の膨張を抑制 厚労省は「抑制」ありきで政策を進めているが、果たしてそれでよいのだろうか。保険医療費を抑制して現場の医療者を疲弊させ、結果として医療崩壊を招くのではなく、財源が足りないのなら、公的資金以外の財源を考えもみてもよいのではないだろうか。飛行機の場合、ビジネスクラスの人が多く支払うおかげで、エコノミークラスや格安航空券が可能となり、すべての人が同じ安全性を享受している(7)。こうしたモデルも、保険医療費の出資者である国民一人ひとりが、議論する価値があるのではなかろうか。 (3)不当な患者負担の増大防止 一方、厚労省の保険外併用療養費制度は、保険診療の他に、併用した保険外診療に対して療養費が支払われる制度であり、確かに患者の経済的負担を減らすものだが、混合診療解禁を求める患者は、「保険外診療に対して療養費を支払ってほしい」(8)と求めているのではなく、「保険診療に対して保険を支払ってほしい 」という、保険加入者として当然のことを主張しているように思われる。 医療問題を、お役所任せにせず、国民一人ひとりが、十分な情報を得た上で考え、意見すべき時が来ている。 【参考文献】
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政府の規制改革会議(議長・草刈隆郎日本郵船会長)は15日、12月にまとめる予定の第二次答申の重点項目として、保険診療と保険外診療を併用できる「混合診療」の全面解禁を盛り込む方針を固めた。草刈議長が同日午前の記者会見で明らかにした。
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埼玉医大総合医療センター(埼玉県川越市)が、来春から夜間や休日の軽症救急患者に健康保険を適用せず、一律8400円の時間外特別料金の徴収を検討していることが12日、分かった。 近年増えている軽症患者の受診を抑制し、重症患者の治療を充実させる狙い。厚労省によると、全国でも珍しい措置という。重症と軽症の線引きは難しく、現場が混乱する恐れもある。 現在、救急患者の治療費には健康保険が適用され、患者は窓口で原則3割を自己負担する。ただ、医療機関が地元の社会保険事務局に届け出て許可を得れば、時間外料金を徴収できる。センターは、現在の治療費水準などから8400円を想定しており、実施されれば軽症患者の自己負担は5000〜6000円増える見通し。 センターによると、時間外の救急患者は1994年には年間約1万人だったが、昨年は約4万人に増加。そのうち入院が必要な患者は7%程度だったという。 センターの堤晴彦(つつみ・はるひこ)教授は「軽症なのに仕事の関係などで夜間に治療に来る人が急増し、重症患者の治療に支障が出ている。救急医療の質を維持するためのやむを得ない措置だ」と説明している。
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政府は11日、地震やミサイル発射などの緊急情報を、通信衛星を使って数秒〜数十秒で全地方自治体に送信し防災行政無線で住民に自動的に伝える「全国瞬時警報システム」(J−ALERT)を来年度から導入する方針を決めた。今月5日に北朝鮮がミサイルを発射した際には情報伝達に時間がかかり、一部の自治体から不満が出ていた。消防庁は来年度予算概算要求に約2億円を盛り込む予定だ。 現在の防災無線は、政府の情報をファクスなどで受け取った自治体職員が警報を流している。5日の北朝鮮ミサイルは、午前3時半に1発目が発射。内閣官房からの情報を消防庁が都道府県にファクス送信したのは午前6時半。自治体に到着を電話確認したのは午前7時半ごろだった。 新システムでは、衛星を使って自動的に素早く情報を伝えることが可能になる。消防庁が今年1〜3月に31自治体で実験したところ、消防庁の情報発信から無線放送までの所要時間は6〜25秒程度だった。 導入に当たり有識者の検討会が今年3月に報告書を出し、利用は▽大津波▽緊急火山情報▽緊急地震速報▽弾道ミサイル▽大規模テロ−−など災害や安全保障で一刻を争う13の事態に限定。例えば弾道ミサイル攻撃の場合は「ミサイル発射情報。当地域に着弾する可能性があります。屋内に避難し、テレビ・ラジオをつけてください」という音声が町中に流れる。 検討会は、誤報があった場合の訂正放送など住民に混乱が起きない配慮を指摘。消防庁で運用基準を検討している。 衛星情報の受信に必要な衛星モデムの全国配備費は数億円。来年度の2億円はそのために充てるが、防災無線を自動的に起動させて放送するまで完成させるには約100億円かかるため、今後、費用負担について自治体と協議していく。なお、防災無線は昨年3月現在、約3割の自治体が未整備のままだ。また、現在は内閣官房から消防庁に情報を伝えるのに時間が掛かり、新システムの効果が発揮できない問題もある。【葛西大博】
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