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食品による窒息事故を防ごう

しっかりかんで食べることは 今すぐできる「窒息予防」

毎年400人以上が食品による窒息で命を落としています。
窒息しない「食べ方」や窒息時の対処法についてお話していきましょう。

【歯科医師 大矢 享】 

◇子供や高齢者は食べる機能が成人より低い

食べる機能の発達・減退


子どもは奥歯が生えそろう3歳位まで、食べ物をすりつぶし飲みやすくすることができません。
また高齢者はのどの筋肉の衰えやだ液の分泌の不足などにより、のみこむ機能が低下してきます。


◇窒息しやすい食品は気をつけよう

窒息の原因食品

窒息リスクの高い食品を食べるときは、充分にかんで食品をよく粉砕するとともに、狭いのどを通過しやすいようにだ液と充分に混合することが窒息を予防する点からも重要です。


◇窒息しない食べ方を学ぼう

・一口量を多くしない
・口の奥に押し込まない
・食品の物性の特徴を知る
・安全な食べ方を知る
・食べることに集中する
・飲み込んでからおしゃべりする
・食べてる途中で急に上を向かない
・細かくかみつぶす
・だ液とよく混ぜる


◇「窒息予防」の5つのポイント

1 一回の量は無理なく食べられる量にしましょう。
2 食べ物を一口入れたら、いつもより5回多くかむようにしましょう。
3 目標は一口30回かむことです。
4 歯のない方は入れ歯をいれてしっかりかみましょう。
5 よくかんで食べることは肥満の解消予防にもなります。


万が一、窒息をおこした時のために
応急手当を覚えておきましょう。 


乳児

図1

背部叩打法(はいぶこうだほう) 図1
1 救助者の片腕の上に乳児をうつぶせに乗せ、手のひらで乳児の顔を支えながら、頭部が低くなるような姿勢にして突き出す。
2 もう一方の手の付け根で、背中の真ん中を異物がとれるか反応がなくなるまで強くたたく。
注意点
・乳児に対しては、腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)を行わない。
・反応がなくなった場合は、乳児に対する心肺蘇生法を開始する。

小児・成人

図2 腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法)

腹部突き上げ法(ハイムリッヒ法) 図2

1 腕を後ろから抱えるように回す。
2 片手で握りこぶしを作り、その親指側を傷病者のへそより上でみぞおちの充分下方に当てる。
3 その上をもう一方の手で握り、すばやくて前上方に向かって圧迫するように突き上げる。

図3

背部叩打法(はいぶこうだほう) 図3
1 ひざまずいて、傷病者を自分の方に向けて側臥位*(そくがい)にする。*横向き
2 手の付け根で肩甲骨の間を力強く何度も連続してたたく。
注意点
・妊婦(明らかに下腹が大きい場合)や乳児に対しては、腹部突き上げ法は行わない。背部叩打法のみ行う。
・横になっている、あるいは座っている傷病者が自力で立ち上がれない場合は、背部叩打法を行う。
・ 腹部突き上げ法と背部叩打法の両方が実施可能な状況で、どちらか一方を行っても効果のない場合は、もう一方を試みる。

2010.2 記事提供:かむカム(かながわ健康財団)