2.口腔と全身のつながりを考える (お口の感染から腸内フローラの変化まで)
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近年、さまざまな研究により、口腔保健と全身の健康について深い関連性が明らかになってきました。こうした背景のもとで、サンスターは世界に先駆け、専門家の先生方とともに口腔保健と全身の健康に関する研究を進め、その重要性を国際的に唱える努力を続けており、今後も歯科医の先制方へ最新知見をお届けしてまいります。
歯周病医療の変遷~「歯の健康」から「全身の健康」へ~
1950~90年頃まで、歯周病の病態研究はプラーク細菌の感染、宿主れ細菌の相互作用、分子生物学的解析へと発展を遂げ、その間、歯周病療法は「症状改善」からプラークコントロールによる「原因療法」へ、予防啓発も「Cure」から「Care」へとシフトし、歯周病医療の概念もQOLを取り入れる方向に進展してきました。
しかし、1990年以降は、”歯周病の発症は細菌感染によるが、感染への生体の防御反応産物、歯周病原菌やその内毒素(LPS)は病状の悪化だけではなく、全身にも負の影響を与える”という概念が台頭し、1990年代中頃には歯周病と全身の関係を示す病態研究がみられ始めます。こうした研究により、生活習慣病をはじめとした”全身疾患”と歯周病の深い関連性が明らかになり、それに伴って歯周病医療の概念も、「歯の健康」から「全身の健康」を目指すものにシフトしてきました。
歯周病と全身疾患の関わり
このように、歯周病と全身疾患が深い関連性を持つことが明らかになってきましたが、その要因としては、歯周病原菌や内毒素(LPS)、炎症性サイトカインが歯周病部位から血流によって全身に広がることで影響を与えると考えられています。
また、一方では糖尿病や骨粗鬆症が歯周病の進行リスクを高めることも明らかになっています。(図)。
したがって、歯周病を単なる口腔疾患ではなく全身疾患の一部として捉えることが、歯周病や、さらには生活習慣病などをはじめとした全身疾患の予防・治療につながると考えられます。
2009.9.15 日歯広報
口腔内の感染による腸内フローラへの影響もあります。
粘膜上の細菌群は口腔内で600種、腸内フローラにおいて1200種と
まだまだ新種が見つかり続けております。
口腔内を健全化すると、当然腸内も健全化します。
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トイレで用を足したら、すぐに便器を洗い流しますよネ?
食べたら、お口の中から、喉、気管、まで、食べかすで雑菌が繁殖するのです。
食べたら、川の上流のお口の中の歯の隠れ雑菌をきれいにする、洗い流すことで胃や腸、お尻の穴まで、清潔になるのです。
食べたら磨く、それも、すぐに磨くのが、万病の元を絶つ秘訣!
酸っぱいもの食べたら、なおさらです。酢漬けのピクルスみたいに30分待って、再石灰化を待つのは遅すぎです。特にCa不足で、交感神経緊張過多の唾液の少ない日本人は、3AM(3ミニッツアフターミール)、食後3分くらいの早めのフロスケアが重要です。
呼吸器系疾患
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院内感染による肺胸膜の感染は、高い疾病率と死亡率を示している。これらの院内感染は、入院患者の約5%に起きている。これらの感染症の最悪なものは肺炎であり、その発生率は院内感染した入院患者の20~50%に達する26)。また、集中治療や酸素吸入を必要とする患者の場合には、しばしば肺炎を併発する2,10,17)。一般的に、こららの特殊な入院患者では口腔内清掃を行うことは不可能か非常に困難である。全身的(医学的)な易感染性の状態とあいまって、抗プラーク処置が行われない状況で、歯肉縁上および縁下プラークの形成が起こる。これらの患者に対する抗生物質の全身投与は、恐らく口腔細菌による感染の頻度と重症度を軽減するのに役立つ(しかし、根絶することはできない)。このようなことを考慮すると、患者の病状を悪化させたり、呼吸器感染症を引き起こし、そのための治療費が増加するという意味でも、口腔細菌の役割を知ることは大変に重要である。
事実
ずっと以前から臨床家たちは、口腔は潜在的な肺の感染源ではないかという疑いを持っていた(図9)。患者が入院すると、呼吸器系疾患に罹患する割合が増加するということが、しばしばたいした注意も払わずに何となく話題となってきた。しかし、肺の吸引物から分離される多くが歯周病関連の微生物であるという事実は、特に興味深い。
Scannapiecoらによる一連の重要な研究は、初期に行われた多くの研究結果を拡大し、明らかにした33~35)。彼らは、病院で集中治療を受けている患者について、頬粘膜や歯肉縁上のプラーク細菌の性状を調べた。その結果、入院せずに病院外の歯科医院で通院している患者よりも、病院で集中治療を受けている患者は、呼吸器感染にかかわる好気性および嫌気性細菌の両方とも有意に多く検出された。さらに、約65%の入院患者に、呼吸器官によくみられるS.aureusとP.aeruginosaが寄生していた。また、臨床的には、歯肉縁上プラークも有意に増加していることを指摘している。
歯周組織から分離された嫌気性および炭酸ガス好性の微生物は、呼吸器感染に強くかかわっている。またこれらの微生物は、入院および非入院患者のいずれにも、Fusobacterium,
Prevotella, Bacteriodes, Peptostreptococcus, Actinomyces,
Capanocytophaga, Actinobacillus, Veillonella, P. gingivalis
その他を含んでいる3,7,10,17)。これらの事実からはっきりいえることは、口腔内に生息する微生物は、肺胸膜への感染のリスクを有意に高めているということである。
潜在的な呼吸器の病原体による口腔および咽頭への奇生を減少させるために、多くの手段とプロトコールが開発36)されるとともに、ゴールを達成するうえでさまざまな成果を収めた。この歯周組織と全身との相互作用に関して非常に重要なことは、日常臨床においても、歯周病の診断、治療および予防処置は最優先の治療であり、これを保証することにより歯科医師は重要な役割を果たすことができる、という事実である。このことは、口腔の健康状態によって影響を受ける全身疾患を持つすべての患者に共通するテーマである。
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提供:口腔と全身の健康との密接な関係
(歯周病連鎖)2000年4月15日 東京国際フォーラム Michael G.newman UCLA歯学部教授 歯周病学
訳 高橋慶壮.宮田 隆 明海大学歯学部 歯周病学講座
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2-1.メタボと歯周病の関係
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お口がキレイになると 上気道、腸内フローラ、 血液までもがキレイ。
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トイレで用をたしたら、すぐに水で流すのと同じ。 お手入れは飲食直後のタイミングです!
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侮れぬ歯周病
~糖尿病・血管系疾患など悪化の恐れ~
日本人の中高年の5人に4人が歯周病を患っていいます。世界の先進国の中でも最下位です。放っておくと年を取ってから歯が抜ける大きな原因になります。それだけでなく、動脈硬化を進行させて、循環器疾患や糖尿病を中心とした生活習慣病を悪化させることにもなりかねなません。すでに10代の頃から始まる、歯周病は、進行性の無知覚な病態なので、サイレント病と言われ、中高年になって、症状が出てからでは手遅れで、ほとんど治癒しません。若いうちから、適切な口腔(こうくう)ケアを心がけたいです。
手や足の血管が詰まり、悪化すると壊死(えし)して切断することもあるバージャー病。国内に約1万人の患者がいると言われています。東京医科歯科大のチームは、歯周病との関連性を調べ、7月、医学誌で研究内容を発表しました。患者14人全員が歯周病であることが判明、病気になった動脈片から歯周病菌も見つかったといいます。歯を失うだけでなく、命に関わる歯周病は歯垢(しこう)がたまって歯肉に炎症が起きる病気です。症状がひどくなると歯槽(そう)骨と呼ぶ歯を支える骨が溶けていき、歯を失うことになる。自己流でなく、専門の衛生士の指導とクリーニングを定期的に受けることが予防と、進行くい止めることになります。
口臭も自分では自覚しにくいですし、歯ブラシ時に気をつけていないと、出血も気づきません。
繰り返しますが、歯周病はほとんど症状を出さないサイレントディディーズ(隠れ病)です。一度進行すると、元に回復しない多年進行性の退行病変で、どんどん噛む能力・噛み締め能力が衰え、脳の老化や、痴呆性の進行も認められます。
歯周病予防のコツ
●6ヶ月ごとにメンテナンス、チェックを受け、見えないところをクリーニングしましょう。
●食事後は毎回3分以内に糸ヨウジ(フロス)で一度歯間部をお手入れしておきましょう。寝る前は特に入念に仕上げ磨きを。
●歯ブラシは毛が柔らかくて、コシのあるもの、ネックがしなりグリップが滑らないゴムタイプが最適、ヘッドの小さいものは時間がかかりすぎ、磨き残したり手の動きが大きくなりやすいので、一度に3歯ぐらい磨ける大き目ヘッドを選ぶとよいでしょう。
●お手入れで重要なのは「歯と歯の間」「歯と歯茎の境目」の凹面で、歯の凸面ではありません。糸ヨウジ(フロス)のお手入れが大切です。歯ブラシは優しく、細かく、丁ねいに。持ち方は、鉛筆を握るように軽くペングリップで。
●奥歯や歯の裏側にみがき残しが出るところは、二度磨きを。
●半年ごとに衛生士さんの指導と、フォロークリーニングを受けて、自分のブラッシングのクセを知ることが大切です。
タバコと歯周病
喫煙は、全身のいろいろな癌の最も重要な要因のひとつであり、日本での癌死亡の32%に関わっているといわれています。特に肺癌では71%と高くなっています。また、様々な病気と直接関連があることが明らかにされ、最近は歯周病がこのリストに加わりました。
喫煙の口の中への影響は、若い世代に始まっています。しかも全身的な病気と違って発見しやすい部位に発生しますので、定期的な検診と早期の処置と禁煙などで、早めに治癒させることが可能です。歯周病にかかる方は喫煙している人が多く、煙草を吸わない人に比べて一般的に治りが悪くなっています。白覚症状がないまま、歯を支えている骨の吸収が大きく進み、発見が遅れることになってしまいます。
各国において歯周病に対する喫煙者のリスクを調べたところ、煙革を吸わない人に比べて約2~3倍と大きいことがわかりました。また、骨の吸収程度を調べてみても、喫煙者の方が吸収が大きく、歯周病が進行するとその差は開いてきます。
たとえ口の中の清帰状態が良くても、年齢と供に骨の吸収は大きくなることがわかりました。喫煙者の歯周病の特徴は骨の吸収が大きいほか、ポケットが深くその場所が多い、歯石が多い、などが挙げられるにも拘わらず、歯肉からの出血や腫れといった外見の炎症の程度が低いので、発見が遅れてしまいます。カルシウム不足、ビタミシC不足などに加え、歯肉の血流滅少が原困になっていると思われます。歯医者での外科的治療に対しても治りが悪かったり、失敗例が多くなります。大人たちが禁煙を実行して、子供たちの喫煙機会をなくし、健康な大人になれる社会にしましょう。
唾液の効果
赤ちゃんで唾液が多く、よだれが出るのはとても健康な証拠、その唾液の出が少なくなっているとすると…。
唾液とは口の中の腺より分泌される液体の集合体です。唾液腺は左右対称で、耳下腺・顎下腺・言下腺の3大唾液腺とその他の小唾液腺から分泌されます。一日に1~1.5リットル分泌されています。その成分は、ナトリウム・カリウム・無機リンなどの無機成分やムチン・スタテリンなどの蛋白質、アミラーゼ・リゾチームなどの酸素、ラクトフェリン・ラクトペルオキシダーゼなどの抗菌成分です。
唾液の作用としては、次のようなものがあります。
1)消化作用
2)自浄作用
3)緩衝作用
4)抗菌作用
5)抗溶解作用
6)保護作用
噛む運動や、刺激物が口の中に入って、分泌量が増えてきます。これを反射唾液といいます。絶えず口の中を流れ、口の中を清潔に保つ、抗菌作用。粘膜を洗う自浄作用は重要です。絶えず出ているのは固有唾液といいます。唾液が出るのはとても健康な証拠、しかしその唾液の出が少なくなっています。
どんな影響で少なくなってるのでしょう?分泌される過程では自律神経の影響を受けます。神経の作用によって分泌量や性質も変わり、交感神経が刺激されると、粘っこい唾液が、副交感神経が働くとサラサラな唾液が出ます。
緊張したり、イライラしたり、興奮したり、それは、交換神経過敏といわれるような、強い状態でなくても起こります。一人淋しくご飯を食べたりしても分泌は減ります。また水分摂取不足や、汗をかいたり脱水状態では出なくなります。
歳をとると、他の分泌と同じく減ってきます。老人や閉経後の女性は口腔内乾燥を起こしやすくなります。耳鼻科の病気で、鼻水やくしゃみなどアレルギー症状を抑えるお薬は、分泌を抑制します。唾液腺機能は他の全身的病気の作用で衰えたり、その部位の放射線治療でも影響を受けます。唾液分泌の大元は体液としての血液です。自覚していない方が、ほとんどですが、喫煙習慣のある方、精神的ストレスを感じている方は血液はドロドロになり血球成分がくっ付き、体の細い血管では流れが悪くなったり、詰ったりを繰り返しています。もちろん、血液は酸性化しています。
こういう方のお口のPHをリトマスで測ってみると、驚くことに100%歯が溶ける臨界PHの5.5度よりも、酸性の状態です。お口の汚れで虫歯にもなり、歯周病も進みます。 |
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糖尿病のコントロール
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これまでの研究から、糖尿病と歯周疾患は互いに影響を及ぼし合っていることに疑いの余地はない1)。多くの研究者たちは、歯周病患者にとって糖尿病の代謝コントロールの重要性を述べている。Mealeyによれば、歯周病のリスクと重症度はいずれも口腔清掃レベル、歯周病の範囲と重症度、歯科医師の勧める治療に対する患者のコンプライアンスと糖尿病のコントロールのレベルに直接かかわっているようだ26)。これらの要因レベルが悪化すると、炎症、出血、歯周ポケットの深さ、そしてアタッチメント・レベルといった歯周病マーカー値の上昇がみられる。また、糖尿病が歯周組織に及ぼす影響に関して、それが多因子性であることを提唱している。すなわち、歯周組織の感染に対する宿主防御、組織および細胞レベルのホメオスターシス、創傷治癒などのすべてがかかわっているのである。感染症が糖尿病患者の血糖コントロールを悪化させるという事実をみると、糖尿病患者の慢性的なあるいは活動性の歯周病を治療することは、血糖コントロールの上でも有益な効果を持つという仮説は、理にかなっているといえよう。
事実
1960年代から、糖尿病をコントロールする上での歯周治療の役割を調べた研究がいくつかある28,37)。非外科療法、全身的な抗生物質の投与、抜歯と外科治療を含む治療を行うと、血糖コントロールの悪い糖尿病患者でも、インスリンの減少と糖化ヘモグロビン値で測定された代謝コントロールに良い効果を示した、Grossiらの研究では、非外科治療とドキシサイクリン投与を受けた患者は、短期間で糖化ヘモグロビン値の改善を示している14)。プラーク中の歯周病原性細菌による炎症と有害な効果の減少は、糖尿病の合併症に深く関わる最終糖化産物の形成と蓄積を付随的に減少させる、という仮説が提唱されている。結合組織の安定を司る細胞外マトリックス・タンパクは、歯周組織の健康に大変重要な部分であり、最終糖化産物に対して最も影響を受けやすい。
歯周病と宿主の相互作用からみて、歯科医療チームには歯周病の進行と憎悪を減じる責任がある。治療中の患者にとってリスクは大変深刻である一方、過剰な歯周治療によるリスクは非常に小さい。糖尿病患者と糖尿病の家族歴を有する患者に対して行う歯周治療は、莫大な医療費上の節減に効果的である。医学および歯科医学の権威者たちは、歯周病を糖尿病の大きな合併症の1つであると認めた。したがって、もし歯周病が唯一の合併症である場合には、歯周治療をすることで、実際に糖尿病を改善できるということを強調しておきたい。
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提供:口腔と全身の健康との密接な関係
(歯周病連鎖)2000年4月15日 東京国際フォーラム Michael G.newman UCLA歯学部教授 歯周病学
訳 高橋慶壮.宮田 隆 明海大学歯学部 歯周病学講座
頸部感染症疑いは全例CTを
耳鼻咽喉科領域の感染症
2014年2月24日 研修最前線
急性声門下喉頭炎や降下性縦隔炎が合併した頸部壊死性筋膜炎。稀な疾患ではあるが、致死的な経過を辿る代表疾患だ。こうした重症耳鼻咽喉科領域の感染症をどう見分けるか。東京医科歯科大学耳鼻咽喉科助教の川島慶之氏が解説する。
まとめ:酒井夏子(m3.com編集部)
重症化しやすい急性声門下喉頭炎
講師は、東京医科歯科大学耳鼻咽喉科助教、川島慶之氏
急性喉頭蓋炎や急性喉頭蓋膿瘍の他にも、耳鼻咽喉科領域の感染症において致死的な経過を辿りうる疾患がいくつかありますので紹介します。
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症例5 63歳 女性
症例は、63歳の女性で、主訴は呼吸困難感です。5日前から咽頭痛と呟嗽があり、呼吸困難感が出現したことから近医耳鼻咽喉科を受診。急性喉頭炎の疑いで、同日、当科紹介受診となっています。
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初診時所見
こちらが初診時の所見です。顔貌は苦悶状で、嗄声、喘鳴を認め、体温は39.0℃と著明に上昇していました。SpO2はroom airで96%です。白血球は6,180/μLと正常範囲内で、好中球優位。CRPは2.2㎎/dLと軽度の上昇を認めています。
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頸部正面Xp
この方の頸部正面のレントゲン写真です。黒く抜けているのが気管で、ちょうど一番狭くなる部分が声帯です。気管を下から上にたどると、声門下で気管が尖って見えるのが分かりますか?この様に尖って見える状態をSteeple signと言います。Steeple とは教会の一番上の尖っている部位のことで、Steeple signで声門下狭窄の所見を表しています。
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喉頭ファイバー
この方の喉頭ファイバーを見てみましょう。赤くみえている部分が声帯で、声帯と声門下部が両方とも腫れてしまって、一体化していますね。気道がほとんどなくなっているような状態です。
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経過
抗生剤とステロイドを投与した5日後の所見ですが、腫脹が著明に改善し、声帯が見えていますね。この5日後の頸部正面レントゲンは正常であり、受診時と比較するとSteeple signがよく理解できると思います。
この方は初診時に緊急気管切開を施行し、5日後には声門下の腫脹の改善が確認されたため、カニュレを抜去し、受診9日目には無事退院となっています。血清のウイルス学的検査ではパラインフルエンザウイルス3型の抗体価が著明に上昇しており、パラインフルエンザウイルス3型によるクループ症候群と診断されました。
急性声門下喉頭炎の一例を示しました。急性声門下の喉頭炎は小児では比較的頻度が高い疾患ですが、成人では稀です。しかし、成人発症は重症化しやすいと覚えておいてください。
咽頭や喉頭に明らかな異常所見のない咽頭痛、咳嗽、呼吸困難感であっても、急性声門下喉頭炎の可能性も考える必要があります。頸部正面のレントゲン写真ではSteeple signが見られることもあります。また、起因菌には、パラインンフルエンザウイルス3型が原因になることが報告されていますので、疑わしい症例はすぐに耳鼻咽喉科へコンサルしてください。
降下性縦隔炎合併頸部壊死性筋膜炎
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症例6 85歳 女性
次の症例は、85歳の女性です。2週間前より咽頭痛を自覚。1週間前には呼吸困難感が出現し、前医を受診したところ入院となり、チエナムが投与されていました。頸部腫脹に気付き頸部CT検査の後、当科紹介受診となった症例です。既往歴に糖尿病があります。
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初診時所見
初診時所見です。体温は軽度上昇、心拍数は99回、右側の頬部の腫脹がありました。また頸部は全体的に発赤・腫脹しています。血液検査所見では、白血球が8470/μl、CRPが7.94㎎/dlです。
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頸部CT
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縦隔CT
データ上はあまり悪くなさそうですよね。しかし、頸部CT画像を見ると、咽頭・喉頭の後ろ側の咽頭後間隙と言われる部位を中心にガス像があります。顎下部から頸部にかけてのガス像、その周囲には膿瘍形成を認めたことからガス産生菌による頸部壊死性筋膜炎と診断されました。また、縦隔CT画像では上縦隔にもガス像を認めたため、降下性縦隔炎合併例と診断されています。
この方は、緊急気管切開と膿瘍開放術の後、創洗浄とクリダマイシン点滴投与で頸部および全身の感染徴候は改善。8日目には頸部ドレーン抜去となりましたが、その後、心不全と肺水腫により術後19日目に死亡されました。
頸部感染症疑いにはCT撮影を
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頸部壊死性筋膜炎・降下性縦隔炎
頸部壊死性筋膜炎は、主に嫌気性菌による重症感染症で、降下性縦隔炎を合併すると現在でも1~2割の致死率と報告されています。疑わしければ、頸部、胸部のCTを撮影してください。咽頭後間隙への進展や、ガス像の存在は降下性縦隔炎進展への危険因子と考えられています。疑いがあれば、早急に耳鼻咽喉科へ紹介してください。治療については、気道閉塞があれば気道確保し、膿瘍解放術を実施後に強力な抗生剤の投与を行います。
急性中耳炎では耳後部も確認は忘れないようにしてください。急性喉頭蓋炎や急性声門下喉頭炎では咽頭に所見がありませんので、咽頭に所見のない咽頭痛こそ注意するようにしてください。上気道の狭窄ではSpO2は窒息ぎりぎりまで下がりませんので、SpO2が保たれているからといって安心することはできません。また頸部の感染症が疑われた際にはCTを撮影するようにしてください。
2014年2月24日 提供:まとめ:酒井夏子(m3.com編集部)
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知っておきたい 隣接医学あれこれ
生活習慣病 予防医学としてのMSの役割とその落とし穴 |
日本人の生活習慣の変化は、糖尿病のみならず、高血圧や脂質異常症(高脂血症)といった、いわゆる生活習慣病を増加させてきた。生活習慣病を原因とする死亡者数は全体の3分の1以上にも上ると推計され、医療費の観点からも重大な社会問題である。
本年4月、生活習慣病を未然に防ぐ目的から、40歳~74歳の成人に対してメタボリック・シンドローム(MS)に着目した特定健診・特定保健指導が開始された。MSは、ウエスト周囲径という明確な指標を示すことで一般市民に生活習慣に関する注意を喚起するとともに、運動療法や食事療法の実践を促し、糖尿病や心血管系疾患の発症を予防する、という予防医学的に重要な位置付けにある。
では、MSとは一体どのようなものなのか。糖尿病を始め、生活習慣が大きく関連する疾患群である高血圧、脂質代謝異常は、各々が独立して動脈硬化を進展させる危険因子であるが、肥満者では互いに合併する頻度が高く、複数の危険因子を有する人ほど心筋梗塞など重篤な心血管病を引き起こす危険度が高くなる。これら危険因子が集積する病態は「シンドロームX」「死の四重奏」「内臓脂肪症候群」など、各国から様々な名称で報告され、一時、混沌としていたが、1999年、WHO(世界保健機関)からMSの名称が提唱され、現在、国際的にも一般的になっている。だが、予防的な位置付けにあるMSが、心血管病を有意に増加させるという、前向き研究による証明はなされていない。
MSに関して、これまでいくつかの診断基準が発表されてきた。日本では糖尿病や心血管疾患の発症を予防する観点から、腹部肥満(ウエスト周囲径)を必須項目とし、空腹時血糖値、中性脂肪値、HDL-コレステロール値、血圧のうち、2項目以上で異常を認める場合、MSと診断することになった。
糖尿病や心血管病を波打ち際で食い止める予防医学としてMSの果たす役割は大きいが、MS自体は疾患ではなく、疾病を引き起こしやすい状態を意味することをまず認識する必要がある。当然、糖尿病や高血圧、脂質異常症と診断された場合は、各々の疾患として管理されるべきであり、MSとして一括りに管理すべきではない。
さらに、MSの状態にある者が、心血管病を高率に発症するか否かについての直接的な証明がないことも大きな欠点である。日本人の糖尿病のうち、MSを経由しての発症は40%にも満たず、MSの過剰評価により各々の疾患の予防や管理が疎かになる。加えて、MSはあくまでも予防的な対象集団であり、薬物治療の対象にすべきではないことも肝に銘じる必要がある。
(清野 裕・日本糖尿病協会理事長)
2008.11.15日歯広報
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提供:口腔と全身の健康との密接な関係
(歯周病連鎖)2000年4月15日 東京国際フォーラム Michael G.newman UCLA歯学部教授 歯周病学
訳 高橋慶壮.宮田 隆 明海大学歯学部 歯周病学講座
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