4.歯の発育
お母さんと子供の歯のケアについて:
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一才から三才までに乳歯は上下二十本生えそろいます。
ムシ歯になると上手に噛むことが出来ず偏食になり、アゴの発育が悪くなったり、咬み合わせがずれて顔が変形し、永久歯のエナメル質の形成障害を起こしたりで、お子さんは一生、歯の事で悩む事になります。アゴの発育不全は身体の姿勢を悪くして、頭蓋の発育や内臓の働きにも影響をあたえ、噛みしめる事の出来ないお子さんは集中力や忍耐力、運動能力が不足することもあるようです。ムシ歯になる前に予防してください。ケアが習慣になれば大人になっても病歯周になりませんよ!正しい咬み方のできる赤ちゃん、子供は正しい脳の発達があり、バランスのとれた性格や判断力を獲得していきます。正直な表うらのない子供にしたければムシ歯は大敵です。
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母乳とアゴの発達
吸う力によって、赤ちゃんはのどの筋肉や、アゴ、舌骨の筋肉が発達してきます。この筋によって舌筋や口輪筋が形成され、やがてはえてくる歯の位置を決定する上で筋肉の圧力がとても重要になります。離乳を早く行ないすぎると愛情欠乏からか、指しゃぶりのくせを行いやすく、咬み合わせが魚の口のように開口となり、矯正治療が必要となるので、注意してください。 |
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乳児期のあごの発育 |
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「手づかみ食べ」でかむ意欲 詰まらせないよう見守って
小児歯科医や小児科医、助産師らが乳児と向き合い、口やあごの発育の研究を重ねています。親たちの相談にのると同時に、かむ力やあごを鍛えることの大切さを伝えています。(佐々波幸子)
「歯のかみ合わせが気になるんです」。1歳の娘を抱いた母親がこう話すと、ライオン歯科衛生研究所付属診療所元院長の桑原未代子さん(78)は「奥の歯が生えたらまた変わってきますよ。あごは使って育つんです。水で食べ物を流し込むくせはつけないようにね」と答えた。
茨城県つくば市で6月18日に開かれた「赤ちゃんから学ぶ会」。歯科医や小児科医、助産師ら全国に約50人の会員がおり、この日は山形や大阪、沖縄からの参加者も。「あごがかくかくする」「いびきをかく」「あごが小さいといわれ、歯が生えてくるときのことが心配」などと、母親たちからの相談を受けた。
会の発足は昨年2月。つくば市で小児歯科医院を開く石田房枝さん(68)が、子どもの虫歯は以前より減ったものの、歯並びの悪い子や鼻呼吸ができない子が増えていると感じたのがきっかけだ。相談会のほか、講演会や研究発表もしている。
「歯並びなどの問題は、実はあごの問題」と石田さん。あごの発育が悪いと歯が収まりきらず、歯並びが悪くなるという。
「あごの前方・側方部は1歳までに著しく成長しますが、歯科医が子どもに初めて接するのは1歳半検診のころが多い。歯が生え始める前から育ちをみることが大切なんです」
ハイハイはあごの発育を促すので、急いで歩かせようとしなくていい▽何でも口に入れようとする8ヵ月から1歳2.3ヵ月のころは、好き嫌いのない子に育てるチャンス▽だらだら食べは虫歯のもと−。この日、参加した12人の母親たちは、こうしたアドバイスを受けていた。
生後10ヵ月の夏芽ちゃんを抱いて訪れた濱本ゆみさん(31)は「体つきがしっかりしてきたわね」と桑原さんに声をかけられた。
以前は、食が細く、口に運んでもらうのを待っていた。会で「手づかみ食べ」を勧められ、ゆでたニンジンや大根を持ちやすい大きさに切って与えてみた。自分も同じものを手で食べて見せたところ、積極的に何でも口にするようになったという。
親がスプーンで口まで運んであげるのと違い、食べ物を床に落としてしまうこも多いが、「ひどく汚すのは一時期だけ」と石田さん。自分で食べる楽しみを味わうことが、かむ意欲につながるという。「歯が生えそろっていなくても、舌や唇、ほっぺたを総動員しながら歯茎で食べる練習が大切。一緒に食べながら、詰まらせないよう見てあげることも忘れずに」と話している。
「ごっくん」の練習 じゅけむにあわせ
小児科医の石田房枝さんは「口を結ぶ」「つばをごっくんとのみ込む」といった練習に、わらべうたや詩の音読を採り入れている。口をしっかり閉じることができない子が少なくないといい、「楽しみながら意識づけるのに役立ちます」と話す。
たとえば、ま行やぱ行が多い落語の「寿限無(じゅげむ)」の一節=下=をひらがなにして印刷。ゆっくり、はっきりと読んで、区切りの☆マークのところで、口を結んでつばをのみ込んでもらう。
じゅげむじゅげむ ごこうのすりきれ☆
かいじゃりすいぎょの すいぎょうまつ☆
うんらいまつ ふうらいまつ☆
やぶらこうじの ぶらこうじ☆
ぱいぽぱいぽ ぱいぽのしゅーりんがん☆
しゅーりんがんのぐーりんだい☆
ぐーりんだいのぽんぽこぴーの☆
ぽんぽこなーの☆
ちょうきゅうめいのちょうすけ☆ |
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2009.7.6朝日新聞社
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動く乳歯と6歳臼歯
野菜たっぷりの和食が基本。
しっかり噛める給食で元気な歯!
昨年、創立10周年を迎えた高陽なかよし保育園。
噛みごたえのある野菜を多く含んだ給食で、
元気な歯の子どもたちが育っています。
広島県広島市 社会福祉法人愛児福祉会 高陽なかよし保育園
今回伺ったのは、歯磨き指導に応募いただいた高陽なかよし保育園。和食の給食や噛むおやつなどが特徴的で、教育界でも注目を集めている園です。
「旬を大事にした魚や野菜中心のメニューで、おやつに昆布を取り入れるなど、噛める工夫もしています。歯にとても良い給食ですね、と園医さんに褒められるんですよ」と園長の石川幸枝先生。
しかし創立当初は、このような食事に慣れていないため食べられない子どもが多く、むし歯も多かったとか。
「それですぐにクッキングの時間を設け、子どもたちが食に興味をもつようにしました。保護者向けには試食会を開催し、給食の素材や味付け、噛みごたえなどを体験していただいた後、栄養士から食の大切さについて話をしていただきました」。
親子に対し食育活動を地道に続けていくうちに、給食の食べ残しは減少。子どものお弁当にも野菜や煮物が増え、家庭での食生活が変わってきたと実感するとともに、驚いたことに、歯にも変化が現れてきたそうです。
「今では園医さんも驚かれるほど、子どもの歯がきれいになったんです。親が子どもにきちんとご飯を食べてもらいたいという気持ちになって初めて、歯のことが気になってきたのでしょうね」。
当園に二人のお子さんを通わせる歯科医師の山村健さん、史恵さんご夫妻も「給食に出たメニューを、家でも子どもがよくリクエストするんですよ。しっかり噛める食事は、歯のためにもとても重要ですからうれしく思っています」とにっこり。
史恵さんは一昨年より、子ども向けに歯磨き指導をしています。石川先生曰く「今後も毎年行っていただきたい」。特に学習能力が高まる年長の頃に行うことは、子どもたちの記憶に残り、歯を守ろうとする意識も高めると考えています。
保護者と一緒になって食育・歯育に懸命に取り組む様子が印象的な園でした。
2013年5月27日 提供:デンタルマガジン朝昼晩
小児の口腔ケアはいつから始めるべきか
2012.9.10
歯科大学病院の中で「マタニティ歯科外来」を掲げたのは日本歯科大学が国内では初めてのこと。平成22年4月にオープンして今年3年目を迎え、初診来院患者数は年間100名ほどで推移している。患者さんは、妊娠したことが確認されてから産後1年間までの母親が対象で、生まれたお子さんの相談にも対応する。
「子供の口腔ケアはマイナス1歳から」とする児玉実穂先生に、マタニティ歯科外来発足の経緯から今後の展望までを聞いた。
患者さんの声から始まった
マタニティ歯科外来は、患者さんの要望から生まれました。
外来で、妊娠中に歯科治療を我慢したり体調不良で治療を受けられずにひどくなって、「歯科医院にいって怒られたらどうしよう」とご心配されたというお話は決して少ないことではありません。
治療を中断するかもしれない、女性特有の悩みを相談しづらいなど、さまざまな悩みや不安の声を聞き、それでは受診しやすい環境を作ったらどうかと。
担当スタッフは女性のみで構成し、全身の悩みもご相談しやすい体制にしました。
治療は個室で行いますから周りを気にせずにご相談できます。第2子であれば小さいお子さん連れということもありますので、簡易のベビーチェアを設置してあり治療中は寝かすこともできます。
マタニティ歯科外来は小児歯科と矯正歯科のフロアにありますので、お子様連れでも気兼ねせずにお見えいただけます。今年から授乳室も設けましたから、さらに安心して治療に来ていただけるのではないでしょうか。特に第1子の場合はお母さんがナーバスになりがちですから、個室でリラックスしていただくのも良いかと思います。
「安心」をどう伝えるか
マタニティ歯科外来では独自の問診票(健康調査票)の中で、かかりつけの産科医を確認するだけでなく、緊急時のために近隣の医科病院とも連携をとっています。
また、口腔内の検査後には以下の点について説明を行います。
@治療時期(治療は基本的に安定期に行う)
Aエックス線撮影(放射線量など安全性の説明等)
B麻酔の使用(安全性の説明等)
C薬剤について(抗菌薬、鎮痛剤などは基本的には内服しない。使用する場合は必要最小限の処方にとどめることなど)
D歯科材料について(安全性の説明等)
説明後に同意書をいただき、歯科治療を受けることは患者さんから産科医の先生に伝えていただくようお願いします。また、観血処置や処方が必要な場合には、必ず病院側から情報提供させていただき、注意事項などをお受けするようにしています。エックス線にナーバスになられている方の場合は、根充時など必要最小限の撮影にとどめ、出産後にあらためて検査を受けていただくような配慮もしています。
治療上の留意点
マタニティ歯科外来として特殊な設備はありませんが、腰に負担のかからない「ふかふか」仕様のチェアを採用したり、体調に合わせた無理のない治療を行うなどの配慮を心がけています。
妊産婦固有の留意点として、まず妊娠性の歯肉炎はプラークの状態に関わらず腫れたり出血しやすくなります。また、つわりに伴う嘔吐で口腔内が酸性になりやすいので、嘔吐反射を起こさないよう歯ブラシのヘッドの大きさを選ぶなど、その方に合ったブラッシング指導を行います。
つわりがひどく、歯ブラシを使えない場合は強いうがいを推奨する場合もあります。また、お腹が大きくなると1回の食事量が減り食事回数が増えますから、口内環境も悪くなるので口腔ケアの必要性をご説明します。
マタニティ歯科のニーズ
安心して受けられそうだからと言う理由で受診される方が多いですね。
安定期であれば普通に治療できますから、本来であればかかりつけの先生のところで治療するほうが通院の負担もないので理想だと思います。ただ、妊娠中なので歯科治療を断られたとおっしゃるケースが今でもあります。レントゲンや薬剤の処方に対する懸念が、患者さんにも先生の側にもあるのでしょう。安定期であれば普通に治療できるということを、医療連携の中でもっと周知していきたいと思います。
一方、母親に対しては、妊娠中の母体のケアだけでなく、生まれてくる赤ちゃんのために注意しなければならないことも伝える必要があります。ミュータンス菌が赤ちゃんに移る最も多いケースが母子伝播です。本当は妊娠する前から母親のミュータンス菌を減らすのが理想ですが、妊娠してからでも口腔ケアと併用してキシリールガムを使うことにより母親の口腔環境を整え、生まれた赤ちゃんにミュータンス菌が着床する時期を遅らせたり減らすことができるというデータがあります。これが「マイナス1歳からの口腔ケア」と言われる考え方のひとつです。最近では重篤な歯周病と低体重児出産や早産の関連を示す調査もあり、健康な赤ちゃんを出産するためには口腔ケアが大切だということになります。母親の口腔内の環境を整えることが健康な赤ちゃんを産む大切な準備になることを知っていただくことが、私たちの大切な役割だと思っています。
小児歯科 2012
2012.9.10
少子化時代の小児歯科その新たな取り組みを考える
大学病院・学会の視点から小児歯科の現状と課題
一般社団法人日本小児歯科学会 副理事長
神奈川歯科大学 成長歯科学講座小児歯科学分野 木本茂成教授に聞く
先天性永久歯欠如が1割
全般的な受診傾向として、長期管理に入る患者が減少していることが挙げられます。経済状態が良かった時代にはお子さんの予防歯科治療に理解を示す方が少なくあ
りませんでしたが、最近は必要に迫られて受診する比率が上がっています。
小児患者1人あたりの齲蝕歯数や齲蝕有病者率は確実に減ってきています。ただし、少数ですが重症者がおり、治療の中で家庭環境等の問題が明らかになるケースがあります。また、痛みや腫れなどの主訴で受診し、応急処置のみで治療に来なくなってしまうケースは過去に比べ増えていると思います。
永久歯の先天性欠如がマスコミで取りあげられ話題になっていますが、全国的な傾向は平成21年度に日本小児歯科学会が行った調査報告でほぼ10人に1人であることが明らかになりました。つまり、小児の約1割は将来咬み合わせに何らかの問題が発生するということになります。永久歯先天性欠如は珍しいケースではないということを前提に今後の治療を考えることが必要です。
小児歯科と矯正歯科の境界
小児の咬合誘導治療をいつスタートするべきかという判断は意見が分かれますが、神奈川歯科大学では小児歯科でも積極的に歯並びの治療に関与しています。永久歯の咬合が出来上がる前に治療をスタートして12〜13歳の段階で装置を付けなくて済むようにするのがわれわれの基本的な治療のスタイルです。
7〜8歳になって上下の切歯が4歯ずつ生え揃った時期に、印象を採って模型を作り、模型分析とセファロ分析を行うことで将来の噛み合わせを予測することができます。この時に歯列の拡大をスタートすると、犬歯や臼歯が生え揃う前に治療を終えることができ、あとは保定を行いながら定期的にチェックします。
乳歯列期や混合歯列期の前期から咬合誘導治療を始めることにより、永久歯が生え揃ってから矯正治療を行わずに済む場合は経済的な負担も小さいため、親御さんから喜ばれご理解も得やすいです。予測に基づいて永久歯のスぺースを作るわけですからさらに治療が必要な場合ももちろんありますが、大がかりな治療にはならず、大部分のケースでは永久歯を抜歯せずに済みます。
健康への新たなアプローチ
口呼吸を改善する小児矯正治療の意義
2012.9.10
保田矯正歯科(兵庫県西宮市)歯学博士
保田好秀氏に聞く
近年、少子高齢化の進展や国民の生活環境の変化、予防を目的とする健康意識のひろがりなどを背景に、いわゆる「削って詰めるだけの治療」だけではない新たな歯科医療のあり方が求められてきている。
歯科医師会や学会等による調査研究の結果、糖尿病と歯周病の関係や、周術期医療における口腔ケアの意義、口腔ケアがもたらす誤嚥性肺炎予防の効果などが、次々に科学的根拠のもとに明らかになってきたことは周知の通りである。一方、臨床の現場からも、全身の健康にアプローチする新たな試みが広がり始めている。
口呼吸がもたらす弊害
7月22日、新潟市内で保田好秀氏(兵庫県開業)による、口呼吸の改善を目的とする矯正治療セミナーが開催された。
保田氏は1988年に開業後、数多くの不正咬合の患者を観察する中で、多くの患者の不正咬合の成り立ちが口呼吸に起因していることに気づく。
「咬合異常をもたらす原因には、遺伝的な要因と環境要因があります。遺伝的要因は、顎骨・歯数・歯の大きさ・歯の形状などですが、環境要因では、幼児期の指しゃぶりや頬杖、そして口呼吸による弊害が挙げられます。口呼吸者には、舌が挙上しない乳児型嚥下が認められ、そのため大臼歯には適正な咬合圧が、口蓋には舌圧がかかりません。その結果、口蓋が側方に広がらず、狭いものとなり、その裏側にある鼻気道も狭窄し、鼻呼吸できずに口呼吸を続けるという悪循環が見られます。」(保田)
保田氏は子供の口呼吸の弊害について次のように説明する。
▼舌位の異常により、発音が不明瞭で、咀嚼・嚥下が不十分
▼歯列の狭窄や舌位の異常により色々な不正咬合が生じる
▼口の中が乾燥し、唾液による殺菌作用が不十分で、カリエスや歯周病のリスクが高まる
▼いびきをかいたり、時には子供の睡眠障害が認められることもある
▼風邪を引きやすくなり、咽頭炎や扇桃炎にもかかりやすい
リンパ系組織の発達は12歳前後がピークになるため、学童期は気道が閉塞し易いのも事実である。その時期を過ぎると鼻閉は改善するが、不正咬合という形は残る。舌位の悪さや口呼吸という悪習慣は身についたままであるので、これが不正咬合とともに、将来のリスクにつながっていく。
保田氏は口呼吸の患者を見るポイントとして、「口をポカンと開けている」、「姿勢が前屈みである」、「鼻の穴が正面を向いている」、「上顎歯列が狭窄している」、「扇桃腺が腫れている」、などのほか、保護者に対し、「何かを飲み込むときに舌が前に出ていないか」、「就寝時にいびきをかいていないか」、「寝汗をかいていないか」などを聞くことも、気道の閉塞を知る上で有効であると指摘する。
「主訴が不正咬合であっても口呼吸が疑われる場合には、患者さんの健康を第一に考えて、まず口呼吸を改善することが先決です。検査の際に、低位舌は視診で、大きなアデノイドや狭い気道はセファロで確認することができます。中学生・高校生になってから不正咬合を治療するよりも、小児期に治療する方が早期に大きい効果が得られます。」(保田)。
具体的な治療方法は、矯正装置(写真下)を用いて上顎を拡大することによって鼻腔の拡張を促し(写真上)、呼吸時の鼻腔の抵抗を減らし、口呼吸を鼻呼吸に改善し、適正な舌位を獲得するという流れになる。
「口呼吸を改善せずに舌の機能訓練をするのは、子供たちにとって無意味で苦痛なだけ」と保田氏は言う。
「幼児期のうちに口呼吸を改善することは、睡眠時の呼吸障害等を予防することにもつながり、良質な睡眠を提供できます。歯並びという観点だけでなく、口蓋の裏側にある鼻気道や気道を意識するだけで、歯科の役割は大きく広がります」と保田氏は話す。
新たな医療連携のきっかけに
口呼吸の弊害に気づいたのは歯科医師だけではない。
福岡県福岡市で「みらいクリニック」を開業する内科医の今井一彰氏は、一般内科、リウマチ、アレルギー性疾患を中心に診療する中で、リウマチ患者特有の匂いが口腔内の炎症に起因することに気づく。炎症部位の上咽頭を洗浄するとともに鼻呼吸を徹底させることによって、多くのリウマチ、アレルギー患者を改善させたことは、「薬を使わずにリウマチを治す5つのステップ」などの著書にも詳しい。その成果は昨年6月に開催された日本顎咬合学会の公開フォーラムで行った講演でも明らかにされたため、記憶する歯科医師の方も多いことと思う。
また、宮城県仙台市で「堀田修クリニック」を開業するIgA腎症専門医の堀田修氏(元仙台社会保険病院腎センター長)は、慢性上咽頭炎が発症に関わることに着目し、治療の一環として「鼻うがい」を採用し20年になる。
その効果は、人工透析患者が年々増加する中で、全国で唯一仙台市だけが減少していることをみても明らかと言われている。
口呼吸の改善が、歯科医療から全身の健康に具体的にアプローチできる方法としてどのように進展するか、今後の動向が注目される。
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