Ph5.5以下の酸性状態ではカルシウムが 歯から溶け出します!!! |
2.酸蝕 確かな事実 歯を溶かす危険なメニュー クエン酸・フルーツ酸酢(酪酸)の入ったものでとろみのついたもの (例) 唾液の少ない方が現代は多く危険なのです。
第三の歯科疾患とは、何か? この数年、Tooth wear (トゥース・ウェアー)がう蝕、歯周病に次ぐ第三の歯科疾患と言われて、注目されるようになっています。Tooth wearとは、咬耗,摩耗あるいは酸蝕によって歯の表面の正常な構造が失われた状態を言います。このうち、「酸による歯質の欠損」ただし「細菌が関与しない酸」によるものが酸蝕症です。
■pH (ペーハー)とエナメル質の脱灰 ■外因性の酸蝕症 ■内因性の酸蝕症 Tooth wearと酸蝕症の診断 Tooth wearに関する問診では、次のことに注意します。 健康状態,患者の認識,進行状況に関する記録, Tooth wearの診断におけるAbrahamsenの診断アルゴリズムは、とてもシンプルですが有用です。実例をあげて、ご紹介します。
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酸蝕歯を予防するためにできることはなんですか? ・酸性飲料は口の中で長く放置しておかない。ストローを口の奥に当てて飲むのも効果的。 ・歯ブラシはかたいものは避けて、ブラッシングはゆっくり、優しくじっくりと。 ・5分以上の長時間ブラシングはしない。食後はフロスを主体にやさしく歯の隣接面ケアをおこなう。 ・食後は脱灰が進むので早め5分後までにフロスケアをおこない、バイオフィルムに菌を増殖させない早めのケアが大事。 ・歯磨きクリームは使わず、液体かジェルで、フッ素配合の研磨成分の無いものを使う。お薦めはジェルコートFやバトラーCHX液です。 ・定期的な歯科検診を受ける。また、心配であれば歯科医などの専門家に聞く。 ・酸蝕歯に着目したハミガキで毎日2回を目安にブラッシングする。 日常生活の"酸"から歯を守る 2013年1月28日
酸蝕の影響から歯を保護する 酸蝕への関心が高まっています。 現代の食生活習慣では、エナメル質が飲食物による“酸"に触れることが多くなってきております。つまリ、tooth wearの最大要因である酸蝕"を引き起こす可能性が高まっています。1-4 初期段階の酸蝕は、鑑別が難しい場合があります
酸蝕の初期にみられる兆候: ①エナメル質が薄くなるにつれ透光性増大 ②口蓋側のtooth wear ③特徴的なエナメル質の損耗 ④咬合面の杯状の凹み 典型的な酸蝕の患者さんには、次のような食習慣や病歴があるかもしれません: ・酸性飲食物の大量摂取 ・頻繁に酸を摂取する、あるいは長時間に渡る歯への酸の接触 ・酸性薬剤の常用 ・胃酸の逆流歴 どのようにして、患者さんを改善できるでしょうか? 最適化されたフッ化物の処方は、 酸蝕の患者さんにどのように役立つでしょうか? 同量のフッ化物を含む他の歯磨剤とは異なり、 フッ素トリートメントは酸蝕に着目し最適化された歯磨剤です。
エナメル質表層へのフッ化物の取り込みを促進することは、 in situ実験で、臨床的に証明されています: ・酸により軟化したエナメル質を再び硬くします(硬さの回復)6 ・より硬い歯質を作り、酸によるダメージ、を防ぎます6 酸により軟化したエナメル質を再び硬くします • フッ素トリートメントは、最適化された処方で、酸により軟化したエナメル質の再石灰化を促進7 • フッ素トリートメントは、酸により軟化した歯質を再び硬くします7 酸蝕からの影響を継続的に妨ぎます ・エナメル質を徐々に硬くします8 ・より硬い歯質を作り、酸によるダメージを防ぎます7
フッ化物は、酸により軟化したエナメル質を再び硬くさせ、酸蝕からの影響を継続的に防ぐことが証明されています5,7 すべてのフッ化物入り歯磨剤が同じではありません 最適化されたフッ素トリートメントの処方 フッ素トリートメントは酸蝕から歯を守るため、歯に取り込まれるフッ化物がより多くなるよう処方設計されています。約6000ppm 一般的には、どの歯磨剤も1000ppm同等量のフッ化物が配合されています フッ化物は、歯磨剤中の他の成分と結合することにより、有効利用性(取り込まれるフッ化物の量)が低下する場合があります フッ素トリートメントは 、取り込まれるフッ化物をより多く有効利用するため、エナメル質の強化につながります 歯磨剤に配合されたフッ化物量が同じであっても、同等の効果が得られるとは限りません フッ素トリートメントの最適化された処方は、 酸により軟化したエナメル質を、 再石灰化し、再び硬化させることが確認されています
聖蹟サピアタワークリニック東京再生医療センター副院長 (日本アンチエイジング歯科学会第5回記念学術大会の講演を元にまとめた) 酸蝕症の予防と対策 酸蝕症に侵された歯は耐酸性が低くなり、放置すると歯髄炎を生じることがあります。そこで、酸蝕症を認めた場合には、まず患者さんに予防を働きかけるべきですが、予防には①原因の除去と②歯質の強化の二つがあります。 シュミテクトPROエナメルの特徴 酸蝕症への対応 酸蝕症から歯を守る・・・まとめ 酸蝕 早期管理の重要性
知覚過敏はどの段階でも併発する可能性がある
初期段階
中期以降段階
酸蝕歯の影響は元に戻すことはできません。ほうっておくと、歯医者さんで
*実際の酸蝕歯判定には、専門家の診断が必要です。
第3回 象牙質知覚過敏症に対するセルフケア 2012年8月10日
第一生命保険相互会社 健康増進室 主任歯科衛生士
深川優子 はじめに 本連載ではこれまで象牙質知覚過敏症のメカニズム、象牙質知覚過敏症の鑑別と話を進めてきましたが、それでは、実際に象牙質知覚過敏症と診断された場合、どのように対処していったらよいのでしょうか。第1回めでお知らせしたように、象牙質知覚過敏症の罹患率は歯科医師の認識よりもはるかに高いと考えられますが、その割には患者さんの大多数が適切な診断や治療を受けていないのが現状です。ゆえに私たち歯科衛生士も歯科医療従事者の1人として、象牙質知覚過敏症の誘発要因を理解し、適切なケア方法を選択し、患者さんに伝える努力をしなければなりません。今回は象牙質知覚過敏症の背景に潜む生活習慣をいかに捉え、適切なセルフケアへと導くことができるか、専用の歯磨剤や薬剤などにスポットを当てて解説していきます。
象牙質知覚過敏症におけるセルフケアの位置づけ ~スメア層の喪失防止~ 象牙質知覚過敏症のケアは、象牙質表面に開口した象牙細管の封鎖、あるいは象牙細管内に沈殿物を生成 して、細管を狭窄あるいは閉塞し、「象牙細管内溶液の移動防止」を確実に行うことで効果をあげます。一般的にケア方法は、侵襲性と非侵襲性に分けることがでさます(表1) 1)。非侵襲性の処置は、患者さんに働きかけて、患者さん自身が取り組む方法(セルフケア)であり、侵襲性の処置は、歯科医師や歯科衛生士が行う処置(プロフェッショナルケア:次号に記載)になります。 象牙質知覚過敏症の発症には生活習慣が大きく関与しています。エナメル質を喪失し知覚過敏を生じさせる因子は、不適切なブラッシングや飲食であったり、薬剤であったりすることが多く認められます。また、侵襲性のケアは後戻りができない処置が多くあります。したがって、まずは生活習慣を改善するセルフケアへのアプローチを優先させることが大切です。 周知のことと思いますが、象牙質の露出がすぐに知覚過敏を生じさせるわけではありません。多くの場合は、象牙細管の入り口はスメア層により塞がれています。しかし、このスメア層は非常に剥がれやすいので、ブラッシングなどの機械的な刺激により除去されてしまうと、象牙細管が開口し、外来刺激が歯髄まで伝達されます。象牙質知覚過敏症の発症には、スメア層の喪失が重要なかかわりを持つことから、その予防を含むケアはスメア層の喪失防止が鍵となります。 これに対して、接着性レジンによる修復処置や、コンポジットレジン充填の前処理として行われる燐酸やクエン酸によるエッチング処理は、レジン成分を歯質に浸透させ、コラーゲン線維やハイドロキシアパタイトに絡めさせるために、スメア層を除去してしまいます。 このように非侵襲性のケアと侵襲性のケアとでは、スメア層に対する処置が異なります。 スメア層の喪失防止を念頭に置いたセルフケアは、まず誘発因子のコントロールを目的として、食生活ブラッシング方法の確認など、生活習慣に着目した保健指導を行い、その症状に合ったケアを選択します。
1 .誘発因子別の詳細と対策 誘発因子の概要は、前回(象牙質知覚過敏症の鑑別)でも述べましたが、今回は、想定される誘発因子をさらに詳しく検討し、その対策を解説します。 1 )外因性の酸蝕(Erosion) ① 食餌が原因の場合 スメア層は、pHの低い酸性の食品、果物、飲料によって容易に剥がされてしまいます。 pHの低い飲料としてはコーラやオレンジジュース、グレープフルーツジュース、白ワイン、赤ワインなど多くの種類があります。ヨーグルトやレモンのような柑橘系の果物もpHが低く、オレンジジュースに3分間さらされただけでスメア層は完全に剥がれ、象牙細管が露出し過敏な状態になることが確認されています(表2)2)。また、市販の洗口剤もpHが低いことから、スメア層を喪失させる可能性があります。ちなみにう蝕は、唾液のpHが象牙質pH6.0~6.8、エナメル質pH5.5以下で発症します。 ② 職業牲の場合 「歯牙酸蝕症」も酸が刺激となり、露出した象牙質に知覚過敏を生じさせます。酸によって引き起こされる「歯牙酸蝕症」とは、法律的に歯科医師がかかわることが定められている職業性疾病に分類されており、製造業による酸性のガスや蒸気、ミストなどの発生が原因であり、細菌が直接的に関与することなく酸の化学反応によって、エナメル質に実質欠損を生じさせます。わが国では、職業性に発症したものを「歯牙酸蝕症」と称して、非職業性のものと区別していますが、外国の文献などではどちらも「Dental erosion」に一括されています3)。 【対策】一般的に、外因性の酸による傷害は頬側に起こる傾向があります。食餌が原因でしみる症状が強い場合は、数日間、これらの食品の摂取を控えてもらうばかりでなく、ブラッシングするタイミングが重要となります。すなわちブラッシングは、酸により軟らかくなったエナメル質や象牙質を機械的に取り除くことになるため、飲食直後のブラッシングは禁忌です。また、pHが低い洗口剤を使用したブラッシングも控えた方がよいでしょう。 一方、歯牙酸蝕症のケアは職種の変更ができないために厄介ですが、対策としては食餌の場合と同じです。酸で攻撃された歯質を機械的に喪失させないために、またう蝕原因菌の感染を防ぐために、歯質の強化が必要です。口腔内のpHを中性に戻す、あるいは保つために、唾液の緩衝能を上げたり、飲料水を摂取したりするなどのくふうも必要です。 また歯磨剤もフッ化物入りで研磨剤非配合のものをお勧めしましょう。昨今の健康志向(黒酢、酢酸、クエン酸などが体によいなどの風潮)も口腔衛生においては、逆効果となるようです。 2 )内因性の酸蝕(Erosion) 一般的に内因性の酸による傷害は、口蓋側に起こります。摂食障害などの嘔吐が原因で胃酸が口腔内に逆流すると、スメア層を喪失します。 象牙質知覚過敏症に関係する摂食障害とは、大食して食べたものを排泄しない「むちゃ食い障害」といわれています。自己誘発性の嘔吐や下剤の不適切な使用などによって、胃の中の食物は胃酸とともに口腔内に排出されます。 胃酸のpHは大変低く(pH2:強酸性)、喫煙やチョコレートなど特定の食べものは胃の括約筋の働きを低下させるため、胃酸の逆流が起きやすくなります。また食後は、胃の内容物の量が多く、酸性度も高いため、やはり逆流が起きやすくなります。 アルコールやコーヒーも胃酸の産生を亢進させます糖尿病やモルヒネに代表される、強い鎮静作用を持つオピオイドの使用などによって胃に内容物が長くとどまっている場合も、逆流が起きやすい傾向があります。摂食障害は男性よりも女性、特に若い女性に圧倒的に多くみられます4)。 【対策】 摂食障害による象牙質知覚過敏症が疑われる際のインタビュー(医療面接)は、少なからずメンタルな部分に抵触することになるので慎重に行います。対策としては、喫煙やチョコレート、アルコールやコーヒーなどの刺激物を控えてもらいましょう。また嘔吐の後は、口腔内を中性に戻すために飲料水による洗口や摂取を勧めます。長期的な観察と医科的なアプローチを検討する必要があるかもしれません。 3 )薬剤の影響による知覚過敏 ①服薬により口腔乾燥を起こす場合口腔乾燥は酸蝕症の増加につながりますが、その主な原因は、加齢、ストレス、脱水(飲水行動制限)、口呼吸、乾燥した室内環境、そして薬剤などがあげられます。薬剤による唾液分泌低下作用は、利尿作用のある薬剤をはじめとして、体液の減少を促進させる薬剤や降圧剤、抗うつ剤、抗コリン剤(副交感神経遮断剤)など、その種類は大変多いようです5)。また、口腔周囲筋群の機能低下や筋弛緩を促す薬剤も、唾液腺の刺激を減少させるといわれています。副交感神経は唾液の分泌を促進し、交感神経は唾液の分泌を抑制する働きがあることから、前述の薬剤は交換神経に働きかけ、唾液の減少を引き起こします。 ②薬剤の糖分による場合 最近、「チュアブル錠」や口腔内崩壊錠」ということばをよく耳にします。水なしで飲めて効果が早いな ど、その手軽さから市場でも多く出回っています。口の中で浴けるとか、トローチなどのようにゆっくりと唾液で溶かすことにより作用させる薬剤は、苦くては服用できません。これらの薬剤に使用されている甘味料がう蝕や酸蝕の原因にならないか疑問に思うところです。 ◆口腔内崩壊錠(Orally Disintegrating Tablet) : 英文表記に由来し、OD錠やD錠ともいわれています。口腔内で速やかに崩壊しますが、口腔粘膜 から吸収されることはないため、「唾液か水で飲み込むように」と適応上の指示があります。これらの製品には、薬用成分の他にアスパルテーム(ショ糖の約200倍の甘さを持つ人口甘味料)やクエン酸、乳糖や香料も配合されています。 ◆チュアブル錠(Chewable) : かみ砕くことができるという意味から、小児用の薬剤に多い形態で飲みやすいように味つけをした錠剤です。飲みやすさを改善するためにアスパルテームという代用糖や香料が配合されています。 ◆トローチ効能: 効果として、咽頭炎、扁桃炎、口内炎、抜歯創を含む口腔の創傷の感染予防であることから、唾液により徐々に溶解させながら用いる薬剤で、「かみ砕いたり、呑み込んだりせずに、できるだけ長く口中に含んで有効成分が口腔内に長時間保たれるように」と適応上の指示があります。いずれも精製白糖やハチミツ、香料などが賦形剤として用いられています。 いずれにしても配合されている糖分が歯質に影響を与える可能性があります。使用にあたっては注意が必要です。 【対策】 唾液の減少は、唾液の保護作用、免疫機能、自浄作用を低下させます。保護作用の低下は、酸により障害を受けている歯質をさらに悪化させ、すでに象牙質が露出していた場合は、象牙細管の開口を促進させる要因となります。自浄作用の低下は、プラークを蓄積させるため衛生環境を悪化させます。対策はプラークコントロールと併行して、唾液の分泌促進や口腔を湿潤に保つことが重要です。患者さんには、キシリトールやヒアルロン酸を配合した口腔湿潤剤(スプレーやジェルタイプ)をお勧めしましょう。まめに水分を摂取してもらうことも重要です。また、歯質に影響を与える甘味料が配合されたチュアブル錠やトローチなどの常用も場合によっては、控えた方がよいと思われます。 4 )摩耗(Abrasion)による知覚過敏:不適切なブラッシング 機械的な刺激によるエナメル質の喪失は、通常のブラッシングや歯磨剤の使用では起こりにくいものです。もともとの歯質が酸蝕や咬耗ですり減っている場合に相乗効果として働きます。 もっとも知覚過敏を起こしやすい部位は犬歯と小臼歯の頬側歯頸部であり、利き腕とは反対の部位に力が入りやすく、また、歯間ブラシやデンタルフロスの誤った使用方法によってもエナメル質は喪失します。 【対策】 不適切なプラッシングが疑われるときは、日常使用している歯ブラシを持参してもらい、毛先の広がり具合や購入、交換の時期などを確認します。ブラッシング圧が強い場合は、歯ブラシは1ヵ月間も適正な形を維持できず毛先がすぐ広がってしまいます。さらに歯磨剤の量も確認します。興味深いことに、“もっとも知覚過敏を生じている歯はもっともプラークの少ない歯である"との報告もあることから2)、対処としてブラッシングテクニックやツールに主眼をおいたケアを勧めます。 歯ブラシの形状は、毛先がラウンド型、あるいは極細毛のもので、刷掃面はストレート、硬さも「ふつう」で構いませんが、硬くても軟らかくても象牙質知覚過敏症は生じるので、あくまでも力と動きのコントロールを優先しましょう。歯ブラシの把持もペングリップを意識し、磨くというよりも毛先で歯面をやさしく拭う感覚を伝えます。歯間清掃用具の使用にあたっては、サイズの選択が重要です。特に歯間ブラシにおいては、狭い空隙に無理に通そうとすると、隣接面のエナメル質を削ってしまいます(前ページ図1)。出し入れする際に、きついと感じるよりも少し余裕があるサイズを勧めましょう。 5 )咬合の不調和(Abfraction)による知覚過敏 楔状欠損の主な原因は、咬合によるエナメル質の損傷と考えられています。また、アブフラクションは、ブラキシズムやクレンチングが関連していることなど、ストレスから発症することを念頭におきます。 【対策】 楔状欠損部位のプラークコントロールが重要です。タフトブラシなどヘッドの小さい歯ブラシを部分的に使用します(前ページ図2)。しみる症状が強かったり、プラークコントロールが困難な部位や形態であったりする場合は、充填処置が必要になります。また、アブフラクションの根本的な治癒はセルフケアでは限界があることから、咬合の調整はプロフェッショナルケアの段階になります。安易に健全な歯質を切削することはお勧めできないので、スプリントの装着を検討してもよいかもしれません。最近では、ブラキシズムやクレンチングのセルフケアとして、就寝前にベッドの中で「リラックスして眠る」と自己暗示するのも効果があるといわれています。ストレス発散がもっとも有効なセルフケアといえるかもしれません。 2. 知覚過敏専用の歯磨剤 象牙質知覚過敏症のセルフケアにおける基本事項として、象牙質知覚過敏症専用の歯磨剤の推奨があります。では、専用の歯磨剤の特色はどのようなものでしょうか? 科学的に根拠のある成分は、硝酸カリウムとフッ化物です。他にも乳酸アルミニウムや塩化ストロンチウムなども有効であるといわれています。10%塩化ストロンチウム添加の歯磨剤が知覚過敏に有効であると証明されたのは1961年と、歴史がありますが、フッ化物と配合が禁忌であるため、う蝕予防の効果は期待できないとの報告があります7)。では、専用歯磨剤が知覚過敏を防止するメカニズムを以下に説明します。 1 )硝酸カリウムの場合 硝酸カリウムがカリウムイオンとなり、歯髄神経周辺にイオンパリアを形成するといわれています。この働きにより、歯髄で神経伝達をブロックし、知覚過敏によるしみや痛みを緩和します。カリウムイオンは、歯髄内の知覚神経末端に直接影響を及ぼすと考えられています。通常、5%の硝酸カリウムが歯磨剤に配合されています。 2) 乳酸アルミニウムの場合 乳酸アルミニウムは、開口した象牙細管を封鎖することにより、象牙細管内溶液の移動を阻止し、神経を刺激するのを抑制します。 3) フッ化物 象牙質知覚過敏鈍麻剤として使用するフッ化物パーニッシュは、高濃度(22,600ppmF)で劇薬、指定医薬品であるため、専門管理下での使用となります(プロフェッショナルケア:次号に記載)。この他にフッ化物ジェルとしてセルフケアに使用できるものは、濃度1000ppmF未満のものが各社から販売されています(図3 - 5)。 歯磨剤に含まれているフッ化物は、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、フッ化第一スズの3種類ですが、中でもフッ化第ースズは歯根面(象牙質、セメント質に対してもっとも浸透率が高く、歯髄にまで容易に達する可能性があるため、知覚過敏症を悪化させてしまうこともあります。象牙質知覚過敏症に対して有効なフッ化ナトリウム配合の歯磨剤をお勧めしましょう。 4 )海外の製品 海外における象牙質知覚過敏症のセルフケアは、専用歯磨剤の使用が最優先されます。海外は日本と違ってフッ化物の濃度が高いことや、日本では薬事の許可が下りていない成分を配合していることからも納得できます(前ベージ表3)。アメリカで販売されている専用歯磨剤も多数あります(前ページ図6)。また、日本でもフッ化物濃度こそ違いますが各社から専用の歯磨剤が販売されています(前ページ図7、8)。海外では、フッ化物の他にう蝕予防に効果がある成分として、Baking Soda (重曹)もよくあげられています。 しみる症状が強い場合は、ノンぺーストを勧めるのも一考です。ノンぺーストを推奨する理由は、歯磨剤に含まれる歯磨剤の粒子が象牙細管の内径よりも大きいため、これにより摩耗が生じ、スメア層が除去されて象牙細管が開口するからといわれています。専用の歯磨剤か、あるいはフッ化物入りで研磨剤非配合のものを勧めましょう(図9, 10)。 最近急増中の象牙質知覚過敏症。 歯科衛生士として、セルフケアに関して多くの選択肢や情報を持つことが重要ではないでしょうか。専用の歯磨剤に関しても効果のメカニズムを理解し、新製品の情報も入手しなければなりません。患者の口腔術生向上のために、歯科衛生士のコンピューター(頭脳)は、つねにデータのアップデイトが必要となりますね。 次回は、象牙質知覚過敏症に対するプロフェッショナルケアに関して解説します。 参考文献 1.Haywood VB. Dentine hypersensitivity:bleaching and restorative、considerations for successful management. Ferney-Voltain: FDI/world Dental Press. 2002:379. 2. Martin Addy . Dentine hypersensitivity: new perspective on an old problem. Ferney-Voltain:FDI/world Dental Press, 2002: 367-375. 3 探川優子.Q&Aあなたの質問に答えます!NO.37. 歯科衛生士2005: 29 ( 1 ):84-86. 4. 万有製薬ホームページ「メルクマニュアル医学百科」:摂食障害の章http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec07/ch103/ch103a.html 5. 東京予防歯科研究会ホームページ「口腔乾燥を起こし易い薬について:病気を治す薬でう蝕がおきる?」http://keepsmile.info/ 6 深川優子、安田 登、象牙質知覚過敏症への対応~正しく知って予防しよう~.デンタルハイジーン2001;21 (10):886-899. 7. 世界の歯科事情:平成16年度東灘・灘・中央区学術フォーラムの資料 第4回 象牙質知覚過敏症に対するプロフェッショナルケア 2012年8月10日
第一生命保険相互会社健康増進室主任歯科衛生士 深川優子 はじめに 前回は、「象牙質知覚過敏症に対するセルフケア」に関して述べました。さて、象牙質知覚過敏症のメカニズムや鑑別方法も頭にインプットし、インタビューを試みて保健指導もし、専用の歯磨剤も使用しているというのに、「まだしみる」と目の前の患者さんが訴えたとき、あなたなら次の一手は何を打ちますか? 患者さんの苦痛を速やかに取り去ることが歯科医療従事者の使命であるならば、こんなときタイムリーな診断や処置の修正が必要です。今回はセルフケアにも限界があることを理解し、次の一手である象牙質知覚過敏症に対するプロフェッショナルケアに関して解説していきます。
3 ) 高濃度フッ化物の塗布 5 )コンポジットレジン充填 象牙質知覚過敏抑制法
知覚過敏抑制材 MSコート (健保適用) サンメディカル 2012年5月21日
カルシウムと反応する新メカニズム!
歯ブラシ摩耗による象牙質露出、歯肉後退による象牙質露出、スケーリング後の象牙質露出、歯周炎による根面露出など知覚過敏症の抑制に使用します。 ●2液を混和し、こすり塗り・乾燥するだけの簡単操作です。 便利なフェルトホルダーとフェルトチップ付き ■注意1 |
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WFでは、そういう部分も、3Mの自費用CRを用いて、ドイツ製の特殊なボンディング処理をして綺麗に修復します。耐久性は、10年保障です。