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帝王切開手術時に女性が死亡、手術を担当した福島県立大野病院の産婦人科医だった加藤克彦医師の刑事裁判の判決が8月20日、福島地裁であり、加藤医師は無罪となりました。検察は、業務上過失致死罪で禁固1年、医師法21条違反で罰金10万円を求刑していました(求刑の詳細は「検察の求刑は禁固1年、罰金10万円」をご参照ください)。 この事件は、2004年12月17日、帝王切開手術の既往がある前置胎盤の女性が、帝王切開手術時に死亡、執刀した加藤医師が業務上過失致死罪と、異状死の届け出を定めた医師法21条違反に問われていたものです。 「大野病院事件で加藤医師が有罪になったら、“医療崩壊”は加速する」と危惧されていた中での無罪判決に、多くの医療関係者は安堵されたことでしょう。なお、現時点で検察が控訴するかは未定です。 25枚の裁判の一般傍聴券を求めて並んだのは、実に788人。医療界、さらには世間の関心が非常に高いことがうかがえます。全国各地から、産婦人科医に限らず、多数の医師がここ福島に来ています。今日(20日)の午後には、加藤医師の弁護団などの記者会見が予定されているほか、日本産科婦人科学会などが声明を予定です。関係者の反響も含めて、詳細は逐次お届けします。
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地球温暖化でアレルギーと喘息が増加 【2008年8月14日】 『Journal of Allergy and Clinical Immunology』9月号に掲載されたこのレビューでは、次のような予測を行っている。 ・アレルギーの流行期の状況が悪化。気候が温暖になるということは、春の開花が早まり、ブタクサやヨモギといった秋のアレルゲンの飛散期が長くなるということである。基本的に温暖化とは植物や花粉が増えることであると、このレビューは伝えている。 アレルギーや喘息のある患者では「こうした環境の変化を受けて、病気が悪化するリスクが高まり、症状を訴える日が増え、QOL(生活の質)が低下する」ほか、温暖化によりアレルギーや喘息の発症が増える可能性があると、ノースカロライナ大学公衆衛生学部(チャペルヒル)のKatherine Shea, MD, MPHをはじめとするレビュアーらは述べている。 7月に米環境保護庁が発表した報告では、地球温暖化により生じる可能性のある健康リスクの一覧に喘息が掲載されている。 Shea博士らの研究班は、日々の大気質報告と花粉数の調べ方や解釈の仕方を、医師が患者に教えることを提言している。「気候変動課題を検討する中枢施設でヒトの健康を守るために活動する支持者(champion)を世界中から集める必要がある」とShea博士らは述べている。 また、自転車の使用、徒歩での移動、公共輸送機関の使用、地元で取れた青果物の摂取や肉食の制限が、ヒトの健康だけでなく気候にも良いことをレビュアーらは指摘している。
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どう備えたらいいの? 新型インフルQ&A ◇万能ではないマスク、外出避け食料備蓄を 7月、塚本康浩・京都府立大教授(獣医病理学)は、高病原性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)の感染力を奪う抗体を染み込ませたマスクを開発した。ウイルスがマスク通過時に抗体と一緒になるため、たとえ体内に入っても感染を防ぐ仕組みだ。抗体精製にはダチョウの卵を使った。ダチョウの産卵期間は40年以上と長く、安定供給が期待できる。今秋から市販予定で、「H5N1が変異した新型インフルエンザウイルスにも効果が期待できる」と塚本さんは話す。 新型インフルエンザ対策は、通常のインフルエンザ対策の延長にある。ウイルスを含む唾液(だえき)の飛沫(ひまつ)は5マイクロメートル(マイクロは100万分の1)以上。市販のマスクは5マイクロメートル以上のものを通さないため、マスクが感染拡大防止に有効とされる。 しかし、インフルエンザウイルスの直径は、マスクの目よりはるかに小さい0・08潤オ0・12マイクロメートル。世界保健機関が医療従事者に推奨している高機能マスク「N95」も捕捉できるのは0・3マイクロメートル以上にとどまる。飛沫が乾燥してウイルスを含む飛沫核が空気中を漂うと、マスクを通過し感染する。外岡立人(とのおかたつひと)・北海道小樽市保健所長は「マスクは万能ではない。人込みを避け、外出時にはこまめにうがいと手洗いをする。発熱など感染したと感じたら外出しないようにしてほしい」と話す。 一方、新型インフルエンザの脅威は国内発生時だけではない。海外で大流行すれば輸入が止まり、生活必需品が手に入らない恐れがある。政府は、感染を防ぐ工夫に加え、2週間程度の食料や水、日用品の確保と備蓄を勧めている。【関東晋慈】
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CDC:小児の約5%がADHD患者 【7月23日】CDCは23日、両親によれば、米国の6歳から17歳の小児の約5%が注意欠陥多動性障害(ADHD)と診断されたことがあると報告した。 データは、6歳から17歳の小児約23,000例の両親から得られた。2004年から2006年に実施された電話インタビューで、子供が医師または他の医療従事者にADHDまたは注意欠陥障害(ADD)と診断されたことがあるかどうかを両親に尋ねた。CDCは、両親の報告を小児の診療録と照合しなかった。 男児におけるADHDの診断は女児の2倍であった。また、ADHDは、低年齢の小児よりも思春期の小児およびティーンエイジャー、ヒスパニック系の小児よりも白人またはアフリカ系米国人の小児、医療保険に加入していないまたは民間医療保険に加入している小児よりもメディケイドに加入している小児において頻度が高かった。 また、CDCの報告によれば、1997年から2006年まで小児期ADHD診断は年間平均3%増加し、ADHDと診断された小児は、他の小児と比較して、他の慢性疾患を有する可能性が高かった。 CDCの最新ADHD統計値は、ADHD診断症例数に過ぎない。真のADHD小児数はさらにずっと多い可能性がある、と2007年9月、シンシナティ小児病院およびシンシナティ大学医学部の研究者らは報告した。 23日のCDCの報告は、医療へのアクセスなど、社会的および経済的要因が、ADHD小児が正式にADHDと診断される機会に影響を及ぼす可能性があるということを認めている。 cdc-about-5-percent-of-kids-have-adhd
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日本医師会の中川俊男常任理事は9日の定例会見で、政府の規制改革会議が2日に公表した中間取りまとめに対する日医の見解を示した。中間取りまとめで言及している「株式会社による医療参入の解禁」について中川常任理事は「株式会社は株主への配当を至上命令としているが、公的保険の枠組みの中で株主を満足させる配当を確保するのは難しい」と指摘。配当確保のために、混合診療解禁による保険給付外の市場拡大を図れば、保険給付範囲を縮小させ、公的医療保険の崩壊につながると警鐘を鳴らした。 中川常任理事は、中間取りまとめについて「議論が十分に尽くされていないと思われる項目が見受けられ、現状認識も不適切な部分がある」との認識を表明。「医師の就労環境の悪化に起因する医師不足」との表記に対しては、「医師が不足しているからこそ就労環境が悪化し、救急や産科医療などから医師が立ち去る構図になっている」と述べ、財源の手当てと医師不足の解消が最優先課題だと強調した。 「P4P」は反対 また治療成績の良好な医師・医療機関に対し、診療報酬を優遇する「『質に基づく支払い』(Pay For Performance、P4P)導入の検討」に対しては、「米国民間保険業界での効率重視の手法。効率的な結果をもたらさない患者が疎外され、フリーアクセスが制限される恐れがある」と指摘した。また診療報酬が高い医療機関にかかれば、公的保険下でも患者負担が比例して増加する可能性や、従来の診療報酬を超える分は全額自己負担となり、混合診療につながる恐れがあると説明し「P4Pには反対だ」と強調した。 保険内サービスは定率・定額負担とすべき-三上常任理事 一方、介護分野の見解について三上裕司常任理事は、中間取りまとめで「ケアマネジャー報酬について、利用者負担による上乗せを認めるなど、保険内サービスの利用料の自由化を検討すべき」と明記されていることについて、「ケアマネジャーを含む介護従事者すべての質の向上を担保する方策が先決だ」と指摘。保険内サービスである限り、利用料については定率または定額負担とすべきとの考えを示した。 今度は保険者が医療現場を救う番 日医の中川常任理事は9日の定例会見で、同日の中医協で報告のあった医療経済実態調査(保険者調査、2007年6月実施)に対する日医の見解を示した。中川常任理事は、06年度で保険者全体の経常収支差が4192億円の黒字、積立金も7.1兆円と前年度から4520億円増加したことについて、「保険料(収入)の割に給付費(支出)が少ないからだ」と指摘し、医療費抑制の結果との認識を示した。その上で「今度は、保険者が国民と医療現場を救っても良いのではないか」と述べた。
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医療要員が働くにはボランティアでなく、資金が必要なんです。
エイズやマラリアなどの感染症などで命を落とす人々を救うことなどが目的。大統領は会談後の共同記者会見で、G8に「資金拠出を公約するだけでなく、人道上の理由のために小切手を切る(資金を払い込む)よう期待する」と呼び掛けた。
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禁煙条例:公募意見を公表 考えられない/禁煙居酒屋できたら通う… /神奈川 ◇条例に賛否両論 県は12日、全国初の制定を目指す「公共的施設禁煙条例」の概要に対して公募した県民の主な意見を発表した。規制対象の施設が幅広いことについての意見が目立ち、「全く考えられない」「禁煙の居酒屋ができたらぜひ通う」などと賛否両論が寄せられた。 5月23日までの1カ月間、ホームページやファクスなどで公募。県外も含めて1782人から3702件が寄せられ、うち1400件は規制対象施設に関する意見だった。 禁煙となる公共的施設の定義を巡り「広すぎる」「庶民のささやかな娯楽場であるパチンコ店での禁煙など全く考えられない」との反対意見があった。一方で「禁煙になったら娯楽施設にぜひ行ってみたい」「飲食店を経営しているが、ライバル店が喫煙可だったので禁煙に踏み切れなかった。全面的に賛成だ」との声もあった。また「たばこは合法製品なのに、罰則まで設けるのはおかしい」「段階的に施行エリアを拡大していく方法も検討に値する」と条例の仕組みそのものに対する疑問や提案もあった。 松沢成文知事は12日の定例会見で「条例の素案作りに役立てたい」と9月県議会に提出予定の条例骨子案に反映させる考えを示した。【高倉友彰】
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民主、歯の健康で法案提出 身障者手帳の改正案も 民主党は4日、国民の歯の健康に関する施策の推進を国や自治体の責務とする「歯の健康保持推進法案」と、歯科医師の診断書でも身体障害者手帳の交付申請をできるようにする「身体障害者福祉法改正案」を参院に提出した。 歯の健康保持推進法案は「疾患の早期発見、早期治療が重要」として歯科検診の普及啓発や、高齢者、障害者に対する訪問検診などの施策を国や自治体に求める内容。現行の身体障害者福祉法改正案では、医師の診断書でしか手帳交付申請ができないため、利便性の向上を図る。
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禁煙促す社会環境が重要 脱たばこへ対策を強めよ 核心評論「禁煙週間」 世界禁煙デーの5月31日から6月6日までは禁煙週間。世界保健機関(WHO)が決めた今年のテーマは「たばこの害から若者を守ろう」。日本も未成年者と大人の喫煙率が最近ともに急減しており、変化し始めた。 たばこの健康被害はよく知られている。がんだけでなく、呼吸器疾患や心臓病など多様な病気の危険を高める。WHOは「予防できる最大の単一の病気」にたばこを挙げる。 世界で540万人、日本で11万人以上が毎年、たばこが原因で亡くなっていると推定されている。この死者数は今後も増える勢いだ。根拠があいまいな"メタボ健診"よりも、禁煙指導の強化こそ重要だ。 公共施設の受動喫煙防止に努力義務を課した健康増進法が施行されて5年、WHOのたばこ規制枠組み条約が発効して3年が経過、効果が出始めた。増えていた中高校生の喫煙率は2000年をピークに減少に転じた。 大人の男性の喫煙率は1960年代に80%を超えていたが、徐々に下がり、日本たばこ産業(JT)の調査で2002年に50%を切り、07年には40%まで下がった。 航空機、鉄道の禁煙化に続いて、禁煙タクシーは昨年から急増し、全国のタクシーの60%に迫っている。学校の敷地内全面禁煙が子どもの禁煙を後押ししたように、公共の場で禁煙が増えた社会環境の変化が効いた。 日本のたばこ対策は欧米より立ち遅れている。大島明・前大阪府立成人病センター調査部長がたばこ規制の進展度を「たばこ対策尺度」で採点したところ、英国が05年の73点から07年には93点に上がったのに対し、日本は21点から27点になっただけ。欧州30カ国のどの国より低い点数で、差が開くばかりだ。 たばこ税が低く、たばこの箱に印刷される健康被害警告が目立たないなど問題が多すぎる。ただ、禁煙治療に06年から保険が適用されるようになったのは評価できる。この5月に、禁煙を手助けする薬はニコチンガムに加え、皮膚にはるパッチが薬局で買えるようになり、医師が処方する新しい飲み薬も発売されるなど、禁煙を試みる選択肢が一気に増えた。 7月からは全国で自動販売機からたばこを買うには、成人識別カード「タスポ」が必要になる。未成年者の購入を防止するのが狙いだが、写真付きの申し込みが面倒で、戸惑っている喫煙者が多い。この機会に禁煙への挑戦を勧めたい。 日本学術会議は3月に「脱タバコ社会の実現に向けて」という政府への要望書で、たばこ税の大幅引き上げによる消費削減など7項目の対策を求めた。神奈川県は国に先駆けて全国初の罰則付きの公共的施設禁煙条例を制定しようとしている。たばこ対策の強化は大きな課題である。
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あまりにずさん…医の倫理どこへ?採血器具、相次ぐ使い回し 医療現場で複数の患者に1つの採血器具が使い回しされている実態が相次いで発覚し、少なくとも11府県で使い回しが行われていたことが4日、厚生労働省の調査で分かった。採血器具の使い回しは肝炎など感染症が広がる危険性もあり、専門家らは医療機関の認識の甘さを指摘する。厚労省では6月下旬をめどに全国的な実態をまとめたいとするが、使い回しがどこまで拡大するかは不透明。医療現場の倫理観が改めて問われそうだ。 問題の器具は、主に糖尿病患者の血糖値を測る際に、指先などに針を刺して微量の採血をするために使用する。ボタンを押すと器具本体から針が飛びだす構造で、個人利用に限られている。厚労省によると8社から23製品の同型器具が販売されているという。 厚労省が全国調査に乗り出すきっかけとなった島根県益田市の診療所「おちハートクリニック」で問題になった器具は、1つの本体に針が6本セットされ、使うたびに手動で新しい針に切り替える構造だが、同クリニックでは「自動的に切り替わると思った」として針の交換をしていなかったことが判明した。 島根県の調査では、使い回しのあった1カ月間で37人に使用されたことが分かっている。 針の使い回しは、肝炎など感染症のリスクがあることは医学の常識。取り扱い説明書はもちろん器具本体に赤く「複数患者使用不可」と書かれていた。 使い回しが発覚したほとんどは、針の交換はしていたものの、同じ器具を使って異なる患者の採血をしていた。しかし、器具は肌に触れるため、前の患者の血液が本体部分に付着した場合には感染の危険もある。「仮にアルコール消毒したとしても、ウイルスの死滅は保証されない」と関係者は言う。 高知県では看護学校の演習で使い回しが発覚した。厚労省では「健康相談などのイベントでの使用も考えられる」と、使い回しが広く行われている可能性を懸念する。 こうした使い回しの実態について、医療機器メーカー「ニプロ」(大阪府)は「添付文書に注意を促す記載をしていた。注意喚起の責任はしっかりと果たしてきたのに」と憤る。益田市のクリニックでは「説明書を読んでいなかった。使い回しをやめるよう求めた厚労省の通達も知らなかった」などと説明しているという。 だが、医療機関の感覚としてはあまりにずさんで、厚労省幹部は「信じ難い」としたうえで、どこまで広がるか分からない使い回しの実態に頭を抱えている。 医療現場の一部からは、使い回しができないよう器具自体の構造を変える必要があるとの声も上がるが、医療ジャーナリストの和田努さんは「使用説明書を読むのは常識で、それを見落としたとしたら言語道断。職業的な慣れからきたのか、倫理性が疑われる。行政による再三の注意喚起も必要だが、地方医師会による連絡の徹底も求められる」と指摘している。 【関連記事】
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